東京商工リサーチは12月16日、「企業における2026年の年賀状」調査の結果を発表した。調査は2025年12月1~8日、6,306社を対象にインターネットで行われた。

○「2026年の年賀状を出す」企業は36.0%

全企業で「2026年の年賀状を出す」と回答した企業は36.0%(6,306社中、2,270社)で、約3割の企業が年賀状を出す予定だ。

一方、「2026年の年賀状を出さない」は64.0%(4,036社)で、内訳は「昨年も出しておらず、2026年も出さない」が52.6%(3,322社)、「昨年は出したが、2026年は出さない」が11.3%(714社)だった。

規模別で「2026年の年賀状を出す」は、大企業34.6%(496社中、172社)、中小企業36.1%
(5,810社中、2,098社)で、中小企業が1.5ポイント高かった。

○印刷・同関連業が年賀状を出すことに最も意欲的

業種別で分析した(回答母数10以上)ところ、「2026年の年賀状を出す」と回答した業種は、紙を扱う頻度の多い印刷・同関連業が60.3%(53社中、32社)と、業種別では最も高かった。次いで、広告業55.0%(20社中、11社)、織物・衣服・身の回り品小売業52.9%(17社中、9社)と続く。

一方、「2026年の年賀状を出さない」は、個人の消費者に対する商売を中心に行っている業種が上位を占め、年賀状を出すことは現実的に困難だ。各種商品小売業83.3%(12社中、10社)飲食店80.8%(47社中、38社)、娯楽業77.7%(27社中、21社)が上位に並んだ。

○年賀状を出す理由は「関係性の維持」が最多

「2026年の年賀状を出す」と回答した2,270社のうち、2,230社が理由を回答した。年賀状を出す理由は「関係性の維持」が最も多く73.4%(1,638社)、次いで「相手先への敬意」が62.8%(1,402社)だった。

年賀状を出す企業は、取引先との関係を良好に保つために年賀状を1つのコミュニケーションツールとして活用していることがわかる。

○「2026年の年賀状を最後とはしない」は56.8%

有効回答2,245社のうち、「2026年の年賀状を最後とはしない」は56.8%(1,276社)で、「最後とする」6.9%(156社)を大きく上回った。年賀状を出す習慣のある企業は、引き続き2026年以降も年賀状を出すようだ。


規模別では、大企業と中小企業ともに「2026年の年賀状を最後とはしない」との回答は、55~56%台で大きな差はみられなかった。一方で、「未定」の企業が36.2%(813社)だった。"年賀状じまい"を迷っている企業が3割超あり、ますます年賀状を出す企業が少なくなる可能性がある。

○「2026年の年賀状を最後とはしない」金融・保険業が最多

産業別で分析したところ、「2026年の年賀状を最後とはしない」は、金融・保険業82.3%が最も多く、次いで不動産業68.1%だった。一方、「2026年の年賀状を最後とする」は農・林・漁・鉱業11.7%で、構成比が10%を超えた。また、地区別で分析したところ、「2026年の年賀状を最後とはしない」は、四国60.1%が最も多かった。一方で、「2026年の年賀状を最後にする」は北陸12.3%で、唯一、構成比が10%を超えた。

○年賀状を出さない理由、「必要性を感じないから」が5割超

「2026年の年賀状を出さない」理由を回答した3,948社のうち、最も多かった理由は「必要性を感じないから」が52.3%(2,068社)で最も高く、唯一、5割を超えた。以下「業務量が増えるから」35.7%(1,413社)、「ペーパーレスを推進しているから」35.3%(1,397社)の順。

一方で「年賀メールを出すから」は9.5%(377社)、「挨拶回りで訪問するから」は26.9%(1,065社)にとどまり、積極的に年賀状の代替手段がとられているわけではないようだ。

○年賀状を出す企業、出さない企業の二極化進む?

年賀状の起源は平安時代といわれる。明治時代の郵便制度の確立により、年賀状の文化が広まったとされるが、「2026年の年賀状を出す」予定の企業は36.0%にとどまる。


年賀状は、業務の効率化や費用削減、そして必要性が議論される一方、取引先との「関係性の維持」や「相手先への敬意」など、年賀状に年に一度の気持ちを託す文化は、まだ残されている。時代や年齢構成の変化の中で、年賀状への想いは揺れているようだ。これを示すように、日本郵便の2026年用年賀はがきの当初発行枚数は、約7億5,000万枚で前年より3割減少している。

本調査で、2026年の年賀状を出さない企業は64.0%で、そのうち「昨年も出しておらず、2026年も出さない」が52.6%、「昨年は出したが、2026年は出さない」が11.3%だった。また、2026年の年賀状を出す企業のうち、2026年の年賀状を最後にするか「未定」の企業が36.2%(813社)あった。年賀状じまいを迷う企業が3割超あり、ますます年賀状を出す企業が少なくなる可能性がある。

一方で、有効回答2,245社のうち、「2026年の年賀状を最後とはしない」は56.8%(1,276社)で、「最後とする」6.9%(156社)を大きく上回った。今後、年賀状を出す企業、出さない企業の二極化は、さらに進むと考えられる。
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