公益財団法人 日本漢字能力検定協会は12月12日、今年一年の世相を表す漢字一字が「熊」に決まったことを発表した。11月1日~12月9日、2025年の世相を表す漢字一字とその理由を全国から募集し、応募189,122票の中から23,346票(12.34%)を集め、初の1位に選ばれた。
第2位の「米」(23,166票)との票数差はわずか180票(0.09 ポイント差)。京都・清水寺の森清範貫主の揮毫により発表され、奉納の儀式が行われた。

○「熊」による被害と対策

「熊」による人身被害者数・死亡者数が、ともに過去最多に。被害拡大を受けて、政府が「クマ被害対策パッケージ」を取りまとめ、緊急対策を講じた。自治体からの駆除要請を受け自衛隊も出動。
○「熊」出没による生活への不安

市街地など人の生活圏でも「熊」の目撃が相次ぎ、生活を脅かした。「熊」の影響により全国各地でイベントの中止や学校の休校が相次ぎ、社会問題に。「熊」による農作物の被害が深刻化し、地域住民の生活や経済活動に影響を及ぼした。
○「熊」猫(パンダ)が中国に返還

和歌山県・白浜町にあるテーマパークから4頭のジャイアントパンダが中国へ返還された。日本のジャイアントパンダは来年返還予定の上野動物園の2頭だけになった。

○2位以降にランクインした漢字は?

2位は、昨年からの価格高騰や、備蓄「米」の放出で話題となっている「米」がランクイン。3位以降は、高市早苗氏が女性初の内閣総理大臣に就任したことから「高(3位)」「女(8位)」「新(9位)」「初(10
位)」、大きな盛り上がりを見せた大阪・関西万博にちなんだ「脈(4位)」「万(5位)」「博(7位)」が選ばれ
た。


応募の多かった上位10位までの漢字は以下の通り。

1位 「熊」 (ユウ/くま) 23,346 票 (12.34%) 全国各地で「熊」の被害が相次ぎ、市街地にまで「熊」が出没するなど、生活や経済活動にも深刻な影響を及ぼした。「熊」の出没や被害を受けて、人と自然との共存について考えるきっかけになった。

2位 「米」 (ベイ・マイ・メ/こめ・よね・メートル) 23,166 票 (12.25%) 昨年から続く「米」価格の高騰と備蓄「米」の放出、日本の「米」生産や農業について考えた。一方、「米」国のトランプ大統領就任と相互関税による混乱など、大きな影響を受けた。

3位 「高」 (コウ/たかい・たか・たかまる・たかめる) 18,300 票 (9.68%) 内閣総理大臣に「高」市早苗氏が就任。物価や米価格の「高」さ、金や日経平均株価の「高」騰、国内最「高」気温の更新などが話題となった。

4位 「脈」 (ミャク・バク/すじ) 6,418 票 (3.39%)大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」が人気に。万博による人や文化の交流、女性初の内閣総理大臣誕生、株価高騰など、世の中の"「脈」動"を感じる人も多かった。
5位 「万」 (マン・バン/よろず) 5,656 票 (2.99%) 大阪・関西「万」博が盛り上がりを見せるとともに、日経平均株価は 5「万」円を突破した。
6位 「変」 (ヘン/かわる・かえる) 5,296 票 (2.80%) 自公連立政権の枠組みの「変」化、国内最高気温の更新、AI の進化など、大きな「変」化を感じた一年。
7位 「博」(ハク・バク/ひろい) 5,114 票 (2.70%) 大阪・関西万「博」の開催や、坂口志文氏と北川進氏 2 人の「博」士がノーベル賞を受賞したことも注目を浴びた。

8位 「女」 (ジョ・ニョ・ニョウ/おんな・め・むすめ・めあわせる・なんじ) 3,682 票 (1.95%)「女」性初の内閣総理大臣就任、「女」性市長による騒動など、行政での「女」性の話題に注目が集まった。また、「女」形が主人公の映画『国宝』が大ヒット。
9位 「新」 (シン/あたらしい・あらた・にい・さら) 3,658 票 (1.93%) 高市「新」首相誕生や、AI など「新」技術の普及といった、「新」しい時代の始まりや価値観の変化を感じた。「Nintendo Switch 2」が「新」発売された。
10位 「初」 (ショ・ソ/はじめ・はじめて・はつ・うい・そめる・うぶ) 3,067 票 (1.62%) 女性「初」の内閣総理大臣就任。スポーツ界ではイチロー氏が日本人で「初」めての米国野球殿堂入り、ドジャースが球団史上「初」のワールドシリーズ連覇、サッカー日本代表のブラジル戦「初」勝利など「初」が相次いだ。

○1995年~2023年「今年の漢字」と選定理由

また、過去の「今年の漢字」と選定理由は以下の通り。

1995年「震」 阪神・淡路大震災や、オウム真理教事件、金融機関の崩壊などに「震えた」年。
1996年 「食」 O157食中毒事件や狂牛病の発生、税金と福祉を「食いもの」にした汚職事件の多発。
1997年 「倒」 金融機関など経営破たんの続出。サッカー日本代表が並み居る強豪を倒してFIFAワールドカップ初出場決定。
1998年 「毒」 和歌山のカレー毒物混入事件や猛毒ダイオキシン、環境ホルモンなどが社会問題に。

1999年 「末」 世紀末。東海村の臨界事故や警察の不祥事など信じられない事件が続発して、「世も末」と実感。
2000年 「金」 シドニーオリンピックでの日本人選手の金メダル獲得や、南北朝鮮統一の実現に向けた"金・金"首脳会談など。
2001年 「戦」 米国同時多発テロ事件で世界情勢が一変し、対テロ戦争、炭疽(たんそ)菌との戦い、世界的な不況との戦いなど。
2002年 「帰」 日本経済がバブル前の水準に「帰り」、昔の歌がリバイバルされ大ヒット。北朝鮮に拉致された5人が24年ぶりに帰国。
2003年 「虎」 阪神タイガース18年ぶりのリーグ優勝、「虎の尾を踏む」ようなイラク派遣問題など。
2004年 「災」 台風や地震などの記録的な天災や、イラクでの人質殺害や子どもの殺人事件など、人災が多発。
2005年 「愛」 紀宮様のご成婚、「愛・地球博」の開催、各界で「アイちゃん」の愛称の女性が大活躍。
2006年 「命」 悠仁様のご誕生に日本中が祝福ムードに包まれた一方、いじめによる子どもの自殺など、痛ましい事件が多発。
2007年 「偽」 身近な食品から政界、スポーツ選手にまで次々と「偽」が発覚して、何を信じたら良いのか、わからなくなった。
2008年 「変」 日米の政界に起こった変化や世界的な金融情勢の変動、食の安全性に対する意識の変化など様々な変化を感じた年。

2009年 「新」 政権が交代し新内閣が発足、アメリカでも新大統領が就任、裁判員制度やエコポイント制度などの新しい制度も始まった。
2010年 「暑」 猛暑日の連続で熱中症にかかる人が続出、地球温暖化の警鐘を感じた年。
2011年 「絆」 東日本大震災など大規模災害の体験から、身近な人との絆の大切さを再確認した年。
2012年 「金」 金環日食など天文現象の当たり年、ロンドンオリンピックで日本史上最多メダル獲得など数多くの金字塔が打ち立てられた年。
2013年 「輪」 2020年オリンピック・パラリンピックの東京開催、富士山の世界文化遺産登録など、日本中が輪になって歓喜に沸いた年。
2014年 「税」 消費税率が17年ぶりに引き上げられ、「税」について考えさせられた年。
2015年 「安」 戦後70年の節目の年に安全保障関連法案の採決を巡り、国論が二分した年。
2016年 「金」 リオオリンピックの日本人選手の「金メダルラッシュ」と4年後の東京オリンピックへの期待が高まった年。
2017年 「北」 「北」朝鮮ミサイルの「北」海道沖落下や九州「北」部豪雨などの災害から、平和と安全の尊さを実感した年。
2018年 「災」 北海道・大阪・島根での地震、西日本豪雨など、日本各地で起きた大規模自然「災」害により、多くの人が被「災」した年。
2019年 「令」 新元号「令」和に新たな時代の希望を感じた一年 。法「令」改正、法「令」順守、警報発「令」としても使われた年。

2020年 「密」新型コロナウイルス感染症が日本を含め世界的に流行。日々の活動が制約され、「密」という漢字一字を意識し続けた年。
2021年 「金」コロナ禍で開催された東京オリンピックでの日本人選手最多「金」メダル獲得により、世の中が明るく照らされた年。
2022年 「戦」ロシアのウクライナ侵攻により、「戦」争の恐ろしさを目の当たりに。円安・物価高など生活上での「戦」いもあった年。
2023年 「税」 生活に直結する増「税」・減「税」の動向が注目された一年国民の不安や期待が錯綜した年。
2024年 「金」パリオリンピックでの日本人選手の「金」メダル獲得、新紙幣の発行、政治の裏「金」問題など「金」に注目が集まった。

2025年「#今年の漢字」第1位は「熊」でした!応募総数189,112票から23,346票(12.34%)を集めての第1位でした。2位以下の字は追ってお知らせいたします!https://t.co/4wTnUgW5ky#漢字の日 #熊 pic.twitter.com/hEEUk5I4iK— 【公式】2025年「今年の漢字」 (@Kotoshinokanji) December 12, 2025
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