各国の株価が急落した“トランプショック”や日経平均株価5万円突破など、2025年の金融市場は大きな動きが相次いだ。これらを受けて、2026年はどのようなテーマが資産運用に影響するのだろうか。
2025年の株式市場には荒波も見られた
今回のセミナーは、「2025年の振り返り」「『分散投資』の過去のデータ」そして、「2026年に向けたポイント」の3つのアジェンダを柱に進められた。
ウェルスナビ 資産運用アドバイザー 佐藤健氏によると、2025年はトランプ政権の動向、日米欧における金融政策の転換、紛争など国際情勢の緊張が資産運用に影響を与えたという。
また、2025年は新NISAが2年目を迎えた。資金流入の内訳を見ると、株式のみの投資信託に資金が集中しており、ランキングは米国株や世界株が占めている。
市況はというと、日経平均株価が5万円を突破したという象徴的なできごともあった。「株式市場としては非常に恵まれた年だったのでは」と佐藤氏は語る。
一方で、4月には米国発の“トランプショック”により肝を冷やす場面もあった。年始から4月にかけては、米国株が一時約15%も値を下げる局面を経験した。佐藤氏は、「4月の急落場面に限らず、今年は株式において“米国株離れ”が特徴的な年だった」と感じているという。
直近10月末時点でも、米国株は4月の急落からの回復が他の資産に比べてやや鈍い。その一方、今年は金価格の上昇が際立ち、過去最高値も更新した。
こうした中、ウェルスナビが毎週開催するセミナーでも、「短期的な相場の上下に振り回されてしまう」という参加者からの声が相次いだという。株式市場は比較的よい年ではあったものの、短期的には荒波があった。「特に、個別株や為替を取引していると、値動きに耐えられず運用を中断してしまう方も多かったのでは」と佐藤氏は振り返った。
そこで重要になるのが、「値動きの異なる資産を組み合わせ、全体のリスクを抑える運用」である。
どの資産クラスが伸びるか読めないからこそ、分散投資が欠かせない
先にあった通り、新NISAでは米国株・世界株の投資信託に人気が集中し、資金が多く流入している。セミナー参加者からも、「好調な米国株にもっと投資した方が効率がよいのでは」という意見があがることも多いという。「ただ、冷静に、俯瞰的に相場を見ていただく必要があります」と佐藤氏は警鐘を鳴らす。
たしかに米国株は人気だが、その背景には“ここ数年のリターンのよさ”が影響している。佐藤氏によると、特に2019年頃から、米国株を中心とした投資信託は非常に人気が高まっていったという。一時、米中の貿易摩擦によって値下がる局面はあったものの、V時回復を果たし、米国株人気を後押しした。
しかし、さらに2000年頃に遡ると、ITバブル崩壊後の米国株は相対的にパフォーマンスが低迷し、人気もさほど高くなかったのである。一方で、債券は比較的パフォーマンスがよく、2008年のリーマンショック以降も「債券のみの投資信託」は非常に人気が高かった。
そして近年はというと、金価格の高騰が続いており、こちらも「組み入れ比率を増やしては」との顧客からの声が届いているという。2020年のコロナショック以降、安全資産としての需要が高まり、今年は年始から10月末にかけて52%も価格が上昇している。メディア報道も相まって、さらに人気が集中しているようだ。
ただし、「10年、20年という長期的な視点で見れば、その人気は移り変わっていきます」と佐藤氏は指摘する。
たとえば、人気トップの「米国株式S&P500」はここ数年、大きく、そして長い期間の下落を経験していない。しかし、長期的に見ると、ITバブルやリーマンショックの時期はそれぞれ6年、4年という非常に長い期間の下落相場があり、その下落幅も大きかった。
リスクとリターンは「表裏一体の関係」だ。現在人気トップの米国株は、どちらかというと“ハイリスクハイリターン”な投資に分類される。また、同じくNISAで人気の高配当銘柄も、個別株への投資であるため分散ができず、リスクが高い。
佐藤氏は改めて、「どの資産クラスのリターンが大きくなるかわからないからこそ、異なる値動きの資産を組み合わせてリスクを抑えることが重要」と強調した。ウェルスナビのポートフォリオもこの考え方を軸に、リスク許容度に応じて、想定リターンが最も高くなるよう設計されているのだ。
「長期・積立・分散投資」の基本が重要
佐藤氏によると、2026年の市場テーマとしてまず注目されるのは「AI関連」である。
加えて、各国の金融政策、通商問題、地政学リスクといったテーマは2025年に続き注目されている。
それらを踏まえ、佐藤氏は「顧客から寄せられる可能性のある質問」として以下の3つを予想した。
1つ目は「相場は上がるのか、下がるのか」という市況予測に関する質問。2つ目は「相場が動いたとき、自分はどう行動すべきか」という投資行動への相談。そして3つ目が「どこまでリスクを取ってよいのか」という、資産運用の根幹に関わる問いだ。
まず、1つ目と2つ目の問に対し、佐藤氏は「長期・積立・分散投資」という、資産運用の基本に戻ることの重要性を説いた。短期の相場予測はプロでも難しく、特定の株式や為替の上下は誰にもわからない。
「過去30年だけでも6回の金融危機が起きています。そのため、今後も何かしらのショックが起きうることを前提に資産運用に取り組むべきと考えています」と佐藤氏は話す。
しかし、世界経済が緩やかな成長を続けてきたことを考えれば、長い目では「金融危機の影響は一時的」と判断できる。だからこそ、相場を気にしすぎず「長期・積立・分散」で淡々と持ち続けることが重要なのだ。
また佐藤氏によると、最近は「株式が高い」と感じ、“高値警戒感”を抱くセミナー参加者が多いという。これについては、「定期・定額で機械的に積み立てることで、株価が下がってもその時はより多くの株式や金融商品が買えます。そして、その後回復していけば、値上がることで多く買ったことの恩恵が受けられます」と説明した。
特に、年間のリターン上位5つの月に投資しないだけで、約1,000万円もの運用成績の差が生まれるという検証結果もあるという。仮にベストなタイミングで売れたとしても、再投資するタイミングがつかめず、その結果、相場の上昇を取り逃がす可能性もあるからだ。
次に、「どこまでリスクを取ってよいのか」という3つ目の問いに対して佐藤氏は、「特に、定年退職が見えてきてライフステージが変化するタイミングの50代、60代の方々は、非常にかじ取りが難しい時期」と切り出した。リタイアが近づいて安定的な収入がいったん途絶えるこの世代は、より守りの資産形成に転換する必要があるのだ。
20代から40代で安定収入があり、運用期間を長く確保できる層であれば、リスク許容度の比較的高い個別株をサブ的に取り入れる選択肢もある。一方、リタイアの局面が近づいてくると、資産の配分比率も債券を多めにするなど、それに応じた運用が必要になる。
もちろん、退職の時期は人それぞれであるため、自身のライフステージに合わせて運用方針を考えることが前提だ。
そしてセミナーの終盤、佐藤氏は、普段寄せられる中で特に多いのが「一括投資と積立(分割)投資のどちらがよいのか」という質問だと明かした。
これに対しウェルスナビでは、迷った場合は「一括と積立の組み合わせ」を推奨しているという。
迷いが生じて、安定運用の要である「長期投資」を続けられなくなっては本末転倒だ。だからこそ、一括と積立を組み合わせて心理的な負担を軽くすることが重要だと、佐藤氏は強調した。
武藤貴子 ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント 会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中 この著者の記事一覧はこちら











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