179を数える北海道内の市町村が抱える地域課題を、デジタル技術を活用して解決するための具体的なアクションを生み出す糸口となる、地域課題解決型マッチングイベント「UPDATE179 in TOKYO」が11月18日、東京都千代田区のTIB(Tokyo Innovation Base)にて開催された。
今回、北海道 経済部 AI・DX推進局 DX推進課 Society5.0推進係長 土田直樹氏とNTT-ME 北海道ブロック統括本部 テクニカルリレーション部門 エリアプロデュース担当 担当課長 高橋裕太氏に、「UPDATE179 in TOKYO」を開催した狙いについて伺った。
3回目となる今回は課題を深堀りしながら議論するスタイルに
「UPDATE179」は過去2回、北海道で開催された地域課題解決型ピッチイベント(参考記事:北海道の179市町村と未来技術をマッチング! 地域課題解決につなげる「UPDATE179」開催、デジタル技術の活用を糸口に北海道の地域課題を解決 - ピッチイベント「UPDATE179」を開催)。
過去2回のイベントは、道内外の企業が北海道に集まり、交通、防災、福祉、観光、農林水産業など、さまざまな分野における課題解決に向けてのソリューションをピッチ形式で、道内市町村関係者に向けて披露した。今回は会場を東京に移し、さらに踏み込んだ形で、課題を深堀りしながら議論するというスタイルで実施された。
北海道からの参加市町村は、札幌市、上ノ国町、羅臼町、更別村、鶴居村の5市町村で、市町村および招待事業者による特定分野別交流セッションと、一般参加事業者も加わっての市町村×事業者マッチング交流会の2部構成となっていた。
第1部の特定分野別交流セッションでは、「交通」と「獣害対策」の2つのテーブルが設けられ、それぞれ事業者(交通5社・獣害対策4社)が提案するソリューションの説明を受けた後、各市町村が抱える地域課題の解決に向けた熱い議論が酌み交わされた。
そして、第2部で、第1部の参加者にスタートアップなど一般参加事業者も加わってのマッチング交流会が行われ、第1部のテーマとなった「交通」「獣害対策」について、さらに詳細な説明や、各市町村が抱えるそれ以外の課題も含めて、幅広いテーマでの意見交換が行われた。
東京開催の狙いは「より課題の深堀りを」
「UPDATE179」の開催場所を東京に移した経緯について、「道内ではなかなかお会いすることが少ない事業者の方にも参加していただきたかった」と説明した、北海道 経済部 AI・DX推進局 DX推進課 Society5.0推進係長の土田直樹氏。同氏は、「道内開催のイベントだけでは、市町村の方が出会える事業者が限られてしまいます。また、スタートアップの場合、わざわざ北海道まで足を運んで、5分間という短いピッチだけでアピールするのは難しい側面があります」と続けた。
土田氏は「東京で開催することは、北海道の市町村の方にとっては負担になる」ことは認めつつも、それゆえに、「本当に困っている市町村、その中でもアンテナの高い、道内でもトップランナーと言えるような方々に参加していただけたのではないか」との見解を示した。そして、東京で実施することによって、事業者に集まってもらいやすくなることも大きな理由だという。
「市町村の職員の方にも東京に来ていただくことで、今まで以上の情報、そして刺激があると思いますので、市町村が抱える課題の解決を少しでも促進できたのではないでしょうか」(土田氏)
東京開催を振り返り、「初めてのことだったので、手探りの部分はあった」と打ち明ける土田氏だが、「広くマスに投げかけるようなイベントも、多くの人の興味関心を引く上で重要ですが、こうして専門知識を持った方に集まっていただき、市町村からもやる気のある、アンテナの高い職員の方々に参加していただいたことで、これまでにないような深く、次につながるような話ができたのではないか」と自信をのぞかせた。
さらに、土田氏は「東京で開催したことによって、道外企業の方が北海道で実証を行いたいという話も出ていたので、その点でも価値があったと思っています」と高く評価。また、「これまで北海道で開催していたピッチイベントはマスに広く投げかけるという点では優れた形式だと思っていますので、どちらも並行して続けていきたい」と、今後もピッチイベントとしての「UPDATE179」とマッチングイベントとしての「UPDATE179 in TOKYO」を並行して開催していく意向を同氏は示した。「新しい技術、特にAIなどは進歩の速い技術なので、年に一回だけでなく、数カ月に一度といった頻度で開催していきたい」(土田氏)
今回のテーマは「交通」と「獣害対策」
今回のテーマが「交通」と「獣害対策」となったことについて、「最初は、これらのテーマを中心としながらも幅広く案内する形で進めました」と話すのは、事務局として「UPDATE179」の企画・運営をサポートするNTT-ME 北海道ブロック統括本部 テクニカルリレーション部門 エリアプロデュース担当 担当課長の高橋裕太氏だ。
「参加していただく市町村が決まったところで、課題として挙げられた『交通』と『獣害対策』を重点テーマとしたのと並行して、参加いただく事業者様の顔ぶれを見て、『交通』と『獣害対策』この2分野であればより実のある話ができるのではないかと考えて2テーブルの構成にさせていただきました」と、高橋氏はその経緯を説明する。
土田氏も、「地域交通の確保は、今回参加した市町村だけでなく、全国どこの市町村に聞いても最初に挙がる課題」であり、「獣害対策は、世の中でも話題になっていますが、北海道ではクマはもちろん、シカやアライグマも問題なっていますし、海岸地域においても、トドやアザラシなどの被害が甚大」と語った。
また、以前から獣害対策のフェアや交通対策の展示会のようなイベントは行われてきたが、ディスカッション形式で行われることはほとんどなかったことから、「広く知っていただくという取り組みも重要ですが、ディスカッションを行うことでより課題の深堀りができたのではないか」と、高橋氏は手応えを感じているという。
さらに、高橋氏は「テーマを絞ったことがプラスに働いたのでは」との考えを明かし、「第一部で深い話ができたことに加え、第二部ではより広いテーマを持った事業者の方も集まり、オープンな交流会を開くことができたので、ここでしか作れないような接点を結びつけられたのではないか」と、活発な意見交換が行われている会場を目にしながら、笑顔を浮かべた。
課題解決のためのソリューションとして「AI技術」に注目
今後の課題解決のためのソリューションとして「AI技術」に注目する土田氏は、「AIの進化は著しく、さまざまな分野で取り入れられています。道庁としても、そこを強く伸ばしていきたい」と今後の方針を明かす。
「労働人口の減少は全国で問題になっていますが、北海道は他の地域よりも減少スピードが速いことからも、生産性を高めていくためにはAI技術を活用することは不可欠です。今回の交通や獣害対策はもちろんですが、インフラ整備や農林水産などの一次産業、そして観光分野などいろいろなところで活用できるのでは」と、土田氏はAIに大きな期待を寄せる。
そして、「今回のイベントで得られたつながりが単発で終わってしまうことがないよう、実証から実装へと向かうように後押ししていきたい」と、土田氏は北海道庁としての役割を示した。
また、「継続することは難しいですが、伴走支援を行うことで、ひとつのまちで成果が出たら、それを別のまちにもつなげていくような横展開ができれば、北海道全体のDXを底上げできる」との展望を明かした土田氏。続いて、高橋氏も「ここでできたつながりから、具体的な実証、実装に向けてコーディネートしていくのが事務局の役割」と述べ、「今回のイベントでできたつながりからの事例をしっかりまとめて、北海道全体のDX促進を図っていきたい」との決意を示した。
さらに土田氏は、「今回は企業から市町村といったBtoGという形でイベントを行いましたが、ビジネスを考えると、BtoGだけで事業化することは難しく、BtoBやBtoCにもつなげていけるようにサポートしたい」と続けた。
最後に土田氏は次のように述べて、話を締めくくった。
「北海道での取り組みが、日本全国に向けてのモデルケースとして示せるようなところにまで持っていきたいと思います、課題や困ったことがあれば、道庁に相談してほしいです。イベントに参加していただくのもありがたいですが、その前に一度相談してほしいという思いとともに、まずは道庁に相談してみようと思っていただけるくらい知名度を高めていきたいです」











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