Windowsで、OneDriveを使うと、特定のフォルダをバックアップしたのと同じことになる。しかし、3台以上のマシンでOneDriveを使うと、ファイルの衝突(コンフリクト)が発生することがある。
ファイルを更新し、そのまま同期が行われず、その間に別のマシンでファイルを更新してしまうと衝突が発生する。そうなると余計なファイル(末尾がホスト名)ができてしまう。情報が欠落するわけではないが、不要なファイルかどうかは、ユーザーが手動で判断するしかなく、アプリケーション固有のバイナリファイルでは確認が難しいこともある。

OneDriveはクラウドのサービスなので、調子よく動いているときには、バックアップとなりえるが、そうでないこともある。また、同期に通信が必要というのもデメリットの1つ。

ちゃんとしたバックアップを作りながら、同時にOneDriveを使うには、「ファイル同期」アプリを使い、ローカルフォルダと、OneDriveのフォルダを同期させるのがよい。

これで、ファイルを複数のマシンで共有しつつ、ローカルフォルダに保存しておくことができる。これでも心配なら、「ファイル履歴」などを使って、別ドライブにローカルファイルのバックアップを行うことができる。

筆者は、仕事用のファイルは、ローカルフォルダにおき、作業は原則、ここで行う。これをOneDriveのフォルダと同期させることで、他のマシンとの共有と、簡易なバックアップを行っている。

問題は、ここでファイル同期アプリに何を使うかということだ。筆者は、FreeFileSyncを使っている。
選択の理由はいくつかあるが、基本的にコマンドラインで動作を指定できる。これによりタスクスケジューラーによるスケジュール実行が可能になる。

同期処理を「Batch」ファイル(cmd.exeのBatchとは異なる)として保存し、実行時にBatchファイルを指定可能できる。双方向の同期ができるというのも重要なポイントだ。

また、アップデートが頻繁で、ソフトウェア開発が続いていることから、Windowsのアップデートやバージョンアップに追従できている。

同期処理は、データベースを使い、前回の同期結果を記録する。これを使うことで、同期元、同期先のどのファイルが更新されたのかを判断できる。このため、ファイルの同期を双方向にできる。外出先には、OneDriveフォルダのファイルを直接編集し、同期を行わせる。一定時間ごとにFreeFileSyncを起動し、変更のあったファイルを取り込むことができる。

タスクスケジューラーの繰り返し時間は30分が適当である。これだけの時間があれば、外出前の変更をOneDrive側と同期できる。
たいていの外出では、家を出てすぐにファイルを編集することはなく、1時間程度は移動などに費やされるからだ。このとき30分もあれば、OneDrive側に反映させることが可能だ。ただし、FreeFileSyncを動作させるマシンの電源が入っている必要がある。例えば、システムのスリープ設定は、30分以上(余裕をみて1時間以上)にしておく必要がある。

なお、急ぐ場合は、外出直前にFreeFileSyncを起動して、強制的にOneDrive側フォルダと同期させる。よほど大きなファイルでもなければ、OneDriveは数分程度で同期を完了できる。

今回のタイトルネタは、映画「クラウド アトラス」(2012年)である。ファイル同期はときにクローンと呼ばれることもあることからクローン人間が登場する映画を選んだ。タイトルは、日本の作曲家一柳慧の「雲の表情」の英語訳から取られた。原作が英語なので、翻訳せず英語のカタカナ表記となったが、原作本「Cloud Atlas」(David Mitchell著、2004年。邦訳は2013年、河出書房新社)である。ちなみに映画でも原作本でも、1973年の映画「ソイレント・グリーン」のネタバレがある。
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