訪日旅行でも人気が高く、日本酒の有望な輸出国として注目を集める台湾。その日本酒シーンを盛り上げている二人のキーパーソンに話を聞いた。
○蔵元のドラマに共感が集まる、"物語のある日本酒"が台湾で人気
日本酒造青年協議会が、日本酒や日本文化を愛し、その素晴らしさを国内外に広める活動をしている個人に与えているのが「酒サムライ」。今年叙任された3名のうち1名が台湾人の管怡宣氏。
彼は日本酒・焼酎の輸入と教育に携わり、これまで170回以上の講演・授業で延べ5,000名超の受講者を輩出してきた伊台貿股分有限公司の董事長 兼 総経理。また2025年6月に設立された清酒・焼酎専門団体「台湾清酒・焼酎研究協会」の初代理事長や、台北市酒類商業同業公会理事、STARLUX航空日本酒講師なども務めている。
そんな管氏が台湾の人々におすすめしている日本酒ブランドの一つが「日日」(にちにち、日々醸造、京都・伏見、720ml 国内では2,000円代~11,000円台まで価格は様々)。
「黒いボトルにシンプルなラベルがおしゃれで、口当たりが飲みやすく、フルティーな香りも楽しめます。同蔵の代表で杜氏の松本日出彦氏は、突然、前の酒蔵で無念の退職をすることになり、各地に酒造りの修業に行かれ、逆境を乗り越えて2021年に新しい酒蔵を作られました。その不屈の精神、奮闘ぶりが人々の感動を呼んでいます」と管氏。
台湾はコロナを封じ込むのが世界的にも早かった国で、以前は輸入されていなかった酒蔵の酒もコロナ禍に輸出されるようになり、コロナが明けるとその数は約400蔵(約1,200銘柄)にまで拡大したのだそう。その中で注目されているのが、消費者の心を動かす感動的な物語のある酒蔵やお酒。
続いて管さんがおすすめするのは、華やかなピンク色のボトルで目を引く「純米大吟醸さくらひめ」(石鎚酒造、愛媛・西条市、720ml約4,000円、台湾では約12,000円)。愛媛県内22の蔵元が一丸となり、地域の魅力を発信するためにオリジナルの花酵母を使用し、各蔵が個性を活かしてお酒を開発した「えひめ香る地酒プロジェクト」のお酒の一つ。
「このお酒には『愛媛さくらひめ酵母Type1 Tropical』と愛媛県産の酒米『しずく媛』を100%使用しており、全て地元のものにこだわった地域性、独自性で話題になっています」と管氏。果実を感じさせる華やかな香りと、適度な甘さと爽快な酸味が調和し、台湾でも女性や若い世代に好評だ。この愛媛県酒造組合のプロジェクトは、新世代を開拓する取り組みとして国内では2024年グッドデザイン賞を受賞した。
○台湾でも安定した人気の生酒、"日台の絆"を象徴する注目酒
「世界唎酒師コンクール」で優勝した黃鳳誼さんは、台北のレストラン「Golden & Afterglo」のソムリエ。「ミシュランガイド」で一つ星に掲載された「ロングテイル」で勤務していた時代から一緒だった有名シェフ、ミン・キン・ラム氏のもと台湾で新たな飲食シーンを開拓している。
「普段、頻繁に提供している日本酒は「風の森」シリーズ。伝統的な製法と創造的な新製法に対する彼らの挑戦の物語は本当に感動的です。生酒ならではの美味しさで、日本酒ビギナーやワイン愛好家でも最初の一口目から高く評価してくれます。
「風の森」は1719年創業の油長酒造(奈良・御所市)の代表的銘柄。火入れ(加熱処理)や加水、濾過を行わない搾りたての生酒で、フレッシュなみずみずしさやシュワシュワした活性の微発泡が魅力になっている。
前述の管さんも台湾での生酒の人気ぶりをこのように振り返る。「2018年頃から日本酒の輸入会社が増え、取扱銘柄も2~3倍に増え、日本各地から今まで飲んだことがないようなお酒がたくさん入るようになりました。この頃から生酒の美味しさに注目する消費者が増え、台湾で開催されたある日本酒フェアでは生酒ブースまで登場したり、お客様に『生酒はないですか?』と聞かれたりするように」。
最後に紹介するのは、免許の関係で日本では販売されていないが、台湾や海外に向けて輸出されている「台中六十五号」(たいちゅうろくじゅうごごう)というブランド。醸造するのは台湾・台南市出身の陳韋仁(チン・イジン)さん。
島根大学に留学後、日本酒と出会い、「獺祭」(獺祭、山口)や「李白」(李白酒造、島根)などで修業し、その後2021年に台雲酒造(島根・出雲市)を創業して、台湾出身初の蔵人杜氏となった。酒蔵名は「台湾」と「出雲」の頭文字から命名されており、「日台の文化交流」を目指している酒蔵。近年、世界的に有名な酒アワードも数多く受賞している注目蔵だ。
その魅力を黃さんはこう語る。
約10年間、仕事で日本に駐在していた管さんはこう語る。「台湾では2~3年ごとに日本酒のトレンドが変わる。今は低アルコールの日本酒が人気」。黃さんは日本に旅した際に都内の居酒屋で日本酒と出会い、ワインよりも好きになった。今後、多言語で音声配信アプリなどを通じてさらに日本酒の魅力を発信したいと意気込む。
日本酒を愛する台湾の専門家たちの活動が、台湾の、アジア全体の日本酒シーンを牽引している。あなたが街で出会った台湾からの旅行者も、未来の“日本酒アンバサダー”かもしれない。台湾で進化する日本酒カルチャー、ぜひ台湾で話題になっている日本酒もこの機会にチェックしてみてみよう。











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