年金支給に上乗せとなることで、話題になっている「年金生活者支援給付金」。生活を支えることが目的ですが、誰が・いくらもらえるのでしょうか。
この記事では給付金の概要や対象者、支給額を分かりやすく解説します。

「年金生活者支援給付金」とは?

年金生活者支援給付金は、所得が一定以下の年金暮らしの方を対象に、通常の年金に上乗せされて支給される制度です。令和7年4月からは、物価変動を理由に支給額が増加しました。

この給付金ができた理由は、以下の2点です。

低所得の年金受給者の生活支援
消費税率引き上げ分の活用

年金を含め、所得が少ない方への生活支援が目的です。食料品やガソリンなどあらゆる物価が高騰を続けており、限られた収入しかない方の厳しい生活を支援します。

また、この給付金の財源は消費税率の引き上げ分であり、増税分を社会保障の充実に充てるという方針のもとで導入されました。
対象者・支給額はいくら?

対象者や年金生活者支援給付金の支給額は、受給している年金の種類によって異なります。
○老齢基礎年金を受給している場合

老齢基礎年金受給者の場合、対象となるのは、以下の条件をすべて満たしている方です。

65歳以上で、老齢基礎年金を受給していること
同一世帯の全員が、住民税非課税であること
前年の公的年金などの収入金額、その他所得の合計額が、一定以下であること

3つ目の条件に関しては、昭和31年4月2日以降に生まれた方は90万9,000円以下、それ以前に生まれた方は90万6,700円以下であることが条件です。これらの条件から、現在はほとんど働いておらず、収入はほぼ年金のみの高齢者がメインの対象者であることが分かります。

支給額は月額5,450円を基準に、保険料納付期間などによって算出されます。
具体的には以下2つの合計です。

月額5450円×保険料の納付済み期間 / 被保険者月数480カ月
月額11,551円×保険料免除期間 / 被保険者月数480カ月

保険料の納付済み期間が480カ月であれば、満額の5,450円です。免除期間があると、その分が月数に応じて加算されます。

○障害基礎年金を受給している場合

障害基礎年金の場合、以下2つの要件を満たしている方が対象です。

障害基礎年金を受給していること
前年の所得が479万4,000円以下であること

支給額は、障害2級の方は月額5,430円、障害1級の方は月額6,813円です。
○遺族基礎年金を受給している場合

以下2つの要件を満たしている方が支給対象です。

遺族基礎年金を受給していること
前年の所得が479万4,000円以下であること

給付額は月額5,430円です。ただし、ただし、2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合は、5,450円を子の人数で分割した金額となります。
手続き方法

対象者には、日本年金機構から、年金生活者支援給付金に関する封書が届きます。以下2つの方法のいずれかを選んで手続きをしましょう。
○郵送での申請

封筒の中に入っているハガキに、氏名・日付・電話番号を記入します。記入したハガキに目隠しシールと切手を貼り、ポストに投函すれば完了です。

○オンライン申請

スマホでマイナポータルにアクセスし、老齢年金関連の項目から手続きをします。請求者の基本情報を確認し、パスワードを入力し、スマホの裏側にマイナンバーカードをかざして読み取ります。
まとめと注意点

年金生活者支援給付金は、公的年金を受給していて、収入がそれほど多くない方を対象としています。物価高が続く現在、受給できるものは確実に受給しておきたいところです。

ただし、手続きをしないと上乗せがされません。支給開始は、請求した月の翌月分からとなるため、早めの手続きがおすすめです。

「受給対象であるはずなのに封書が届かない」など不明点がある場合は、お近くの年金事務所に行って確認しましょう。

安藤真一郎 あんどうしんいちろう マーケティング会社に勤務した後、フリーランスのライターに転身。 多種多様なジャンルの記事を執筆するなかで、金融リテラシーを高めることや情報発信の重要性に気づき、現在はマネー系ジャンルを中心に執筆している。 ライターとして、知識のない人でも理解しやすいよう、かみくだいた文章にすることが信条。 ファイナンシャルプランニング技能士2級、日商簿記検定2級取得。 この著者の記事一覧はこちら
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