松屋フーズホールディングスは12月15日、松富士の全株式を取得し、完全子会社化したことを発表した。

○松富士を完全子会社化

外食市場は、個人消費の回復やインバウンド需要の拡大が進む一方、原材料価格の高止まりや人件費・エネルギーコストの上昇、為替変動などの不確実性が併存している。
同社はこうした環境下で、「マルチブランドの推進」と「収益構造の高度化」を中長期戦略の柱に据え、ラーメン領域を取り込むことで業態ポートフォリオを拡充し、持続的な企業価値向上を図るとしている。

このたび、関東を中心に直営でラーメンチェーンを展開する松富士の全株式を取得し、子会社化するための株式譲渡契約を締結した。松富士は、全9ブランド・120店舗(2025年11月末時点)を関東ドミナントで展開し、所沢のセントラルキッチンを核とした品質・衛生管理や、多様な立地フォーマットにおける高い再現性を強みとする企業である。なかでも「六厘舎」をはじめとする旗艦ブランドは、東京駅や羽田空港などの主要立地で培われた高い認知度と強固な顧客支持を有しており、来店動機を喚起するブランド力が成長を牽引している。ブランド・客層ごとに最適な商品提供を可能にする商品開発力を有し、通販も伸長しているほか、海外を含む未進出エリアへの出店余地が大きいと評価している。

同社が培ってきた新規出店のノウハウやロジスティック網、データ活用力、高度人材育成の知見と、松富士の商品およびブランド運営力を組み合わせることで、ブランドポートフォリオの強化と商品開発・店舗オペレーション技術の相互活用など、総合的なシナジー創出が期待される。ラーメン業態への本格進出を通じ、顧客接点を拡げ、事業の持続的成長と収益性のさらなる向上を目指す考えだ。

○松屋フーズ、ラーメン業態への本格進出

本年7月のラーメン新業態「松太郎」の新規出店を皮切りに、市場拡大余地の大きいラーメン業態への本格進出を進めている。松富士の子会社化により店舗数は大幅に拡大し、牛めし・とんかつに次ぐ第3の柱と位置付けている。
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