堀場製作所は11月19日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進する事業の一環として、産業技術総合研究所(産総研)などが推進する「水素利用拡大に向けた共通基盤強化のための研究開発事業/燃料電池・水電解の共通基盤技術開発/高温水蒸気電解評価解析プラットフォームの技術開発」(以下「新プロジェクト」)に参画することを発表した。
○水素製造技術の開発・社会実装を加速させる取り組みに

脱炭素社会の実現に向けて世界で利用が広がっているのが、“水素エネルギー”だ。
水を電気分解して水素と酸素を生成する水電解方式のうち、次世代技術として期待されるSOEC(固体酸化物形電解セル)は、アルカリ溶液や固体高分子膜(PEM)などを用いた技術と比較して、高効率かつ低コストな水素製造技術として注目を集めているとのこと。NEDOは2035年以降のSOECシステム普及拡大を目標に掲げており、その実現に向けてさらなる技術革新が求められている。

そうした背景もあり、NEDOが推進し国内のさまざまなSOEC関連企業が参画する今回の新プロジェクト。その中で堀場製作所が参画するのは、高精度SOECセルスタック評価装置を用いた長時間耐久試験・性能試験を実施する取り組みで、2025年6月から2030年3月にかけて行わる研究開発により、SOECの劣化評価・解析法の確立や劣化機構の解明に向けて取り組むとする。

なお堀場製作所としては、これまで培ってきた分析・計測ソリューションの強みを活かし、独自開発のSOEC評価システムを用いた長時間耐久試験や性能試験を行うとのこと。同システムは、燃料電池やSOECのセルスタック性能を評価する「Evaluator S5-HT」に分析計などを組み合わせたものだといい、水蒸気の流量や温度を抑制してセルスタックに供給した後、水素の生成量を測定するとしている。

同社によれば、独自開発された新システムは、数千時間にわたる連続耐久試験や、電流・電圧を変えた際に生じる水素生成量の変動測定など、さまざまな条件下での評価を可能にするという。さらにその中で得られた結果をもとに、SOECの劣化評価および解析に関する手法や標準的な性能・精度を有する評価装置の仕様確立を目指すといい、将来的なSOECセルスタックの要素技術開発を加速することで、次世代水電解システムの実用化に貢献するとした。

堀場製作所は、産総研をはじめとする関係各所とも連携して幅広い知見の共有を図りながら、SOEC技術の発展に貢献するとしている。
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