OpenAIは9月25日(現地時間)、ChatGPTの新機能「ChatGPT Pulse」(以下、Pulse)を発表した。ChatGPTが自発的(プロアクティブ)に情報を収集・調査し、パーソナライズされた最新情報を毎朝届ける機能である。
これまでのユーザーからの問いかけを待つ受け身の使い方から一歩進み、ChatGPTが自ら提案を行う。AIとの関わり方を根本から変える可能性を秘めた新機能である。

Pulseは25日に、Proプランのユーザーにモバイルアプリでプレビュー版の提供が始まった。将来的にPlusユーザーにも拡大し、最終的には全ユーザーへの展開を目指すとしている。

Pulseは夜間にChatGPTが非同期でリサーチを行う。具体的には、過去のチャット履歴やChatGPTの「メモリ機能」、ユーザーからのフィードバックなどを活用し、AIが「ユーザーにとって重要である」と判断したトピックを学習。そして毎朝、5~10個の要約レポートを画像付きの「カード」形式で届ける。カードは見出しと要点がコンパクトに並ぶため一覧性が高く、必要に応じて詳細を開いて深掘りや次のアクションを依頼することもできる。

レポートの内容は多岐にわたる。例えば、応援しているスポーツチームの最新ニュースを要約したり、ケガから回復中のユーザーにリハビリに適した運動を提案するなど、さまざまな情報や助言を提供する。

GoogleカレンダーやGmailといった外部アプリと連携させることで、パーソナライズの精度はさらに向上する。例えば、カレンダーに登録された出張予定から現地のレストランをリサーチして提案したり、誕生日プレゼントの購入をリマインドするといったことが可能になる。
これらの連携機能はプライバシーに配慮してデフォルトではオフに設定されており、ユーザーがいつでもオン・オフを切り替えられる。

ユーザーの操作としては、「Curate(キュレート)」をタップして、「金曜に近所のイベントのまとめ」「明日はプロテニスの最新ニュースに注目」といった要望を伝えたり、提供されたカードに対して「(役に立った)」「(役に立たなかった)」のボタンをタップしてフィードバックを送る。こうしたインタラクションの積み重ねにより、Pulseはよりユーザーの意図を汲み取る精度を高めていく。

OpenAIは、Pulseを「より有用なChatGPTへの第一歩」と位置づけている。近日中にPulseと連携できるアプリを追加する予定である。また、会議前の簡単な確認、下書きを見直すリマインダー、必要に応じたリソースの表示など、朝だけではなく、一日の中で最適なタイミングでPulseが適切な支援を提供する方法も模索している。ユーザーの指示に基づいて、主体的に計画を立て、有用な行動を取るAIシステムが実現することで、「ユーザーが問いかけていない時でも前進が生まれる」としている。

しかし、こうした能動的な支援機能は、ユーザーにとって有益な提案がなされなければ、過剰な介入と感じられる可能性もある。一方で、パーソナライゼーションの精度を高めるためには、ユーザーがより多くの個人情報を提供する必要がある。OpenAIが掲げる「誰もが利用できる高度なサポート」というビジョンの実現には、この利便性とプライバシーのバランスをいかに取るかが鍵となりそうだ。
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