名古屋のローカルフード「矢場味仙」が東京に初出店する。名古屋出身者だけでなく、全国に熱狂的ファンがいる「矢場味仙」。
○矢場味仙、そして味仙とは?
「味仙」と名の付く店は名古屋に複数あるが、これはかつて名古屋で中華料理店を営んでいた郭 宗仁(カク ソージン)、郭 汪蘭(カク オーラン)の5人の子どもたちが、「味仙」としてそれぞれ開業したものだという。
基本的なメニューは同じだが、5人兄弟それぞれがつくる味わいは少しずつ異なり、個性が際立つ。中でも「矢場味仙」は、大須や栄から近い地下鉄矢場町駅近くに店を構える「旨辛」が特徴の店。辛さの中にも旨味とコクを作り上げている。そんな矢場味仙が初めて愛知県外に出店するのが「矢場味仙東京」だ。場所は渋谷の道玄坂。
名古屋の矢場味仙のファンの方は店内を見ると驚くかもしれない。矢場町駅にある本店は6階建てのビルの1階~3階に約350席を構えるが、東京店は2階建てで合計28席。雰囲気もかなり異なり、コンセプトは「日本にいながら海外を味わえる」ように、異国情緒あふれる内装になっている。
時間によって店内の照明の色が切り替わり、昼間は明るい雰囲気の蛍光灯・夜は薄暗いバーにいるような照明になるなど、雰囲気がくるくると変わる不思議な演出も魅力。
○唯一無二のウマさに驚き続ける
今回は「矢場味仙」で人気のメニューをいただいた。まずは「小袋」。ビールのつまみにも合う、矢場味仙ファンには定番の一皿だ。毎日仕込みをすることで柔らかさがあり、辛味に加えて程よい酸味が感じられるのが特長。
「青菜炒め」も、矢場味仙ファンが必ず頼む超人気メニュー。小松菜とニンニクを炒めたものだが、初体験の不思議な香ばしさ、ニンニクのコク、そして青菜のシャキシャキ感がずば抜けて美味しい。ものすごい強火でサッと炒め、注文から1分以内に提供されるという。ニンニクは少し生感が残っており、絶妙な食感と味わいがある。
矢場味仙では一般的な中華料理屋の4倍近い火力を使うことで、こうした唯一無二な美味しさが誕生するのが魅力だが、一方で出店時にそのガスが供給できるテナントが限られてしまうというネックもある。筆者は小袋と青菜炒めを食べた時点で「矢場味仙を都内に100店舗くらい作ってほしい!」と思ってしまったが、こうした理由もあってなかなか出店できる場所がないのだという。
「酢豚」と聞いてイメージするビジュアルとは違うものが出てきた。
箸でつまめる2cm角ほどの一口サイズは、豚バラ肉を角切りにして素揚げし味付けをしてさらに揚げて甘酢をかけたもの。しっかり感じる酸味にピリ辛な味付けでビールが進む。
付け合わせは自家製の甘酢キャベツ漬け。矢場の本店では、単品でも提供しているほど人気で、さっぱりと口をリセットしてくれる。
そして「ニンニクチャーハン」。矢場味仙ファンからはとてつもなく人気の高いメニュー。一人で2~3杯注文する人もいるという。高温で一気に炒めることで油をしっかり含み、さらに生に近い状態のニンニクの食感が楽しめる。
ニンニクはかなり大きめにカットされ、稀に丸々1個入ってることもあるほど。ツウは「台湾ラーメン」のスープをかけて食べるという。また、バナナマン日村さんがテレビで「『アサリ炒め』の汁を『ニンニクチャーハン』にかけて食べる」と紹介して以降は、ファンの間でも定番の食べ方となったのだそう。
そして「台湾ラーメン」は唐辛子の辛さと、にんにく・ひき肉(台湾ミンチ)の旨味が味わえる。真っ赤な見た目に最初は驚くが、見た目ほど辛すぎることはない。でも唇はピリピリっとくる。でも旨味がある。
矢場味仙の「台湾ラーメン」にはメニューに記載のある辛さ控えめなアメリカン以外に、裏メニュー的にイタリアン、メキシカン、アフリカン、エイリアンがある。いずれもスープは同じものを使用しているが辛さが異なり、イタリアンは激辛で、メキシカン、アフリカン、エイリアンと進むごとに唐辛子の量が増えどんどん辛くなるらしい。
デザートに食べたいのは「杏仁ソフト」矢場味仙オリジナルのソフトクリームで、濃厚な杏仁豆腐味で辛かった口を優しく包み込んでくれる。「杏仁豆腐が苦手な人でも食べられる」というほどファンが多い。たしかにこれだけコンビニで売ってほしいほど、他では食べたことがない味わいのソフトクリームだ。
名古屋まで足を運んでいた矢場味仙ファンは渋谷でも楽しめるという朗報! そして、筆者のように矢場味仙を食べたことがない方はぜひ早急に足を運んでほしい。衝撃の旨辛が待っている。