総合プロデュース企業として生まれ変わった八芳園。半年を超える全館の改修工事が終わり、いよいよ2025年10月1日にグランドオープンとなる。
メディア内覧会で、総支配人の関本敬祐氏は「400年以上の歴史を持つこの日本庭園と共に、私たちはこれからも変革を進めてまいります」と言葉に力を込めた。
○リニューアルでなにが変わった?

東京・白金台にある八芳園では2025年2月から9月末まで全館を一時閉館し、リブランディングプロジェクトを進めている。どこが、どのように変わったのだろうか? 9月中旬に実施された内覧会で、その一部を見てきた。

メインロビーは「日本の、美意識の凝縮」をテーマに掲げる空間。過去から未来へと続く日本文化の精神を映し出し、訪れる人の心にインスピレーションを与える。日本庭園と向き合うように設置されたのは、高さ約4mにもおよぶ圧巻の組子アート「光風庭伝」(こうふうていでん)。日本を代表する水墨画家・小林東雲氏×福岡県大川市の組子職人・木下正人氏のコラボによる巨大な作品だ。

ロビー装飾は、季節やイベントごとに切り替わる趣向。グランドオープン時には、福岡県大川市の創作家具職人・西田政義氏による"赤松"をモチーフにした木のオブジェが飾られる。

メインロビーから続く3階にはレストラン「ALL DAY DINING FUDO」が誕生した。旬の野菜をたっぷり使った『石窯ピザ』、素材の持ち味を引き出した『熊本あか牛のロースト 赤ワインソース』、『宮城アカエイのムニエル』、八芳園に受け継がれる味わいをアレンジした『オニオングランタンスープ』、『アップルパイ』、厳選素材を使った贅沢パフェなどを提供。モーニング(土・日・祝日のみ提供)、ランチのセットメニュー、ディナーのコース料理も用意している。


5階には「STUDIO KOKU」とラウンジ、6階には「HALL HAKU」とBARを設置。ともにCLUB HAPPO-EN for Businessの会員が利用できる。

○年間総売上130億円へ

内覧会に登壇した関本敬祐総支配人は、事業戦略について説明。「八芳園グループでは文化資産を活用したエリアプロデュース事業を展開し、2030年までに年間総売上130億円の達成を目指していきます」と意気込む。2030年9月期の売上構成比については、婚礼事業が48%、その他事業が52%で、「事業ポートフォリオの転換を図る」「婚礼依存型の企業体質から脱却する」という同グループの方針が反映されている。

ちなみに2023年10月1日~2024年9月30日の売上高をセグメント別に見てみると、婚礼事業分野は6,371百万円(前期比106.6%増)、宴会事業分野は2,503百万円(同133.7%増)、その他の事業分野は725百万円(同99.7%増)。関本氏は「その他の事業分野についても、事業単位での成長の兆しが見えてきました」と評価する。

なお八芳園は9月8日、東日本旅客鉄道(JR東日本)と共創パートナーシップ協定を締結。白金・高輪エリアから日本の文化資産を発信し、この地域を国際交流の拠点にしていくとしている。直近では、JR高輪ゲートウェイ駅に直結するTAKANAWA GATEWAY CITY内にあるNEWoMan TAKANAWA Northの1階にパティスリー「八芳園洋菓子店」を、また同 LUFTBAUMの29階に"江戸"を料理のテーマとした「割烹 BUTAI」を、ともに9月12日にオープンさせている。

創業82年の八芳園。関本氏は「当社では(2043年の)100周年を目指し、日本の美意識と文化を次世代に継承すべく事業を展開していきます。
これからの八芳園にご期待ください」と話していた。

近藤謙太郎 こんどうけんたろう 1977年生まれ、早稲田大学卒業。出版社勤務を経て、フリーランスとして独立。通信業界やデジタル業界を中心に活動しており、最近はスポーツ分野やヘルスケア分野にも出没するように。日本各地、遠方の取材も大好き。趣味はカメラ、旅行、楽器の演奏など。動画の撮影と編集も楽しくなってきた。 この著者の記事一覧はこちら
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