千葉県立関宿城博物館(千葉県野田市)では、開館30周年記念企画展として「関宿城に舞う鷹の羽~下総久世家~」を開催している。開催期間は2025年11月30日(日)まで。


関宿藩主であった久世家は、寛文9(1669)年の藩主就任から明治4(1871)年の廃藩まで、約180年にわたり下総国関宿藩(現在の千葉県野田市関宿周辺)を治めた。関ヶ原の戦い以前から徳川家に仕える譜代大名として歴代将軍からの信任が厚かった久世家は、江戸時代を通じて、幕政の中枢において重要な役職に就く藩主を輩出した。

今回の展示は、開館30周年を記念し、久世家のうち藩の領地や石高を安定させていく初期の藩主たちを取り上げ、久世家ゆかりの品々や、関宿の絵図を通じて、藩の体制が整備されていく様子を紐解くものとなっている。

■「関宿城に舞う鷹の羽~下総久世家~」開催概要
開催期間:2025年10月4日(土)~11月30日(日)
会場:県立関宿城博物館(野田市)
開館時間:9時~16時30分
入場料:一般300円、高校・大学生150円
※中学生以下、65歳以上、障害者手帳などを持っている人とその介護者1人は無料
※11月3日(月・祝)文化の日は誰でも無料
休館日:月曜日(月曜日が休日の場合は翌日)
○●「関宿城に舞う鷹の羽~下総久世家~」展示紹介

■(1)久世家の系譜
早くから徳川家に仕え、歴代将軍からの信任が厚かった久世家。戦国時代の三河国(現在の愛知県)から始まる徳川家とのかかわりと、久世家として初めて藩主となった広之(ひろゆき)までの系譜を紹介する。

■(2)広之の入部(にゅうぶ)(関宿藩主就任)
2代将軍 徳川秀忠、3代将軍 家光に仕えて大名となり、4代将軍 家綱の時に若年寄(わかどしより)、さらに老中へと昇進を続けた広之は、深く幕政に関わっていく。そして寛文9(1669)年、関宿藩主に就任し、ついに関宿の地に入部する。

■(3)家臣団の形成
旗本から5万石の大名まで昇進を重ねていくにつれて、多くの家臣を召し抱えるようになった広之。家臣召抱えの経緯や大きくなった家臣団をまとめるために定めた様々な規則などを紹介する。

■(4)城と領地
初代藩主広之による城下町整備や御三階櫓再建の功績、そして広之の代の藩領の詳細や石高が58,000石に定着するまでの藩領の移り変わりなどを、関連資料や歴史的背景とともに詳しく紹介する。

■(5)領内の町と村
大きな河川に囲まれた関宿藩領は水陸交通の要衝として舟運が発達し、河岸が栄えた。豊富な水は広がる平地を潤し、米をはじめとする豊かな産物をもたらす一方で、領民は頻発する洪水にも苦しんだ。
藩が行った洪水対策と、それによって悪化していく藩の財政状況を紹介。また、関宿藩は下総国以外に飛地があったが、そうした状況についても紹介する。

■(6)その後の藩主
広之以降の久世家は重之(しげゆき)・暉之(てるゆき)・広明(ひろあきら)と引き続き関宿を治めた。また、重之・広明は将軍の側に仕えて老中まで昇進し、広之と同じく幕府の要職を担う。重之以降、初期の藩主たちの藩政や、幕府との関わりを紹介する。

「関宿城に舞う鷹の羽~下総久世家~」では、様々な関連事業が行われる。

■シンポジウム「外から見た関宿藩」
関宿藩と同様に関東に配された譜代藩の役割や位置づけについて討論する。
講師:鈴木紀三雄氏(行田市郷土博物館館長)、永用俊彦氏(古河歴史博物館学芸員)
日時:11月3日(月・祝) 13時30分~15時50分
会場:野田市関宿コミュニティ会館(いちいのホール)小ホール
申込:県立関宿城博物館宛てに電話または来館で受付

■ミュージアムトーク
担当学芸員による展示解説会が行われる。
日時:10月18日(土)、11月15日(土)
11時~、13時30分~(1日2回)
申込:当日受付

■体験教室「甲冑を着てみよう」
甲冑を着て、武者になりきろう。
日時:11月9日(日)、11月22日(土) 10時30分~12時、13時30分~15時(1日2回)
申込:当日受付

■ワークショップ「ぬりえ『御三階櫓(ごさんかいやぐら)を作ろう』」
関宿城のシンボルで、御三階櫓(ごさんかいやぐら)と呼ばれた天守閣を塗り絵シールを貼って、完成させる。
日時:会期中の開館時間内
場所:エントランスホール

また、謎解きクイズラリー「むず難(むず)!?チーバくんとカッピーのせきやど探検隊」も同時開催。関宿城の周辺で宝箱を探し、クイズに挑戦しながら関宿の歴史について楽しく学ぶクイズラリーも開催中となっている。
各詳細は公式サイトにて。
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