12月14日の味の素スタジアム(東京都調布市)は、曇天にも関わらずいつもより少しにぎやかで、少しゆるい空気に包まれていた。
東芝ブレイブルーパス東京の開幕戦イベント「ONE FESTIVAL」。
○日本ラグビー界初の「ドッグシート」も登場
この日開催された「ONE FESTIVAL」は、東芝ブレイブルーパス東京が開幕戦に合わせて仕掛けた大型イベントだ。テーマは「ONE」。日本一のラグビー、日本一のグルメ、日本最大規模のラグビー体験、ドッグシートなど、さまざまな“ONE”を集め、ラグビーをもっと身近に楽しんでもらうことを目的としている。
会場に足を踏み入れると、まず目に入るのはスタジアム外周にずらりと並ぶキッチンカーの数々! ラーメン、豚汁、唐揚げ、ホットドッグ、ピザ……などなど、金賞受賞歴のある店舗を中心に約50台が集結し、多くの来場者が長蛇の列を作っていた。雰囲気はラグビーの試合というより、音楽フェスに近い。
キッチンカーの隣のエリアには、来場者参加型のラグビー体験コーナーも用意。子どもたちが現役選手やOBの指導を受けながら、ラインアウトやタックル、スクラムなどに挑戦し、保護者たちはその様子を嬉しそうに眺めながら撮影する。そんな微笑ましい光景が一帯に広がっていた。
そんなONE FESTIVALの中でも、ひときわ注目を集めていたのが「ドッグシート」だ。愛犬と一緒に試合観戦できるドッグシートの設置は日本ラグビー界初となる試みで、ワンちゃん専用ゲートには多くの愛犬家とワンちゃんが押し寄せていた。
埼玉県坂戸市から来場したというご家族は、ドッグシートについて「すごく良い試みだと思います。スポーツ観戦するときはいつもはワンちゃんだけお留守番になっちゃうので、一緒に観戦できるのは嬉しいですね。駐車場から専用ゲートまで近かったのもありがたかったです」と喜びの感想を口にした。
神奈川県横浜市から参加した男性は、「犬と一緒にスポーツ観戦というのは今までに経験したことがありません。犬と一緒に行動できる場所は限られているので、こういう企画は選択肢が広がって嬉しいですね」と語った。
物販エリアではワンちゃん用ユニフォームや首輪などもラインナップ。ゴール裏エリアに設けられた専用席には、愛犬と一緒に観戦を楽しむ人たちの姿がズラリと並んだ。
ブレイブルーパスのユニフォームを着たワンちゃんに、ワイルドナイツのユニフォームを着たワンちゃん、リーチ・マイケル選手の顔入りTシャツを身に纏ったワンちゃん。温かそうなマットやクッション、飼い主さんの膝の上でおとなしく座るワンちゃん、周囲を興味深そうに見回すワンちゃん。スタジアムという非日常空間に、ワンちゃんたちもドキドキ&ワクワクしている様子だ。
ワンちゃんがいることで、自然と会話が生まれるところもドッグシートの面白さだろう。「何歳ですか?」「かわいいですね」といったやりとりがあちこちで自然発生し、初対面同士でも距離が一気に縮まっていたように見えた。
試合が始まると、フィールドでは一転して迫力あるプレーが繰り広げられ、スタンドからは大きな歓声と拍手が上がった。リーグワン連覇の王者・東芝ブレイブルーパス東京 vs リーグワン初代王者・埼玉パナソニックワイルドナイツ。観客席が沸かないはずがない、最高の好カードだ。注目度も高く、会場にはなんと3万2,000人を超える来場者が訪れたという。
一方、ドッグシートでは膝の上でおとなしく観戦するワンちゃんや、少し音に驚きつつも飼い主のそばで落ち着くワンちゃんの姿が見られた。歓声の合間に時折混ざる「ワン!」という鳴き声も、この日ばかりは「ONE FESTIVAL」の一部として自然に受け入れられていた。
試合結果は0対46。大差で埼玉パナソニックワイルドナイツの勝利となったが、「ONE FESTIVAL」という画期的な取り組みは、この日の勝敗以上に語り継がれるべきだろう。ラグビー、グルメ、体験、そしてワンちゃん。さまざまな楽しみ方が同時に存在し、それぞれが自分のペースで過ごせる。ドッグシートは、まさにその象徴的な存在だ。
歓声と拍手、そしてワンちゃんたちの可愛らしい気配がほどよく混ざり合った「ONE FESTIVAL」。











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