野村総合研究所(NRI)は、国内に本社を持つ、売上高上位企業のCIOまたはIT担当役員、経営企画担当役員、IT部門長、経営企画部門長などを対象に行った「IT活用実態調査(2025年)」の調査結果概要を発表した。2025年9月に日本国内に本社を持つ売上高上位約3000社のうち517社からの回答データをもとにしている。


2026年度のIT予算について、47.5%の企業が2025年度よりも増加すると予想(減少する7.8%)しているが、昨年度の59.0%と比べやや低下。生成AIを導入済みの企業は57.7%とはじめて過半数を超えているが、今後、生成AIの導入を検討したいと答えた企業の割合が低下していることから、NRIでは"ChatGPTやGeminiなどが汎用の会話型サービスとして普及し、導入を検討していた企業の一定数がすでに導入を終えた"ためと見ている。

一方、新技術の導入または検討に関する状況の項目別ではRPAの64.5%、生成AI(GPTなどの大規模言語モデル、画像生成など)の57.7%についで、ノーコード/ローコード開発ツールが4.9ポイント増の51.0%と上昇しているため、非エンジニアが支援ツールを活用し開発する"市民開発"の利用が増加していると推測している。

導入が広がる生成AI活用に関する課題も調査しており、「リテラシーやスキルが不足している」(70.3%)、リスク(セキュリティ、コンプライアンスなど)を把握し管理することが難しい(48.5%)、生成AIを使ったサービス開発・運用のノウハウがない(44.7%)と続いている。2024年の調査では「リテラシーやスキルが不足している」が65.4%であるため、4.9ポイントの増加となるが、導入が広く進むことで一定のリテラシーやスキルが必要であると認識する企業が増加していることが窺える。
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