北海道最大級のビジネスイベント「第39回北海道ビジネスEXPO」が11月6日・7日の2日間、札幌・アクセスサッポロで開催された。北海道内外の307社・機関が参加。
会場には、現役の技術者・ビジネス関係者、研究者らに加え、北海道の未来を創る高校生・大学生など2日間で約2名が詰めかけ、近未来の北海道を体感した。
○半世紀にわたり、宇宙産業に貢献
国内大手産業ガスメーカーのエア・ウォーターは、宇宙開発と新エネルギーの水素をテーマにブースを展開。ブースの中央には、大きな風船の下に小さなキャビンのついた気球が浮かぶ。キャビンの下には丸い地球。北海道江別市のスタートアップ企業「岩谷技研」が開発した商業宇宙遊覧用気球の模型だ。
2025年度中にも実現される可能性がある商業飛行は、約4時間で高度25キロと地上を往復。最高高度地点では、漆黒の闇に無数の星が輝く宇宙を上空に眺め、丸く青い地球を見下ろせるという。1人分の旅費は2,400万円。2021年にロシアのロケットで宇宙に旅立ち、日本人の民間人として初めて国際宇宙ステーションに滞在した前澤友作さんが支払った旅費は、数十億円とされる。
行き先が「ニア・スペース」と呼ばれる成層圏に限られ、数時間で帰ってくるとしても、割安感を感じるのではないだろうか。岩谷技研は、昨年7月に高度20キロまで上昇する有人試験飛行に成功し、あとは一般の旅人を乗せて旅立つだけだ。
宇宙の入り口まで旅行して帰ってくるというワクワク感たっぷりの試みを、エア・ウォーターグループはガスの専門家の立場でサポートする。同社は、空気の7分の1という重さのヘリウムガスをこの宇宙旅行に提供し、安全な上昇と下降の実現に大きく寄与している。
エア・ウォーター 北海道地域連携室 リーダーの渡辺康之さんは、「この気球を1回ふくらませるために、ヘリウムのボンベを220本使います。今のところ1人2,400万円で3名が手を挙げているようです。地球を宇宙から見ると、人生観が変わるとも聞きますので、これからも興味のある人は出てくるんじゃないでしょうか」と、将来の事業拡大に期待を寄せる。
エア・ウォーターと宇宙開発の関わりは長い。同社は、「大同酸素」「共同酸素」「ほくさん」という3つの会社を前身に持つが、3社とも日本の宇宙開発事業に何らかの形で関わってきた。
大同酸素は1973年に宇宙開発事業団(NASDA)のH-1ロケットの開発計画に加わっていた。共同酸素は、無重力の宇宙空間で、人工衛星や宇宙探査機の状態を制御するエンジン推進剤のキセノンという希少ガスを供給した実績がある。ほくさんは、北海道上砂川町の廃坑を活用した無重力実験施設「地下無重力実験センター」に出資し、NASDAなどとともに事業を進めてきた。グループ会社の北海道エア・ウォーター・アグリが開発に関わった「コスモバーグ」(北海道産牛肉とミニトマトのハンバーグ)は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)から“宇宙日本食”と認定されている。
二酸化炭素などの温室効果ガス削減が喫緊の課題となり、「カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量の均衡を保つ)」が叫ばれる現代にあって、エア・ウォーターが開発に取り組む再生可能エネルギーのバイオメタンなどは救世主的な存在になりそうだ。十勝平野で実証実験が進むバイオメタンの原料は、牛の糞尿である。広大な農場で飼育されている牛の糞尿を集め、処理工場でバイオガスから二酸化炭素を取り除き、液化したガスを天然ガス(LPG)などの代替燃料として使用する。精製されたバイオメタンは、LPGに比べて60%も温室効果ガスを削減できる。
さらに、純度が極めて高いことを特徴としているが、現段階では輸送費や処理費用面のコストが高く、一般家庭への普及は、もう少し先になりそうだ。しかし繊細な技術を要するロケット燃料などには最適なガスであり、十勝の大樹町でロケット発射実験を繰り返す堀江貴文氏のインターステラテクノロジスにも、すでにバイオメタンを提供している。
○水素エネルギー社会の実現に向けて
展示のもう一つの大きなテーマは水素エネルギーだった。走行時に水しか排出せず、環境にやさしい燃料電池自動車(FCEV)の推進力を生み出すガスは水素。同社では、2018年に早くも北海道内初の移動式水素ステーションを札幌市内に整備し、2年後に室蘭市でも稼働、2025年3月には札幌市中央区大通東5丁目に、燃料電池のバスやトラックも使用できる定置式水素ステーションを開業した。
国の水素基本戦略(乗用車換算)では、5年後の2030年には、全国で約80万台分のFCEVが普及している想定となっており、北海道でも9,000台の普及目標が設定されている。約3分で水素をフル充電できるステーションは、今後の日本、北海道にとって、なくてはならないインフラだ。
3年後の2028年には、スキー・ジャンプの葛西紀明選手が所属することで有名な土屋ホームが設計・施工を担当する集客交流施設「LAPEACE SOSEI(ラピス創成)」が、大通東の定置式ステーションの隣接地にオープンする。
「ステーションから水素の配管を通して、水素の燃料電池を設置してもらってお湯を沸かしたり、電気に使ったりすることになっています。まだまだ既存のガスに比べるとコストがかかりますが、水しか出さないクリーンエネルギーですし、いずれ広まっていくはずです」と地域連携室の渡辺さん。エア・ウォーターグループのブースには、北海道と日本の環境、そして宇宙開発の未来図が描かれていた。











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