マイホームの検討中や引っ越しを考えるときに「新しい家では、今度こそすっきり暮らすぞ!」と思っている方も多いでしょう。
ですが、荷物の見直しを新居に移ってから始めるのでは、手遅れになることも。
今回は、暮らしをリセットする「持ち物の棚卸し」のメリットと、具体的な進め方を整理収納アドバイザーFujinaoが解説します。
○1.「新居に引っ越したら片づける」では遅い?
引越し前の忙しい時期。「とりあえず新居に行ってから落ち着いて片付けよう」と持ち物の整理を後回しにしてしまう人がいます。このように、新居に持ち込むものを吟味せず「とりあえず全部運ぶ」スタイルだと、新居に着いてから荷物の仕分けをしなくてはいけません。
ですが、ただでさえバタバタな新生活。色々な手続きに翻弄されているうちに片づけは後回しに…。
そして「いつか片付けよう」と思ったまま、モノだらけの部屋で数年が経過してしまう、というのはよくあるパターンなのです。ですから、少し大変でも「新居に引っ越す前に」荷物を整理しておくことが大切です。
○2.棚卸しで得られるメリットはこんなに!
新居に引越しをする前や、家の設計中にモノを片付けておくことには、実はメリットがいっぱいあります。
・引越し費用が安くなる
引越し料金は荷物の量に比例します。不要品を処分すればトラックのサイズやスタッフ人数、かかる時間が減り、費用を大幅に抑えられます。
・今の暮らしの不満が“見える化”できる
「この家は収納が足りない」と思っていたのに、実は“モノの量”が原因だった、というのはよくある話。また、「この家事動線は使いにくい」「この収納は使いにくい」と感じている部分は、新居の収納計画を考えるときの大きなヒントになります。
・新居の収納づくりに役立つ
自分の持ち物の量や使い方を知れば、「パントリーはこれくらい」「ここに書類を置きたい」など、暮らしに合った具体的な要望が言えるようになり、家の計画がスムーズになります。
・暮らしの価値観を再確認できる
棚卸しは、自分や家族にとって「何が大切か」を知る機会。ライフスタイルに合わない持ち物を手放すことで、新居で本当に大切にしたいことやお金をかけるべきポイントがハッキリと見えてくるようになります。
3.持ち物の棚卸し、具体的な手順
では次に、持ち物を見直す具体的な手順をご紹介いたします。
【1】収納からモノを全出しして要不要を仕分ける
すっきりと片付いたお部屋にするためには、モノをしまう場所が必要です。つまり、収納空間の中に空きがないとお部屋は片付きません。ですから、まずは収納空間の中のモノから見直していきましょう。棚や引き出し、押し入れや納戸の中などエリアを決めて一度モノを全出しして「使うモノ」「使わないモノ」に仕分けていきます。不要品はすぐにゴミ袋に入れたり「リサイクルに持っていくモノを入れる紙袋」などに入れたりして仕分けていきましょう。
【2】カテゴリで仕分ける
次に、残ったモノを「ジャンル」で仕分けます。
「誰のモノなのか」「何をするモノなのか」「どんな時に使うのか」「お店に並んでいるとしたらこれは何コーナーなのか」などを考えながらモノを「チーム」にしてまとめていきます。
この時、機能が被っていて代用できそうなモノなどあれば、それも厳選していきましょう。
【3】使う人の部屋に収める
家の中は「共有エリア」と「個人エリア」に分かれています。基本的には個人の私物は個人のエリアでまとめて管理をするのが鉄則です。私室がある人はその部屋に私物を置きます。自分の部屋がない人は家のどこかに自分のプライベートスペースを作り、そこに私物を収納するようにしましょう。
共有エリアには極力私物は置かないようにしますが「これだけはどうしてもここに置いた方が便利」という一級品だけは置いても大丈夫。ですがその際も必ずモノの住所をしっかりと決め、かつそこから溢れ出すことがないように意識をして暮らしましょう。
○4.持ち物の棚卸しが終われば引越しも簡単
このようにして自分たちの持ち物をあらかじめ把握しておくと、新居で必要な収納も自然と見えてきます。
例えば、書類が多い家ならリビングに小さなワークスペースを、水筒やランチ用品が多いなら、キッチンに専用の浅い引き出しを、家族の衣類が少ないのであればまとめて管理できるコンパクトなWICを1箇所作る、など。
ただ単に「大きな収納を作っておけばなんとかなるだろう」では、使わないものを溜め込む“ブラックボックス”になりがち。自分たちの持ち物をしっかりと把握して持ち物に合った収納システムを選ぶことが大切です。
転勤族だった筆者は日頃から荷物の整理整頓をしていたため、荷物搬入後、荷解きして段ボールを全部開封し、いつもの生活をスタートする形になるまで毎回3時間程度しかかかりませんでした。今の新居に引っ越した時も荷物搬入したその日の夜には来客を迎えて一緒に引越し祝いのご飯を食べました。
荷物の棚卸しをしておくことは引越しの際の大きな時短になります。
片づけは、家を建てた後より家を建てる前にこそすべき「未来への準備」です。
持ち物を棚卸しし、自分たちの暮らしにフィットする収納を知ることで、新しい家はぐっと住みやすくなります。「いつか片づけよう」ではなく、今の持ち物と向き合うことが、理想の住まいを叶える第一歩です。
この記事が参考になれば幸いです。
Fujinao(フジナオ) 「片づけが苦手…でも変わりたい」そんな女性の味方。整理収納アドバイザーとして延べ400軒以上をサポートし、「片づけは心の整理から」を提唱。元・汚部屋出身だからこそ寄り添える実践的アドバイスが好評。