ブランド総合研究所は10月6日、「地域ブランド調査2025」の結果を発表した。調査は2025年6月24日~7月9日、20代~70代の消費者33,449人を対象にインターネットで行われた。


同調査は年1回実施されており、今回で20回目となる。 調査対象は、全国1,000の市区町村(全792市+東京23区+185町村)と47都道府県。魅力度など、各地域の計90項目を数値化した。

地域ブランド調査2025の1位は北海道、次いで2位は京都府。いずれも17年連続。3位は沖縄県だった。神奈川県(昨年5位)が初の4位に、東京都(昨年4位)が5位に下落した。初の最下位47位は埼玉県(昨年46位)。昨年47位の佐賀県は45位に順位を上げた。

○2023年から地域ブランドは新たなフェーズに

1000市区町村の魅力度の平均を、年度別に比較した。すると地域活性化に大きな影響を及ぼした出来事を境として、下図のように5つのフェーズに分けることができる。

地域ブランド元年と呼ばれている2005年からの黎明期、東日本大震災を機に始まった復興期、2015年からの地方創生、2020年からのコロナ禍、そして2023年からの新フェーズだ。
このグラフを見るとそれぞれのフェーズで傾向が異なっていることが見て取れる。

これを回答者の年代別に分析すると、その傾向は大きく変化していることがわかる。黎明期や復興期は年代が高いほど平均点が高いが、地方創生やコロナ禍のフェーズでは20代や30代の評価が上昇し、40代以上より高くなっている。新フェーズでは20~30代は一度下降した後、25年には再び上昇しているが、40代以上はほとんど変化していない。つまり、新フェーズでは、若年層とそれ以外で地域に対する評価の状況が大きく異なっている可能性がある。

○熊本はITと空港効果で上昇

都道府県・魅力度ランキングの1位以下で大きく上昇したのは、19位の熊本県。前年の24.1点から27.7点へと3.6点の上昇で、これは奈良県に次いで大きかった。同県は世界最大の半導体企業関連の工場が2024年末に稼働したことから、「IT・先端技術の県」のイメージが全国5位と高い(10年前の2015年には25位)。また、新空港の影響で観光意欲が前年の22位から14位へと急上昇、「アクセスがいい」も34位から25位へと上昇している。

26位の山形県も前年の33位から急上昇。山寺(宝珠山立石寺)や米沢上杉まつりが注目されている。

○伊勢市、出雲市が急上昇

市区町村では2033年の伊勢神宮の式年遷宮の儀式が始まった伊勢市が前年の23位から13位へと上昇。
出雲市も44位から20位に大きく順位を上げた。

15位の屋久島町、26位の南富良野町、31位の美瑛町、42位の洞爺湖町、45位の白川村、48位白浜町など観光人気が高い町村も順位を上げている。

1000市区町村の魅力度の平均は11.2点で前年より0.3点上昇したが、ランキング上位で点を落としている。一方で、500位以下の平均では0.6点上昇している。

○居住意欲度は神奈川県が1位に

地域ブランド調査には、魅力度以外に観光意欲度や居住意欲度など「ヒト・モノ・カネ」の流入につながる行動指標や、地域資源やイメージなどの評価に関するものなど、数値化した指標は魅力度も含めて都道府県、市区町村ごとに90項目ずつある。その中で主要な指標の上位は以下のようになった。

居住意欲度は1位は神奈川県で、2021年以来4度目の1位となった。具体的な商品の購入以降を表す「食品想起率」では静岡県や長崎県、福岡市や仙台市などで大きく順位が上昇した地域がある。

市区町村では、鎌倉市が観光意欲度は前年の16位から5位へ、居住意欲度は前年の7位から3位へといずれも大きく順位を上昇させている。また、軽井沢町も同様だ。市区町村の個々の個々の指標は、イベントや観光キャンペーン、スポーツなどのチームや選手の活躍、テレビドラマや映画、アニメの舞台化などで大きく変化をすることが多い。
○居住意欲は観光より伸びが大きく、産品は低下

ここまでに示した6つの指標が、経年でどのように変化したかを、1000市区町村の平均値で比較した(都道府県調査を開始した2009年の結果と比較した)。
数値は2009年の平均値からの伸びを%で算出している。

最も伸びた指標は居住意欲度で83.5%も上昇、特に地方創生への取り組みが本格化した2015年から急上昇している。これは観光意欲度の伸び(21.4%)より大きい。

一方、食品や食品以外の産品は2007年より低下しており、2015年以降の伸びも大きくはないようだ。
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