Googleの生成AIアプリ「Gemini」の利用が急伸している。8月に画像生成向けの新モデル「Gemini 2.5 Flash Image(通称:nano-banana)」を投入して以降、ダウンロード数が急増し、米国のApple App Storeにおいて、長らく首位を維持してきたOpenAIの「ChatGPT」を抜いて"トップ無料アプリ"となった。
アプリ市場の調査会社Appfiguresの調査データによると、Geminiアプリのダウンロード数は9月に入ってから前月比で45%増加しているという。月半ばの時点ですでに1,260万ダウンロードを記録しており、8月全体の870万ダウンロードを大きく上回るペースである。
この勢いは米国市場にとどまらない。Geminiは、世界108カ国で総合トップ5のiPhoneアプリとなっている。GoogleのGoogle Play(米国)ストアにおいても、トップ20圏外から一気に2位まで順位を上げており、アプリ市場におけるプレゼンスが大きく変化しつつある。
今回の躍進の最大の要因とされるnano-bananaは、プロンプト(テキスト指示)の理解力が高く、細かい要望や複雑な依頼にも柔軟に対応する。従来のAI画像生成が苦手だった「一貫性の保持(例:同一キャラの別シーン)」に強く、シリーズ素材やブランドデザインなど、同じ特徴を保ったまま様々なバリエーションの画像を作る性能に優れている。複数の画像の合成、写真のバックグラウンド変更、髪形や服装の編集など、従来は専門的な知識やソフトウェアがなければ難しかった作業が、アプリ上で簡単なテキスト指示だけで完結できるようになり、一般ユーザーでも直感的に使える点が画像編集のハードルを大きく下げている。
Googleは8月末にGeminiアプリにnano-bananaを導入して以来、ユーザーがGeminiアプリを起動した際に、新しい画像生成・編集機能を試すよう勧めている。
ダウンロード数でGeminiが急伸する一方、モバイル売上高という点では「Grok」が急成長している。7月にGrok 4を発表し、AIキャラクターと会話できる「コンパニオンモード」、新たなビジュアル機能や高品質な画像生成など、新機能効果で有料ユーザーを増加させた。Appfiguresの調査では、6月に260万ドルだった月間売上高が7月に急増して500万ドルを突破、8月は680万ドルだった。