三井物産、三菱商事が主導し、関西電力や三井不動産など日本企業12社からなるコンソーシアムが、米国のフュージョン(核融合)エネルギー企業 Commonwealth Fusion Systems(以下「CFS」) に出資参画する。9月3日、CFSのCEO兼共同創業者であるボブ・マムガード氏は記者発表会で、シリーズB2ラウンドにおいて総額8億6,300万ドルの資金調達を実施したことを明らかにした。


CFSは、磁場閉じ込め方式(トカマク型)によるフュージョン発電炉の設計・開発を進める世界最大級の民間企業。同社は米国バージニア州チェスターフィールド郡に世界初の商業用フュージョン発電所「ARC(アーク)」を建設する計画を発表しており、2030年代前半の運転開始を目指している。また、投資家でもあるGoogleと発電所の電力の半分にあたる20万キロワットの購入契約(PPA)を締結したことも公表されている。

フュージョン発電は、発電過程で二酸化炭素を排出しないカーボンニュートラルな技術として注目を集めており、エネルギー問題と環境問題の両面で革新的な解決策になり得る。国内では、2024年11月に発表された「FASTプロジェクト」が2030年代の実証を目指しており、政府も2025年2月の第7次エネルギー基本計画に「フュージョン発電の早期実現と産業化」を明記するなど、官民を挙げた取り組みが進んでいる。

フュージョン(核融合)エネルギーの仕組み


フュージョンは、水素などの軽い原子核同士を融合させて膨大なエネルギーを生み出しこれを発電に利用する仕組みで、理論上無尽蔵かつクリーンな発電技術とされる。核分裂と比べて放射性廃棄物が少なく、炉心溶融(メルトダウン)のリスクもなく、カーボンフリーな次世代エネルギーとして期待されている。

日本コンソーシアムは、CFSが米国で推進する商業化プロジェクトを通じて、政策・規制対応や「ARC」の開発・建設・運転・保守に関する知見を獲得し、日本におけるフュージョン発電の早期商用化・産業化を目指している。

○「日本コンソーシアム」参加企業(12社)

三井物産、三菱商事、関西電力、JERA、商船三井、日揮、三井不動産、日本政策投資銀行、NTT、フジクラ、三井住友銀行、三井住友信託銀行
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