パナソニック エナジーは10月23日、大阪府貝塚市に位置する二色の浜工場において、太陽電池・純水素型燃料電池・蓄電システムを連携制御するエネルギーマネジメントシステム(EMS)の本格的な運用を開始し、再生可能エネルギー(再エネ)を最大限活用することで同工場での使用電力の15%を自給できる体制を構築したことを明らかにした。
○太陽光・水素・蓄電池の3種電源で電力ロス最小化へ
パナソニック エナジーの二色の浜工場は、同社乾電池事業のグローバル旗艦工場であり、自動化システムなどを取り入れたスマートな生産体制のもとで、高品質な乾電池を国内外の市場に向けて生産している。
また2023年には、同工場の敷地内に設置するオンサイト太陽光発電や、敷地外の太陽光・風力・地熱発電由来のオフサイトコーポレートPPAの活用、さらには非化石証書の購入などを通じて、CO2排出量実質ゼロ工場としての稼働を達成しているとする。
そんな二色の浜工場では今般、工場の敷地内において、すでに設置済みであった太陽電池に加え、新たに純水素型燃料電池とパナソニック エナジー製セルを使用した蓄電システムを導入。これら3種の電源を連携制御するEMSを構築したという。同システムでは、電力需要や太陽光発電の出力などの変動をリアルタイムで監視し、太陽光発電の不足電力を純水素型燃料電池による発電で補完するとのこと。電力需要のピーク時には蓄電システムから電力を供給することで、電力ロスの最小化および安定供給の実現を図るといい、これらの施策により再エネによる給電量は従来比で最大約1.5倍に向上する効果が見込まれるとしている。
なお同社によると、太陽光発電では、国内製造拠点でのオンサイト型設備として最大規模の約2MWの太陽光パネルを設置。一方の純水素型燃料電池は、パナソニック エレクトリックワークス製の5kWタイプ燃料電池6台が使用され、最大で約30kWの発電が可能だとする。加えて二色の浜工場に設置されている高さ17mの水素タンクには、同工場で生産されている乾電池「エボルタNEO」のデザインが施されており、水素社会のインフラの象徴として地域のランドマークとなることを目指すとした。
そして、パナソニック エナジー製セルが搭載される蓄電システムの蓄電容量は約2MWhと、一般家庭約180世帯の1日分の電力に相当する量が蓄電可能に。約14万本もの円筒形リチウムイオン電池が制御盤によって精密管理されているため、秒単位での高負荷変動時にも迅速かつ安全に対応できるとともに、系統電力への負荷低減や生産設備の安定利用、電力の平準化にも寄与するという。
同社によれば、今後は市場で使用済みとなった蓄電モジュールなどを回収したリユースも視野に入れ、循環型社会の実現に向けた取り組みを一層加速させるとのこと。