帝国データバンクは8月19日、「雇用過不足」に関するアンケート調査の結果を発表した。調査は7月17日~31日、全国2万6,196社を対象にインターネットで行われた、1万626社から有効回答を得た。
○人手不足は深刻な「高止まり」状態
人手不足は、深刻な「高止まり」状態が続いている。2025年7月時点における、正社員の不足を感じている企業は50.8%と、前年同月(2024年7月、51.0%)から0.2ポイント低下したものの変動幅は小さく、引き続き高水準で推移している。また、非正社員における人手不足割合は28.7%。わずかながら前年同月から低下し(同-0.1pt)、2年連続で3割を下回った。
○建設業が最多の68.1%
正社員の人手不足割合を業種別にみると、「建設」が68.1%で最も高く、企業からは「人手不足などが原因となって契約が不成立となるケースが増えてきている。求人は進めているが、今後が心配」といった不安の声や、「残業規制などで社員の労働時間が減っただけでなく、猛暑によって作業効率が悪くなっている」という声も。猛暑による作業の制限や熱中症対策の義務化による作業手順の見直しが、人手不足感に影響を及ぼしているよう。
このほか、生成AIをはじめとするIT投資などの需要の多い「情報サービス」(67.6%、前年同月比-4.3pt)、低賃金と不規則な労働環境から慢性的な人手不足を背景とした倒産が増えている警備業[1]を含む「メンテナンス・警備・検査」(66.7%、同+0.8pt)、ドライバー不足が深刻な「運輸・倉庫」(63.9%、同+0.5pt)など、6業種で6割を上回る結果となった。
一方、非正社員では「人材派遣・紹介」が63.3%(同+4.7pt)でトップに。業種問わず人手不足が国内全体で深刻化している状況のなかで、派遣人材によって労働力を補う動きが活発になっていることがうかがえる。また、コロナ禍以前から人手不足が深刻だった「飲食店」(61.8%、前年同月比-5.7pt)や「旅館・ホテル」(51.7%、同+0.1pt)では、人手不足割合が大きく低下した。