こんにちは、行政書士の木村早苗です。ドラマの「ロイヤルファミリー」を見ていたら、病に冒された馬主が家族に相続について相談を持ちかける場面が出てきました。
競走馬も相続財産のうち
大切な家族である犬やねこも、法律上は動産として扱われます。これは馬も同じです。
ただし、JRA(中央競馬会)主催のレースに出走する競走馬の馬主になるには、原則として総資産1億円以上、かつ2年継続して2,000万円以上の所得が必要とされています。これは、毎月発生する預託料などを継続的に負担できるかどうかを確認するための基準でもあります。
もっとも、これらの条件を満たしていなくても馬主になれる制度があります。それが、ドラマでも鍵になった「相続馬限定馬主」制度です。この制度では、被相続人が生前に競走馬登録していた馬に限り、相続によって引き継ぐことができます。
ドラマでは、婚外子が「現役の競走馬ではなく『その子を競走馬登録した段階で相続する」との条件を提示し、危篤状態だった馬主が3年以上生き延びるという、やや都合のよい展開が描かれていました。とはいえ、相続財産として競走馬が登場する場面は現実では多くないため、その点でも印象に残るエピソードでした。
富裕層だからこそ役立つ不動産
私の場合は隣町にトレーニングセンターがあるので、競馬関係の方のお話を聞くことは比較的多い気がします。もちろん馬主さんもおられますが、前述の条件を聞いても納得するような職業の方ばかり。
そんな人たちが節税方法として取り入れているのが不動産です。鈴木子音 著『富裕層ファミリーの相続戦略』(幻冬舎)でも、富裕層ならではのメリットが説かれています。たとえば、目的が投資というより節税にあるため、資産価値の高い不動産を焦らずじっくり吟味できるのが、その一つです。
また、使うのは資産のうちの○割と決めてから考えるため、不動産を購入するには融資を受ける必要が出てきます。この融資による負債があると建物の減価償却の期間は税率を抑えることができますし、人口増加率の高い市の駅前マンションなど、土地や利便性で付加価値の高い築浅RCマンションであれば管理会社がしっかりしているので、空室問題やメンテナンスなどの悩みもあまり出てきません。
金額的に回収にはそれなりの時間がかかりますが、資産に余裕があれば待つことができ、子の代が来れば賃料による定期収入を見込める程度の利益にはなっているでしょう。
「実家が土地持ち」の人こそ注意したいポイント
……などと私が言うまでもなく、高所得の方々は株や不動産などを活用した節税や相続税対策をすでに行っておられるはず。
一方気にかけていただきたいのは、これまで自宅や車のローン以外でお金を動かす習慣があまりなかったみなさんです。特に、進学や就職で親元を離れ、帰省のたびに地元が便利になっているのでは?と感じる方々。全国的には少数派かもしれませんが、さまざまな社会や環境の変化の影響で、その周辺の土地評価額が上がることはよくあります。
1つめの特徴には、千葉の柏市や流山市などが例にあたるでしょうか。2005年のつくばエキスプレス(以下、TX)開業により、柏ゴルフ倶楽部跡地にできた柏の葉キャンパス駅周辺は、柏の葉スマートシティ構想に基づく都市開発が官民学連携の元で進んでおり、家族・学生向け住宅も増えています。
流山市は、流山おおたかの森駅がTXと東武アーバンパークライン、南流山駅がTXとJRの乗換駅と、都心へのアクセスの良さと自然豊かな地域を基盤とし、さらに手厚い子育て支援策も行ったことで若い30~40代の子育て世代の転入が継続しています。神奈川や埼玉では土地開発が進んで手頃なファミリー向け物件が少なくなり、千葉の北部地域が新たな市場として注目されたことも影響があると言われています。
2つめは、言わずと知れた京都や福岡、ニセコ、長野県の白馬村などです。京都市内は特に海外の投資家に人気で、海外資本のホテルが毎年のように建設されていますし、一般住宅もオーナーが外国の方であることが増えてきました。新規開業する個人オーナーの飲食店や洋服店が五条や七条、二条城など周辺に分散する傾向も、こうした地価の上昇の結果と言えます。
京都もそうですが、ニセコではホテルや別荘地周辺の小売店でもスタッフには英語必須といった現象が起こっているとかいないとか……。
3つめは、TSMCの熊本、ラピダスの北海道・千歳などが例に挙げられます。産業を誘致すると雇用と需要が増加することみなさんもよくご存じでしょう。実際、東洋経済が行っている『2025年版 全国地価「上昇率」ランキング』では、千歳市内の商業地ではトップ3を独占。
工場ができる熊本県菊池郡は3地区が15位までにランクイン。25~35%近くの上昇率にも関わらず、やや落ち着いたと言われるのですから驚きです。海外資本かつ最先端産業は、業界の安定性や海外移管の可能性などもあり、その部分で若干の不安はあるものの、スタート時点の現在を含め向こう数十年は地価も地域も成長や拡大が見込めると言えます。
こうした状況を見ると、いつの間にか自宅周辺の地価が上がっていることもなくはありません。預貯金だけ見ればごく普通の家だと仰る方でも、土地価格が上昇すると固定資産税もあがります。
たとえば、TSMCの誘致された菊池郡は、交通の利便性がよく農業が盛んな自然豊かな地域。熊本市のベッドタウンとしても有名です。これまでの基幹産業がにんじんなどの農業であったため、ご実家が広大な土地をもつ農家という方もおられるでしょう。農地は市街化調整区域にあることが多いので税金は低めですが、今後の都市開発や宅地造成の影響で市街化地域に変更されることは十分あります。
結果、土地価格も含めて算出される相続税が預貯金を上回ると、払えなくなる可能性だってあるわけです。相続税は分納できますが、その際には条件があり利子もつきます。
土地価格の上昇と税金の問題は、社会や周辺環境の変化で勝手に生まれるところが問題です。自分たちは昔と変わらず過ごしているのに、です。将来の自分たちの暮らしを守るためにも、預貯金と不動産における所有のバランスが適切か否かは、早いうちに考えてみる必要がありそうです。
今回は、普段から財産をどう管理し、整理すべきかを考えるために欠かせない要素についてお話してみました。私のほうの相続手続は、ようやく終わりが見えてきたかというところ。お金のプロである税理士さんのすごさに感心させられてばかりの毎日です。それではまた。
行政書士/木村早苗 きむらさなえ 1975年滋賀県生まれ。立命館大学大学院卒業。出版社勤務を経てフリーランスライターとして幅広い分野で執筆する。2020年に地元にUターンし、2024年に行政書士登録。











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