1910年にモロッコ・マラケシュで創業したコーヒーブランド「Bacha Coffee(バシャコーヒー)」が12月11日、東京・銀座に日本1号店となる旗艦店「Bacha Coffee 銀座」をオープンさせた。115年の歴史を受け継ぐ伝説のコーヒーハウスへ一足先に足を運んできたので紹介したい。


○創業115年、モロッコの老舗コーヒーブランドが日本初上陸

現在、シンガポールをはじめとしたアジア、中東、ヨーロッパなど世界14都市で37店舗を展開する「Bacha Coffee」。その歴史は1910年、モロッコ・マラケシュに遡る。壮麗な宮殿「ダール・エル・バシャ」の中で誕生したコーヒーハウスで、当時から世紀を代表する文化人や政治家たちが集い、煌めくコーヒーポットを囲んで語り合っていたという。

○銀座に現れた豪華絢爛な宮殿で、優雅なコーヒータイム

日本初の旗艦店となる「Bacha Coffee 銀座」は、銀座5丁目の中心に位置する。店舗は3フロアで構成され、総延床面積は377平方メートルにおよぶ。外観から内装に至るまで、ブランド発祥の地であるマラケシュの「ダール・エル・バシャ」に着想を得た、豪華絢爛なデザインが特徴だ。

一歩足を踏み入れれば、そこはまるで別世界。赤褐色を基調とした温かみのある色彩の中に、黒と白の市松模様の大理石の床が広がり、幾何学模様の格子装飾や、精巧に彫刻された杉材の天井がゲストを迎える。

1階はコーヒーブティックとテイクアウトコーナー、2階と3階は全40席のコーヒールーム「1910」と「Marrakech(マラケシュ)」だ。挽きたての豆の芳醇な香りに包まれながら、ラグジュアリーな空間で特別なひとときを過ごすことができる。

○100%アラビカ種のスペシャルティコーヒーが世界から集結

同店の特徴は、Bacha Coffeeマスターが世界35カ国の産地から厳選した、200種類以上の100%アラビカ種のスペシャルティコーヒーを取り揃えていることにある。

例えば単一産地の豆本来の個性を楽しむ「シングルオリジン」、香りの芸術を楽しむ「ファインフレーバー」、絶妙なバランスの「ファインブレンド」、そして二酸化炭素抽出法を用いた「デカフェ」までバラエティに富む。
イエメンからハワイまで、世界中の希少な豆が一堂に会する様は圧巻だ。

○金色のポットで、コーヒーマスターによるハンドドリップコーヒーを堪能

2階と3階のコーヒールームでは、Bacha Coffeeならではの優雅なサービスが提供される。特筆すべきは、ここではエスプレッソやラテといったマシン抽出のメニューは提供されないという点だ。

その代わり、コーヒーマスターが伝統的な抽出技法を用い、一杯ずつ丁寧にハンドドリップしたゴールドのグースネックポットが提供される。これは、コーヒーを味わう時間そのものを「儀式」として讃えるブランドの哲学によるものだ。

また、コーヒーにはたっぷりのシャンティークリーム(ホイップクリーム)とバニラビーンズが添えられるのもBacha Coffeeならでは。ポットにはカップ2杯半ほどのコーヒーが入っているので、1杯目はそのまま、2杯目はシャンティークリームとバニラビーンズをお好みで加えて、味わいの変化を楽しむのもおすすめだ。

コーヒーとの相性を追求した料理で「コーヒー・ガストロノミー」を体感


コーヒールームでは、コーヒーとのペアリングを計算し尽くしたフードメニューも充実。朝食、ランチ、ティータイム、ディナーと、時間帯に合わせて楽しめる「コーヒー・ガストロノミー」の世界が広がる。

ランチやディナーの名物が「モロッコ伝統の『ケフタ』ミートボール 細切りフライドポテト添え(4,950円)」だ。ケフタとはトマトベースのスープで煮込んだスパイシーなミートボール料理で、こちらでは濃厚なグレイビーソースとフライドポテトがトッピングされている。ケフタにはセットとして、「1910 コーヒー」のパウダーをあしらったバターとバケットが付く。
ペアリングにおすすめなのが、フレーバーコーヒーの「セヴィルオレンジコーヒー」(1,800円)。カカオや熟したオレンジの皮の香りと、生き生きとしたコクのあるローストが組み合わされたアラビカ種のコーヒーで、トマトの酸味やスパイシーさを感じるケフタとよく合う。

コーヒーのお供に欠かせないスイーツも豊富だ。お店のロゴがあしらわれたオリジナルジャーで提供される「ヴィエナドーン コーヒーのティラミス」(1,900円)は、グリーンアーモンドの香りが豊かなフレーバーコーヒーを使っており、シェアしても楽しめるほどボリューム満点。

また、店内で毎日焼き上げられるクロワッサン(イートイン2個1,250円)も名物の一つ。「バニラクレームブリュレ」や「ピスタチオ」など、濃厚なフィリングがたっぷりと詰まったクロワッサンは、コーヒーとの相性が抜群だ。

この他朝食では、スパイスの効いたトマトソースに卵を落とした「Bacha オリジナルシャクシューカ(レッドバイソン コーヒー香るフェタチーズ入り)」(3,300円)、午後のティータイムにはチキン、チェダーチーズ、ビーフベーコン、目玉焼きなどが層になった「Bacha クラブサンドイッチ」(3,850円)などが味わえる。

「アラビカ種100%のコーヒーケーキ」や「キャンディレモンを添えたレモンケーキ」(イートイン各2切れ1,450円)など、見目麗しい自家製ケーキも見逃せない。

○テイクアウトや手土産にしたいブティック商品も豊富

ブティックで取り扱う200種類以上のコーヒーはテイクアウトも可能(1,200円~)だ。好みの豆を選び、その場で抽出してもらえる。しかもホット、アイスともに、フレッシュなシャンティークリームとシュガースティック、そして再利用可能なオリジナルガラスストローもつく。

1階のブティックでは、自宅用やギフトに最適なアイテムがずらり。
量り売りのコーヒー豆はもちろん、デザイン性の高い保存缶や、手軽に本格的な味わいを楽しめるドリップバッグ「コーヒーバッグギフトボックス」も豊富だ。

特にドリップバッグのコレクションは、「マウントエベレスト コーヒー」や「イルガチェフェコーヒー」といった名産地のシングルオリジンから、「1910コーヒー」などのフレーバーコーヒーまで幅広く展開。12袋入りや25袋入りのセットは、贈り物としても喜ばれるだろう。

その他、コーヒー体験を豊かにするアクセサリーや、グルメスイーツもあり、見ているだけでも心が躍る空間となっている。

これまで海外でしか味わうことができなかった「Bacha Coffee」。コーヒーだけでなく、コーヒーのおいしさを引き立てる料理も豊富とあり、銀座店も行列必至の人気店となりそうだ。

※価格は別途サービス料10%

中森りほ 中森りほ グルメ系Webメディアの編集を経て2017年よりフリーライターに。毎月各地を訪れ、ホテルや飲食店を中心に取材、撮影、執筆。フードアナリストの資格も持つ。 仕事実績:https://nakamoririho.com/portfolio/ この著者の記事一覧はこちら
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