一般的に「ファイル転送サービス」といえば、クラウドにデータを常時保存しておく「オンラインストレージ」と異なり、用途は第三者へのファイルの受け渡しであることから、クラウドにファイルが置かれる期間は短くて数時間、長くても数日から1ヶ月程度というケースがほとんどだ。

そのためサービスを選ぶにあたっては、利用可能なストレージ領域の多さよりも、1ファイルあたりのサイズ制限や保存期間の設定の柔軟さ、さらにはダウンロードの敷居がどれだけ低いかが重要なポイントとなる。
今回は、基本機能は無料で使え、かつ1GBを超えるファイルの送信をサポートしていることを条件に、国内外で広く使われている5つのファイル転送サービスを紹介する。
商用でも使える国産サービス「ギガファイル便」

「ギガファイル便」はユーザ登録不要かつ個人・商用問わず無料で使える国産のファイル転送サービス。最大ファイルサイズは300GB、容量および個数は無制限で、ファイルの保持期間はデフォルトで5日、最短3日~最長100日まで指定できる。

パスワードも設定可能だが4桁のみとシンプル。リンクのみの生成のほかメール送信にも対応する。老舗サービスだがUIは全体的にクセがあり、それが受け入れられるかが利用にあたってのポイントとなる。

オプション充実の国産サービス「データ便」

「データ便」も老舗と言っていい国産のファイル転送サービス。最大ファイルサイズは2GB(無料ユーザ登録を行うと最大5GB)、個数は100個まで、ファイルの保持期間はデフォルトで3日、最短1時間~最長7日まで指定できる。

8桁または12桁のパスワードを設定できるほか、ダウンロード通知、アップロード完了通知も設定可能。リンクのみの生成のほかメール送信にも対応する。ダウンロード数を確認するための送信履歴ページも用意されている。

世界15ヶ所にデータセンターを持つ「Filemail」

「Filemail」は海外では老舗にあたるファイル転送サービス。
日本語UIも用意されていることから国内での利用者も多く、世界15カ所にデータセンターを設置しているため海外とのファイル受け渡しにも適する。

無料版ではファイルサイズは最大5GBまで、ファイルの保持期間はデフォルトで1週間、最短1日~最長1年まで指定できる。リンクのみの生成のほかメール送信にも対応する。無料版ではパスワード設定は行えないなど、機能制限は他サービスより多め。

アップロード先サーバの地域まで選択できる「TransferXL」

「TransferXL」は海外のファイル転送サービスで、日本語UIも用意されている。無料版ではファイルサイズは5GB、1日あたり最大10GBで、保管期限は7日。ユーザ登録は不要だが送信側はメールアドレスを入力する必要がある。

リンクのみの生成のほかメール送信にも対応する。アップロードされたファイルはZIPでアーカイブされ、パスワードを設定できる。無料版ながら管理画面が利用できるほか、アップロード先サーバの地域まで選択できるのは珍しい。

カスタムドメイン対応、背景も指定できる「Wetransfer」

「Wetransfer」は海外では著名なファイル転送サービス。個人、非商用は無料だが、月3GB/送信回数10回/最大3日という制限がつくほか、ユーザ登録が必須であるなどお試しの色合いが強い。
リンクのみの生成のほかメール送信にも対応する。

パスワード設定やカスタムドメインの設定のほか、受取画面の背景設定など奇抜な項目が目を引く。今回紹介する中で唯一日本語化されておらず、日本語のファイル名も文字化けする。誤クリックしやすいUIもネック。

山口真弘 ITライター。PC周辺機器メーカーやユーザビリティコンサルタントを経て現職。各種レビュー・ハウツー記事をWebや雑誌に執筆。最近は専門であるPC周辺機器・アクセサリに加え電子書籍、スマートスピーカーがおもな守備範囲。著書に『ScanSnap仕事便利帳』(ソフトバンククリエイティブ)『PDF+Acrobat ビジネス文書活用[ビジテク] 』(翔泳社)など。 この著者の記事一覧はこちら
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