高血圧=減塩この常識が覆る! この記事では高血圧治療の名医・渡辺尚彦氏が最新研究でわかった簡単なのにすごい高圧法を紹介した『血圧を下げるのに減塩はいらない!ナトカリ比であなたの血圧は下がる』(渡辺尚彦/アスコム)から一部を抜粋して解説します。

今回のテーマは『カリウムは寿命の延長にも一役買っていた』。


○カリウムは寿命の延長にも一役買っていた

ナトカリ比(体内のナトリウムとカリウムの比率)が高いほど、死亡リスクが上がるという論文が、2016年にイギリス医学会が発行している学術誌『BMJ (英国メディカルジャーナル) Open」で発表されています。

これは、国立循環器センター、厚生省研究班、医学研究社などが主体となった、NIPPON DATA80が、30~79歳の8283人を24年間追跡調査した研究です。

追跡中の全死亡例(1938例)のナトカリ比を調べたところ、ナトカリ比がもっとも高い人たち(上位20%)は、もっとも低い人たち(下位20%)に比べて、死亡率に大きな違いがあったのです。

脳梗塞死亡 約1.4倍
脳出血死亡 約1.6倍
全脳卒中死亡 約1.4倍
心血管疾患死亡 約1.4倍
全死亡(あらゆる死亡) 約1.2倍

ナトカリを高いまま放置していると、脳卒中や心臓病で死ぬリスクが1.5倍前後、すべての死亡に対しても1.2倍ほど上がっていたのです。

野菜や果物などでカリウムを増やしてナトカリ比を下げることは、寿命の面でも有利になりそうです。

読者の方は血圧を下げたいと考えている人が大半だとは思いますが、血圧に心配がない方であっても、カリウムを摂ってナトカリ比を下げる意義はあるといえます。

○『血圧を下げるのに減塩はいらない!ナトカリ比であなたの血圧は下がる』(渡辺尚彦/アスコム)

減塩だけが血圧を下げる方法ではない――。私が約40年にわたる高血圧の診療の現場と研究生活で
つねづね感じてきたことです。実は、ふだん私たちが食べている物のなかに、食べるだけで血圧を下げてくれる食材がたくさんあります。それを医学的に正しく説明したのが本書の「ナトカリ比」です。最新の研究で解説するだけではなく、どういう食べ方をすればいいのか、何を食べればいいのかまで詳しく紹介しています。減塩は大切とわかっていながら、「外食中心なので無理」、「そもそも味が薄くてつらい」と断念した人、ぜひ、希望をもって本書を読み進めてみてください。
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