NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションは11月12日、ネット証券を対象にしたNPSベンチマーク調査2025の結果を発表した。調査は2025年10月1日~10月7日、対象のネット証券5社(SBI証券、松井証券、マネックス証券、三菱UFJ eスマート証券(旧 auカブコム証券)、楽天証券)において、過去1年以内に取引経験がある1,977名を対象に、インターネットで行われた。

○ネット証券のNPSおすすめランキング1位は楽天証券

NPS(Net Promoter Score)とは、「友人や同僚に薦めたいか?」という質問への回答から算出される、顧客ロイヤルティを測る指標。欧米では公開企業の3分の1がNPSを使用しているといわれ、日本においても顧客満足度にかわる新しい指標として、NPSを活用する企業が増えてきている。

対象のネット証券5社のうち、今回、NPSのトップとなったのは楽天証券(-5.4)だった。2位はSBI証券(-6.0)、3位は松井証券(-20.0)となった。5社のNPS平均は-20.9、トップ企業とボトム企業との差は35.9ポイントとなった。

○ロイヤルティ醸成のポイント

ネット証券全体におけるロイヤルティの要因を14の項目別に分析したところ、「取扱商品の豊富さ・魅力」や「手数料とサービスのバランスの良さ(コストパフォーマンス)」がロイヤルティを醸成する要因となった。また、「口座開設のしやすさ・早さ」や「マイページやアプリでの取引のしやすさ」、「マイページやアプリでの資産状況の把握のしやすさ」もNPSを高める要因となった。

一方で、ロイヤルティを向上させるために優先的に改善すべき項目としては、「商品の特性、手数料、リスク等の説明のわかりやすさ」や「資産運用に対する期待通りの成果」となった。

楽天証券は「マイページやアプリでの取引のしやすさ」や「マイページやアプリでの資産状況の把握のしやすさ」がロイヤルティに影響を与える結果となり、NPS1位につながった。2位のSBI証券は「取扱商品の豊富さ・魅力」や「手数料とサービスのバランスの良さ(コストパフォーマンス)」において、3位の松井証券は「企業イメージ・ブランドイメージのよさ」において高い評価を獲得した。
○ネット証券全体におけるNPSの変化

ネット証券全体におけるNPSの変化を分析したところ、2020年以降NPSが上昇傾向にあり、2023年から2025年にかけては9.2ポイント上昇した。

ネット証券全体におけるNPS上昇の要因を分析したところ、2023年と比較して2025年には「口座開設のしやすさ・早さ」や「マイページやアプリでの取引のしやすさ」、「マイページやアプリでの資産状況の把握のしやすさ」の満足度が向上し、かつロイヤルティへの影響度が高まった。
「資産運用に対する期待通りの成果」の満足度もやや向上しており、主要な株価指数が上昇基調にある中、マイページやアプリのCXの改善がみられたことが、ネット証券のNPSが上昇した一因とみられる。

○証券口座への不正アクセス問題の認知状況

2025年初頭から、証券会社の口座を狙った不正アクセスと不正取引が急増したこれを受けて、証券各社では多要素認証の必須化や取引履歴の通知、AIによる不正検知などのセキュリティ対策強化の取り組みが進められている。そこで、証券口座への不正アクセス問題について知っているかと調査したところ、ネット証券においては「よく知っている」と回答した割合が24.2%、「ある程度知っている」は47.5%となり、対面証券と比較して認知率が高い結果となった。

また、証券各社からセキュリティ対策や不正アクセス防止に関する注意喚起や情報提供を受けた手段について調査したところ、ネット証券において最も高いのは電子メール(67.9%)、次いで「アプリ内の通知(プッシュ通知)」(38.5%)となり、対面証券と比較して高くなった。対面証券においては、「ウェブサイトのお知らせ」(31.6%)が2番目に高く、「郵送物」(16.7%)や「担当者からの電話や直接連絡」(10.5%)も一定数みられた。

さらに、多要素認証やログイン通知サービス、AIによる不正検知システムといった証券会社によるセキュリティ対策や不正アクセス防止の取り組みについて知っているかを調査したところ、ネット証券においては認知率が90.3%となり、対面証券と比較して高くなった。

また、ネット証券によるセキュリティ対策や不正アクセス防止の取り組みについての認知有無別にNPSを分析したところ、知っている人はそうでない人と比較してNPSが高い傾向がみられた。セキュリティ対策や不正アクセス防止の取り組みについての認知を促進することの重要性が示唆される結果となった。

○推奨度が高いほど、継続利用意向も高い傾向に

対象のネット証券において、今後の継続利用意向を0~10の11段階でたずねたところ、「推奨者」(推奨度が「9」~「10」の回答者)は平均9.6、「中立者」(推奨度が「7」~「8」の回答者)は平均8.2、「批判者」(推奨度が「0」~「6」の回答者)は平均6.5となり、推奨度が高いほど継続利用意向も高くなった。
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