米労働省が2025年8月1日に発表した7月雇用統計の主な結果は、(1)非農業部門雇用者数7.3万人増、(2)失業率4.2%、(3)平均時給36.44ドル(前月比+0.3%、前年比+3.9%)という内容であった。
○雇用者数
7月の非農業部門雇用者数は前月比7.3万人増と市場予想の10.4万人増を下回った。
○失業率
7月の失業率は4.2%と市場予想に一致。前月の4.1%から0.1ポイント上昇した。フルタイムの職を希望しながらパート就業している人などを含めた広義の失業率である不完全雇用率(U-6失業率)は前月の7.7%から7.9%へ上昇。労働人口に占める働く意欲を持つ人の割合である労働参加率は前月の62.3%から62.2%に低下し、2022年11月以来の低水準を記録した。
○平均時給
7月の平均時給(全従業員)は36.44ドルと前月の修正値36.32ドルから0.12ドル増加して過去最高を更新。伸び率は前月比+0.3%と予想通りであったが、前年比では+3.9%と市場予想(+3.8%)を上回る伸びとなった。
○まとめ
米7月雇用統計を受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)が次回9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを再開するとの見方が強まっている。中でも、利下げの思惑を最も強めたのは、非農業部門雇用者数の伸びが急減速した点だ。上記の通り、雇用者数の3カ月平均増加幅は3.5万人に急減速した。
このため、米国の雇用市場の軟化は5月時点ですでに始まっていたとの見方が広がり、株価が急落。FRBが様子見姿勢を改め、利下げを急ぐとの思惑が浮上したことから、米金利先物の9月利下げの織り込みは40%前後から一気に90%近くまで上昇。それに伴いドルは対円で150円台から147円台へ3円あまり急落した。
このように、米7月雇用統計は米経済に対する市場の見方を大きく変えることになった。もっとも、7月の失業率は依然として4.2%と低水準だ。7月も平均時給はインフレ率を大幅に上回る伸びが続いている。雇用者数の伸びが急減速した点以外は、米国の労働市場は堅調を維持していると見ることも可能だろう。9月FOMCの前には8月雇用統計が発表されることから、その結果によっては市場の見方が再び変わる可能性もあるのではないだろうか。
神田卓也 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長。1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。











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