帝国データバンクは12月9日、「2025年冬季賞与の動向調査」の結果を発表した。調査は2025年11月14日~11月30日、全国2万4,531社(有効回答企業数は1万207社)を対象に行われた。

○冬季賞与の平均支給額、前年より「増加」は微減

2025年の冬季賞与(ボーナス、一時金、寸志など含む)について、従業員1人当たりの平均支給額が「賞与はあり、増加する(した)」企業は22.7%で、前年(23.0%)からわずかに減少した。一方で、「賞与はあるが、減少する(した)」企業は13.2%で、前年(13.9%)を0.7ポイント下回った。「賞与はない」企業は12.0%に減少した。また、「賞与はあり、変わらない」企業は44.7%で、前年(43.3%)から1.4ポイント増加しており、賞与の伸びは限定的であった。

○冬季賞与が「増加」する企業、運輸・倉庫がトップ

業界別では、「農・林・水産」「金融」「建設」「運輸・倉庫」の4業界で、冬季賞与が「増加」する割合が2年連続で高まった。とりわけ「農・林・水産」は32.5%の企業で増加を見込み、前年から9.6ポイント増(2年前から17.1ポイント増)と大幅な伸びを示している。背景には、鶏卵やコメ、食肉価格の高止まりによる需給引き締まりがある。

また、「運輸・倉庫」は33.6%と業界別で最も高く、自動車関連の回復やEC(電子商取引)需要の拡大が追い風となる一方、人材確保難が続いている。

冬季賞与が2年連続で増加した企業は11.8%と前年並み。しかし、3年連続で増加した企業は7.6%で前年より1.3ポイント増加した。継続的に増額できる企業とそうでない企業の二極化が鮮明になっている。

賞与増額の背景として、「乗務員不足が慢性化しているが、仕事量は減らない」(一般貨物自動車運送)、「令和7年産米価の高値販売によるものの、令和8年産の米価の動向は懸念材料」(米作農)、「インバウンド客が定着し、売り上げも順調」(がん具・娯楽用品小売)、「マンション販売が好調。
物流センターなどの建築需要も多い」(木製建具工事)、「顧客数が継続的に増加している」(自動車一般整備)といった声が寄せられている。
○企業80.5%が賞与支給も、増額の勢いは鈍化

調査を受け、同社は次のように分析している。

2025年冬、企業の80.5%がボーナスや一時金など何らかの形で賞与を支給する予定である。内訳をみると、増加が減少を9.5ポイント上回っており、ボーナスの増加傾向は続いている。しかし、増加割合は4社に1社にとどまっているほか、前年と"変わらない"が44.7%と圧倒的に高く、ボーナスが増加する勢いに欠けている。最低賃金の引き上げやインフレ圧力の継続による中小企業の収益改善の遅れが背景にありそうだ。2026年以降も飲食料品など生活必需品の値上げが続くと予想されるなか、企業がボーナスの原資を確保し、家計の購買力を下支えすることが、消費活性化のカギとなるだろう。
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