グランドセイコーの一番人気として名前が挙がることも多い通称「雪白ダイヤル」のモデルから、スプリングドライブムーブメントを搭載したヘリテージコレクション「SBGA211」を取り上げよう。SBGA211の発売は2017年と少しさかのぼるが、グランドセイコーの中でもトップクラスの人気を集め続けている。
人気の理由は何といっても「雪白パターン」を刻んだ白いダイヤルだ。海外では「スノーフレーク」と呼ばれる。腕時計として白のダイヤルは定番だが、少し意地悪に言えば無難で面白味がない一面も。そんなホワイトダイヤルにあって、SBGA211は繊細な凹凸によって独特の個性を生み出している。
雪白パターンが表現したのは、SBGA211の生まれ故郷でもある長野県「信州 時の工房」を囲む穂高連峰。雪に覆われた山肌を風が吹き抜け、芸術的な「風紋」を形成する。その風紋をダイヤルに描いたのが雪白パターンだ。一見すると単なる凹凸の模様にも思えるが、目を凝らして見ると実に美しい。雪上の風紋というディテールがすっと心に入ってくる。
そしてブルースチールの秒針がアクセントとなり、上品なコントラストを与えている。スプリングドライブにる秒針のスムーズな運針は、連続する自然な時の流れを表しているという。
雪白ダイヤルを囲むケースとブレスレットは、チタンをベースにした独自のブライトチタン(チタン合金)。純チタンと比べて約1.5倍の硬さを備える。また、チタンは基本的にくすんだ色合いなのだが、ブライトチタンはその名の通り明るい輝きが特徴だ。
チタン素材ということで全体の重さも100gと軽い。ケースサイズは横41mm×縦49mm×厚さ12.5mmだ。風防は内面無反射コーティングのデュアルカーブサファイアガラス、裏ぶたはシースルーバック、防水性能は日常生活用強化防水(10気圧)となっている。
ムーブメントのスプリングドライブは、世界で唯一、グランドセイコーだけが持つもの。ぜんまいを駆動力にする機械式のメカニズムと、駆動制御にICチップを用いるクオーツ式の機構を融合させたムーブメントだ。精度は平均月差±15秒(日差±1秒相当)で、パワーリザーブも3日間に相当する最大約72時間と長い。
なお、雪白ダイヤルを採用したモデルとしては、ここで取り上げたSBGA211のほか、ケース径が37mmの「SBGX355」(53万9,000円)、28.9mmの「STGF359」(30万8,000円)がある。どちらもクオーツ式だ。
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