パナソニックは11月18日、「ひとり暮らしの防犯意識に関する調査」の結果を発表した。調査は2025年10月16日~10月20日、現在オートロックの集合住宅でひとり暮らしをしている10代~40代の男女800人を対象にインターネットで行われた。

○防犯意識と行動のギャップが浮き彫りに

普段どの程度防犯を意識しているかを聞いたところ、「とても意識している」「少し意識している」を合わせると80.9%となり、大半の人が防犯について意識していることが分かった。属性別で見ると、防犯意識が最も高いのは女性20代で、「とても意識している」と4割が回答。「まったく意識していない」と回答した割合が最も多かったのは、男性30代となり、世代や性別によって防犯意識に差があることも明らかになった。一方で、自身の防犯対策について十分だと思うかを聞いたところ、「十分にできている」と回答したのは10.1%で、わずか1割にとどまり、意識と行動のギャップが浮き彫りになった。

○オートロック付き物件でも安心できない状況に

マンションへ不審な人が一緒に入ってきた(=共連れ)侵入事件の報道を受け、防犯意識の変化を聞いたところ、「以前よりかなり高まった」「以前より少し高まった」を合わせると74.6%となり、7割以上の人の防犯意識が高まったことが明らかになった。事件をきっかけに、オートロックに頼るだけでは安心できないという認識が広がり、個々の防犯意識の向上に繋がっているようだ。

○防犯意識をしていない理由は

前述の質問で防犯対策について「あまり意識をしていない」「まったく意識をしていない」と答えた人に理由を聞いたところ、「今まで何も起こっていないから」が51.6%と半数以上を占め、これまでの経験が防犯意識の低さの要因となっていることがわかった。

一方で、日常生活の中で防犯に関するトラブルや不安を感じた経験について聞くと、「特に遭遇・目撃・経験したことはない」と回答した人が59.1%を占めた。つまり、残る40.9%は日常生活の中で何らかの不審者の遭遇や不安を身近に感じた経験があることがわかった。具体的には、「不審者に遭遇したことがある」や「不審な行動を目撃したことがある」、「自宅や住居周辺で不審な人物を見かけたことがある」といったケースが挙げられ、身近な場所での不安や不審な出来事が少なくないことがうかがえる。防犯意識が低い人の多くは自分には被害が及ばないと思っている一方で、実際には身の周りで不審者や不審行動の目撃経験もあることから、意識と現実の間に大きなギャップがあることが示された。

○SNS投稿時の防犯対策について

ここ数年、SNSをきっかけとした詐欺やトラブルに関するニュースを目にする機会が増えていることを受け、防犯やトラブルの観点からSNS投稿に対する警戒心の変化を聞いたところ、「非常に高まった」「少し高まった」を合わせると、65.9%と6割以上が意識の変化を感じていることがわかった。
さらに、投稿時に防犯のために工夫していることはあるかを聞いたところ、「写真に生活環境(自宅・最寄駅・通学通勤経路など)を写さない」が最多で42.7%、次いで「位置情報タグをオフにしている」が35.1%と続き、日常の投稿にも慎重な工夫が見られた。一方で、「特に工夫していない」と26.5%が回答。約4人に1人が投稿時に防犯対策を取り入れていないことが明らかとなり、警戒心と実際の行動のギャップが浮き彫りとなった。

○ひとり暮らしの防犯面で特に不安を感じること

ひとり暮らしの防犯面で特に不安を感じることを聞いたところ、「マンションでの共連れ侵入」が47.1%と最多で、次いで「自宅への侵入(空き巣・不法侵入など)」で43.1%と続いた。一方で、実際に行っている防犯対策を聞くと、「ドアスコープやドアチェーンの活用」が最多で35.1%、「周囲に不審な人がいないか確認してから家に入る」で32.4%、「鍵の二重ロック」が31.3%と、手軽にできる対策に偏っていることが分かった。防犯カメラやセンサーライトなど防犯設備を導入している人は1割以下にとどまり、防犯面が不十分な傾向が見受けられる。

さらに、今後導入したい防犯家電について聞いたところ、「特に導入予定はない」と回答した人が53.8%で過半数を占め、現状の防犯意識がそのまま継続される可能性があることも明らかになった。導入を検討したい設備としては、「ドアホンカメラ(映像付きインターホン)」が20.0%で最多、次いで「スマートロック(スマホで施錠・解錠できる鍵)」16.8%、「防犯カメラ(屋外)」12.3%と続き、手軽さやコストが導入意向に影響していることが示された。
編集部おすすめ