コスモエネルギーホールディングスとS-Bridgesは9月1日、食品加工残渣由来のバイオエタノール製造技術の開発に向けた共同検討に関する契約を締結した。

○■革新型技術企業と非可食原料から効率的な製造プロセス構築へ

S-Bridgesは静岡大学発のベンチャー企業。
廃棄物を未利用資源として100%有価物化することをめざしており、食品加工工場で排出される茶殻やコーヒー殻などの食品加工残渣を含む無消費素材からタンパク質、液肥原料などの有用成分を抽出する「Cell Breaker」システム(CBシステム)を有している。

このCBシステムによる有用成分の抽出工程では、セルロース系繊維が副次的に得られる。コスモエネルギーホールディングスは、このセルロース系繊維を非可食由来のバイオエタノールの原料として活用することに着目した。

バイオエタノールは燃料や化学品の原料として幅広く活用され、カーボンニュートラルの実現に貢献する物質として注目されている。現在主流の製造方法では、トウモロコシやサトウキビなどの食料作物を原料とするため、食料との競合が課題だ。

一方、次世代型として期待される木材や紙パルプなどを原料とする方法は、広域な原料収集が必要となり、安定供給やコスト面に課題がある。
○■共同検討の概要

コスモエネルギーホールディングスとS-Bridgesは、工場から本来廃棄されていたはずの食品加工残渣を活用し、副産された繊維を原料とするバイオエタノール製造の可能性を共同で検討していく。この共同検討では、工場で排出される食品加工残渣を用いることで原料の集積が不要となり、さらに有用成分と同時にセルロースが副次的に得られるため原料コストの低減が期待される。

また、CBシステムによりセルロースが糖化しやすい状態で得られるため、前処理・糖化工程のエネルギー消費を抑えエタノール収量を高められることから、経済性の高いエタノール製造プロセスの構築が期待される。

両社は将来的には、国内の食品・飲料メーカーの工場へ展開することで、各工場でエタノール製造を可能とし、非可食・国産由来の安価なエタノール供給につながるビジネスモデルの構築をめざす。これにより、国内資源の有効活用を通じた資源循環の促進と、国産エネルギーの供給によるエネルギーセキュリティの向上に取り組んでいく。
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