ファッション界で始まったトレンド「クワイエット・ラグジュアリー」が、住宅デザインにも影響を与えています。派手な装飾を排し、上質な素材とシンプルなデザインで真の豊かさを表現するのが特徴です。
今回は「静かな贅沢」の住まいづくりが。なぜ富裕層を魅了するのかを解説します。

なぜ高所得層は「控えめな高級感」を求めるのか?

「クワイエット・ラグジュアリー」とは、シンプルで穏やかな色彩を取り入れながらも、上質な豊かさが漂う空間です。質素な上質感が、多くの富裕層を魅了しています。
○最新の「スタイル」を追い続ける必要がないから

住宅や家具にも時代に応じたトレンドがあり、住まいづくりに関する新しいスタイルの提案なども含めて、いろいろなところから発信されてきます。ただ、そのスタイルをいくつも取り入れていくと、かえって住まいが混沌としてしまうことも。

際限のない最新情報を追うことに抵抗や疲労を感じている方々にとって、普遍性のある上質な空間を目指すクワイエット・ラグジュアリーは共感しやすいコンセプトなのです。
○他人目線よりも自分目線が重要だから

クワイエット・ラグジュアリーは誰かに自慢するためのものではありません。自分が感じる美しさ・豊かさ・落ち着きを優先する住まいづくりです。

他人からの承認ではなく自分の目線。目立たなくても心を乱すことなく過ごせる空間。多忙な仕事で疲れている富裕層にとって、プライベートで思う存分リラックスできる「居場所」は大変重要です。

クワイエット・ラグジュアリーを実現する方法

思い切って部屋の雰囲気をガラッと変えたい場合、リノベーションをするのも1つの手です。静謐(せいひつ)で上質な空間を演出する方法を紹介します。
○色彩の統一感

クワイエット・ラグジュアリーの基本は、モノトーンや穏やかな色調で統一をすること。ホワイト・ライトグレー・ベージュなど、明るくも控えめな色彩でコーディネートします。

椅子・テーブル・ソファーといった各アイテムも、モノトーンなどで統一します。クラシカルなディテールなものを選ぶと、優雅で洗練されたムードに。
○「引き算」を重視

空間に物を詰め込みすぎないことも重要なポイントです。物が多いとごちゃごちゃした空間になり、長く目にしていると大きなストレスになります。

ミニマリストとまではいかないものの、空間を広く感じられるよう、あまり余計な物は置かないことが大切。収納スペースをうまく活用しましょう。
○照明による雰囲気づくり

部屋の色彩をモノトーンで統一すると、場合によっては冷たい印象になる可能性もあります。そこで照明をうまく活用して、空間を優しく包み込むようにするとよいでしょう。


照明で優しい空間にするには、間接照明をうまく活用します。フロアランプ、シーリングライト、ペンダントライトなど、部屋にあわせて組み合わせます。
上質感を出す「素材選び」の極意

洗練された高品質な空間にするには、素材選びも重要です。ここでは上質感を生み出すのに適した素材を紹介します。
○モールテックス

モールテックスとは、高い耐久性と防水性が特長の、ベルギー生まれの左官材です。セメントに特殊な樹脂を混ぜたもので、さまざまな場所の仕上げに使われます。

1mmほど薄塗りをするだけで、コンクリートと同レベルの表面強度があり、カラーバリエーションも豊富。スタイリッシュな仕上がりにすることが可能です。

既存の天板の上から塗れるため、大がかりなリフォームが要らない点も特徴です。
○無垢材

クワイエット・ラグジュアリーでは、テーブルや椅子などに無垢材を使用するケースも見られます。耐久性と剛性に優れており、長期間の使用が可能です。

無垢材を家具などに用いる場合、人工的な着色料は使用せず、木材が本来持つ風合い・色合いを活かした家具づくりが行われます。


無垢材のもう1つの魅力は、アンティーク性もあること。年月の経過によって色合いが変化する様子も楽しめます。

安藤真一郎 あんどうしんいちろう マーケティング会社に勤務した後、フリーランスのライターに転身。 多種多様なジャンルの記事を執筆するなかで、金融リテラシーを高めることや情報発信の重要性に気づき、現在はマネー系ジャンルを中心に執筆している。 ライターとして、知識のない人でも理解しやすいよう、かみくだいた文章にすることが信条。 ファイナンシャルプランニング技能士2級、日商簿記検定2級取得。 この著者の記事一覧はこちら
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