平成レトロブームが続く中、二次流通市場で静かな熱気を帯びている「使い捨てカメラ」。いまや"エモい写真"需要の流れで、その対象は当時流通していた「iPhone」や「Android」にも広がっているようで――買取業の「買いクル」を運営する株式会社RCのCSO・島津大輔氏に、市場動向を聞いた。
――二次流通市場において、「写ルンです」などの使い捨てカメラはどのような需要があるのでしょうか?
実用とコレクション、両方の需要があります。
実際に撮影をして楽しむ層としては、若い世代が中心です。当時のアナログ写真ならではの質感、フラッシュ特有の白飛び、偶然性がいまのデジタル写真にはない味として評価されています。
一方で、コレクションとして購入する層もいます。その場合、未開封であることはもちろん、限定仕様・パノラマ・防水など特徴のある個体の需要が強いです。
――いくらくらいで取引されているのでしょうか?
一般的な未使用品で2,500~2,700円前後が一つの目安となります。未開封・保存状態良好・付属完備などはプラスのポイントになります。
また、セットでの出品は強いです。未開封5個セットなどは目を引きやすく、単品より落札効率がよい傾向があります。
目安としては、製造後2~3年程度が一つの基準となり、未使用品でなくても、残り枚数が多い・実写可能と判断できる個体は需要があります。
パノラマ対応モデル、防水仕様、限定パッケージ、ISO感度の高い個体などは、コレクターからの評価が高く、高値が付く可能性があります。
――個人で出品する場合、どこで売るのが高く売れますか?
Yahoo!オークションやメルカリが主戦場となりますが、面白い動きとして、若い世代に届きやすいメルカリでは、アナログ写真需要から、過去発売されたiPhoneやAndroidも高く買い取られる傾向にあります。
そもそも二次流通市場で使い捨てカメラが多く流通しだしたのも、大学生が昔のiPhoneでエモい写真を撮る、という現象が発端でした。
僕ら世代(昭和生まれ世代)でいう"昔のカメラで写真を撮ってみたい"という衝動と全く同じです。
このようなレトロ回帰の現象は海外でも起きていて、日本製の品質の高い使い捨てカメラは海外需要も高いので、eBayなどの越境ECでも高値での売却が期待できます。
島津大輔 しまづだいすけ 株式会社RC CSO/フランチャイズ 本部責任者、SevenStarsIslands株式会社 SNS事業責任者、買いクル本部 中学・高校・大学 特別授業講師。2018年、出張買取サービス「買いクル」初期立ち上げメンバーとして株式会社RCに参画。買いクルフランチャイズ全国122拠点への展開・教育体制構築に貢献し、2024年から現職。外部の企業PR、新サービス開発コンサルティング事業にも携わり、事業開発と現場支援を両立。SNS講師として教育機関・自治体・企業研修で登壇実績多数。 この著者の記事一覧はこちら