女優としての転機やアーティスト活動への思い語る
6月に主演映画『リライト』が公開され、同月にアーティストELAIZAとしては約1年ぶりに新曲「テキトーLOVE」をリリースした池田エライザに単独インタビュー。女優、アーティスト、監督など、多彩な才能を発揮する池田だが、学びに対してとても貪欲なよう。好奇心の赴くままにマルチな活躍を続ける池田が、それぞれの活動への思いを語ってくれた。9月6日には、さいたまスーパーアリーナで開催された「第41回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2025 AUTUMN/WINTER」(TGC)にモデルとして出演し、颯爽とランウェイを歩いた。
「今回TGC20周年ということで、スペシャルなショーがたくさんプログラムに組み込まれていたので、私も願わくば客席から見てみたかったです。私はILLITちゃんがすごく好きなので、そのステージも見たかったなと思いました」
昨年NHK BSで放送され、今年8月までNHK 総合でも放送された主演ドラマ『舟を編む~私、辞書つくります~』も好評を博した。本作は、自身にとって転機になった作品だと語り「本当に役を通して愛していただけた気がします」と喜ぶ。
「私はこれまで孤独や痛み、苦しみとか、どこか痛みを表現する役が多かったんです。でも本作では、より身近な感情を表現する機会をいただけました。そして日本語というこれまた一番身近な言葉に視聴者の方と同じ目線で向き合い、それをお届けすることができました。演じたみどりちゃんが愛おしくて、キャラクター的に捉えていただけたことが、私にとって転機になりましたし、街を歩いていて“みどりちゃん”と言ってもらえると、すごく幸せな気持ちになります」
ELAIZAとして精力的にアーティスト活動も行っており、今年6月には自ら作詞を手掛けた「テキトーLOVE」をリリース。同楽曲は「自分のいいところもよくないところもすべて抱きしめてあげよう!」というテーマだが、「自己肯定感の高い曲を書いてほしいとオファーされた時、私には無理かもしれないと思いました」と打ち明ける。
「私みたいに表に立っている人が自分のことを肯定したら嫌味なんじゃないかなと思うし、謙遜が身に染みていることは自分でも感じているので。ただ、自信がない人が歌う自己肯定感ソングだってあってもいいんじゃないかなと思いました。自分でも自己肯定感を高めるのは、そんなに得意じゃないとわかっているけど、まずは頑張るねとやってみる。
また、聴く人に話しかけるような描写があるのは、「ライブを想定した曲にしたから」だそうで、「その結果、子供たちがよく聴いてくれて、好きだと言ってくれることが多いです」と語る。
さらに、「自信があるところを褒められるよりも、自信がないところ、自分が気にしているところを、友達や家族から好きだよと言ってもらえた時、すごくうれしかった経験があるからかもしれない。『背が高くてかっこいいね』よりも『なんかナイーブでかわいいね』の方がいいというか、そういう気持ちを込めて書きました」と楽曲制作の裏側を明かした。
同楽曲により、自身の表現の幅が広がったようで、「今まではどこか寂しい部分に寄り添った曲を書こうという意識が強かったのですが、そうか、それ以外の救い方もたくさんあるんだなと勉強になりました」と振り返る。
ライブのやりがいもとても感じているようだ。
「ライブをやっていると、みんながすごく幸せそうな顔をしてくれるんです。でも、きっと誰もが、1人では噛み砕けないような悩みを持っていたり、どこかによりどころを探していたりするんだろうなとも思っていて。だからこそ、そういうみんなの顔を見ながら歌って、その時間を共有することがすごくいいなと感じます。私もみんなから力をもらえるし、みんなも私の歌を聴きに来てくれることで、いい時間を過ごせてもらえたら本当にうれしい。お互いにとっての相乗効果があると思うから、これからも続けていきたいと思っています」
あふれる創作意欲「好奇心のまま、表現の仕事に向き合っていきたい」
ここ数年での心境の変化について聞くと、「大きく変わったことはないです。いつも家に帰ったら、猫と一緒にご飯を食べていますし。また、自身のモットーについては「毎日違うことを言うタイプで、気分でしかしゃべれないので、モットーはないんですが」とした上で、「面白がることをやめないようにしているかも。スケジュールが密になると面白がることすら疲れてできなくなるような時もありますが、たとえ忙しくても、自分の心や脳みそが喜ぶようなことをしたいなと。本を読むのすら面倒くさいと思う時もあるけど、『絶対読めば面白い世界がそこにある』と思うようにしています。寄り道することもその1つだし、そういう刺激を与えるようにしたいです」と、常にいろいろなものを取り込み、吸収し続けている。
映画監督としては、『夏、至るころ』(20)と、『MIRRORLIAR FILMS』(22)の「Good night PHOENIX」を発表している池田。
「最近、マルチに活躍されている方が増えていると感じています。私もいろんなことをやるタイプの人間ではあると思いますが、年齢に関係なく、果敢に新しいことをやっていきたいです。もちろん、初めてのことをやると、いろんなことを言われるのですが、そういうことを恐れず、これからも好奇心のまま、表現の仕事に向き合っていきたいです。そして映画は、これからも撮り続けていくと思います」と創作意欲を口にする。
続けて、「日々勉強が楽しいので、たくさん学びたい。自分で面白みのない人間だなと思う時もありますが、学びも極めるとオタクになる。オタクって可愛いじゃないですか。“好奇心オタク”みたいなところでしょうか。これからも勝手にいろいろなことをやっていくと思います」と語っていた。
■池田エライザ
1996年4月16日生まれ、福岡県出身。2009年に『ニコラ』専属モデルとしてデビューし、2011年に『高校デビュー』で女優デビュー。主な出演作は、映画『ルームロンダリング』(18)、『貞子』(19)、『騙し絵の牙』(21)、『真夜中乙女戦争』(22)、『ハウ』(22)、『お前の罪を自白しろ』(23)、『リライト』(25)、ドラマ『名建築で昼食を』(20・22)、『古見さんは、コミュ症です。』(21)、『舟を編む ~私、辞書つくります~』(24)、『海に眠るダイヤモンド』(24)、Netflix『FOLLOWERS』(20)、WOWOW『DORONJO/ドロンジョ』(22)、Netflix『地面師たち』(24)など。映画監督として『夏、至るころ』(20)と、『MIRRORLIAR FILMS』(22)の「Good night PHOENIX」を発表。2021年8月より、ELAIZA名義で音楽活動を本格的に開始。