東京大学(東大)、ソフトバンク、LINEヤフーの3者は10月10日、経済産業省のCIP(技術研究組合)制度を活用した「Beyond AI技術研究組合」を2025年9月19日に設立し、共同研究からの事業化加速に向けて活動を開始したことを発表した。
共同研究の事業化迅速化へ新たな制度を活用
東大、ソフトバンク、LINEヤフーの3者は、“Beyond AI連携事業”として共同研究をエコシステム化することを目指し、2020年にBeyond AI研究推進機構を設立。
しかし3者によれば、ひとつのCIPに対してひとつの事業会社を設立するプロセスでは、研究から事業化までに煩雑な手続きや多くの時間を要するため、迅速な事業化やAIの社会実装への着実な進展という点で課題を残していたとのこと。それらの解決を見据え、2024年6月に経済産業省においてCIPの設立・運営ガイドラインが改正されたことも受け、複数のテーマを並行して研究するひとつのCIPから複数の事業会社を設立するプラットフォーム型のBeyond AI技術研究組合を設立したとする。
同研究組合では、パーソナルAIエージェント時代におけるAI技術の高度化や、基盤技術開発などの試験研究を行うとともに、これまでBeyond AI連携事業として取り組まれてきた医療ヘルスケア領域などへのAI応用研究を推進するという。またソフトバンクおよびグループ会社との連携を通じ、さまざまな産業領域とのデータの活用・循環を念頭に置いた概念実証にも取り組むとした。
3者は今回の発表に際し、プラットフォーム型CIPという特徴を最大限に活用して複数の研究テーマを同時に進行することで、事業化やAIの社会実装を加速させることはもちろん、研究テーマ間のシナジーによる新事業創出も期待されるとする。さらに将来的には、他の大学・研究機関や企業の参加を得ることで、AIの事業化を推進するための研究から事業化へのプラットフォームとしての発展を目指すとしている。