季節が真逆の山梨とニュージーランドの2拠点で、高品質な日本品種のぶどうを通年生産する。そんなユニークな試みを行っている株式会社GREENCOLLARが、渋谷のど真ん中でぶどう狩り体験ができる期間限定ポップアップストアをオープンし、内覧会が行われた。
○■日本とニュージーランドの二拠点生産で実現する通年“旬”のぶどうづくり
GREENCOLLARの代表取締役である鏑木祐介氏によると「シャインマスカットをはじめとした日本品種のぶどうは国内外に人気が高いが、大量生産している農家は少ないこと、需要時期に偏りがあることなどを理由に国内消費が9割以上となっている」ということ。一方で韓国や中国は日本よりも広い生産面積を持ち、アジア・マーケットのメインは韓国産、中国産になりつつあるという。
三井不動産グループの事業提案制度「MAG!C」から誕生した株式会社GREENCOLLARは、品種開発から生産、販売までを一気に行う垂直統合型のモデルを実現することで、日本の農業の課題を解決しようとしている。
農業には閑散期があるため人を雇用しにくく、大量生産につながらないという課題を解決するために取られた施策が、日本とニュージーランドの二拠点生産だ。季節が逆の二拠点でぶどうを栽培することで、通年での生産と従業員の安定雇用を実現。これにより、技術習得の高速化、生産性の向上、そして北半球でブドウが供給できない時期に市場を独占できるという利点がある。
○■新しいライフスタイルとしてグリーンカラーという働き方を提案
GREENCOLLARの社員は、日本の収穫期が終わるとニュージーランドに行って生産を行う。年に2回生産することで技術の習得スピードが圧倒的に速くなり、1人当たりの生産性が単純に倍になるという試みだ。そんな新たな働き方と暮らし方に共感したスタッフは若い世代に多く、社員の平均年齢は29.1歳。音楽活動と農業を両立している社員など生き生きと働く人材に恵まれている。
社名の”GREENCOLLAR“というのはブルーカラーでもホワイトカラーでもなく、「頭と体と感性を使う」新しいライフスタイルを提案としてのグリーンカラーという価値観の提案だという。ボランティア団体も運営し、高校生向けの農業体験ツアーなどを通じて、都市と地方、消費者と生産者をつなぐ活動も積極的に行っている。
そこで生まれたのが「極旬」というブランド。山梨とニュージーランドの太陽の光をたっぷりと浴びて、人の手で丁寧に育てられた高品質なぶどうで、現在はECサイトや百貨店などで販売。サステナビリティへも取り組み、再生紙でできているパッケージも特徴的だ。
○■渋谷という都会のど真ん中でぶどう狩り体験
今回のポップアップストアのコンセプトは〝クロッシング(交差)〟。あまり顔を知らない消費者と生産者、お互い無関心な都市と農村、遠い国の日本とニュージーランドを渋谷という都会のど真ん中で交わせることで、もっと多くの方に農業のこと、生産者のこと、株式会社GREENCOLLARのこと、「極旬」というぶどうのおいしさを知ってもらいたいという思いを込めて開催されている。
ストア内ではシャインマスカットの収穫体験ができるほか、好きなぶどうを詰め合わせるオリジナルパッケージづくり、ワインやマヌカハニーをはじめとした山梨やニュージーランドの特産品の販売、さらに「EMMÉ(エンメ)」や「patisserie code(パティスリーコード)」という有名パティシエとコラボしたスイーツが登場する。
そんな「極旬」な体験ができるポップアップイベントの開催期間は9月23日(火・祝)まで。MIYASHITA PARK North 2F、THE [ ] STORE(ザ・ストア)にて開催中。
加治屋 真美 エンタメ系ライター。テレビ誌ライターとして日本のドラマや映画出演者のインタビュー記事を担当するほか、日韓アイドル好きが高じてライブレポートも多く手掛ける。現在は父親が認知症になったことをきっかけに地域共生社会へ興味を持ち執筆ジャンルを拡大中。▼ポートフォリオ▶ この著者の記事一覧はこちら