鮨屋が始めた"肉を焼かない焼肉屋"「焼うお いし川 銀座凛華楼」が9月25日、銀座三越(東京都中央区)にオープンした。「焼うお いし川」は鮨店などを運営する有限会社築地青空の創業者石川太信氏が7年間かけて考案。
カウンター席で焼師が一切れごとに魚を目の前で炙ってくれるライブ感のある演出が魅力だ。
○全席カウンターのライブ感「焼うお いし川 銀座凛華楼」
「焼うお いし川 銀座凛華楼」は築地本店、六本木、名古屋、博多、ベトナム・サイゴンに続く6店舗目となる。銀座三越新館の最上階12階に位置する。
店内は全席がカウンターで、目の前の焼肉用ロースターで魚を一切れごとに炙ってくれる。石川社長自らカウンターに立ち接客することも。
店内はカウンターが10席程度あり、別で3~4名用と4~5名用の個室が1つずつある。
お酒のおすすめはビール、あるいはスタッフが料理ごとに合わせてくれるナチュラルワインだという。魚なら白ワイン? と思いきや社長が好きなロゼワインをおすすめいただいた。どれも炙った魚に合う。
○名物! 「至福の三色丼」は贅沢の極み
人気の「三色丼コース」(1人前1万5,000円)を注文。驚くのは〆ではなくはじめに名物「至福の三色丼」が出されること。まず厚切りの大トロを醤油だれに漬け、豪快に炙っていく。
途中から肉を焼いているのでは? と錯覚するが、まぎれもなくこれは大トロなのだ。
赤酢の酢飯にいくらとウニをたっぷり、その丼の上に炙った大トロがのせられる。
いくらとウニがのっている丼というだけでも贅沢だが、石川氏曰く「いくらとウニはあくまで大トロを食べるための調味料」とのこと。食べ方に迷うが、おすすめはまず炙った大トロだけをひとかじり、その後ウニをのせて食すことだという。
○「焼きうお」は飽きさせないバリエーション豊富な楽しみ方で
「至福の三色丼」だけですでに満足度は一気に最高潮に達したが、ここから「焼きうお」が始まる。大皿の上にのせられた刺身の盛り合わせが登場。
この日はまずホッキ貝からスタート。焼肉のように味わいの順番が計算されており、たとえばホッキ貝はタンのイメージですだちを絞ってさっぱりいただく。
石川氏によると「ホッキ貝は10秒だけ焼くとグラデーションがつくんですよ」とのことで、生感も残っているので噛むとじゅわっと旨味が口の中に広がる。すだちの塩味とホッキ貝自体の甘みも加わり、ホッキ貝の美味しさを再確認する。
最も感動したのは「特上カルビ」的存在の大トロ。いまにも崩れそうなほろほろの大トロを大胆に炙り、酢飯の上にのせてもらう。
酢飯は炙られた魚の旨味を吸い込み、唯一無二の味わいに変化する。
最初は「そのまま食べても美味しいであろう刺身を焼いちゃうのはもったいないのでは」なんて思っていたのだが、食事が進むにつれ、炙ることで魚の新しい美味しさを味わえることを確信していく。
さらに中トロはすき焼き風に提供される。くるっと丸めた中には白髪ねぎが仕込まれており、卵黄を少しだけ崩していただく。焼いた魚たちは様々なバリエーションの楽しみ方があり、最後まで飽きることがない。
○合間のお料理・デザートも完璧主義
「至福の三食丼」「焼うお」に目を胃袋を奪われがちではあるが、合間に登場するお料理にも妥協なき姿勢がつまっている。日によって使用する食材は異なるが、この日に登場した「お造り」には珍しい甘エビの卵付き。
「季節のお浸し」は独特すぎる器に盛られており、ほうれん草・菊の葉・榎茸が使用されたビジュアルから楽しい逸品。
後半に口直しとして提供された「オクラと豆乳すりながし」。いくらとウニものっていて贅沢。
〆の「濃厚ハマグリ出汁の冷麺」には、ハマグリを101個使用しているという。
デザートには濃厚な味わいにこだわりが垣間見える「杏仁豆腐マンゴージュレ」。
冒頭から最後の1品に至るまでサービス精神と演出に妥協のない「焼うお いし川 銀座凛華楼」。特別な日の食事に大切な人と一緒に、あるいは自分へのご褒美として選びたい贅沢だ。
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