日本製鉄は、12月10日~12月12日の期間、東京ビッグサイトにて開催された、ビジネスと次世代育成による社会課題解決を目指す展示会「エコプロ2025」にブースを出展。同社が展開する環境問題に対する取り組みを紹介した。
エコプロは、地球温暖化をはじめとする環境問題や食料問題、地域活性化などの社会課題解決に向けた取り組みを「ビジネス」と「次世代育成」の両面から啓発し、豊かな地球環境と社会を次世代に引き継ぐことをミッションとした展示会。「環境」「循環型社会」「生物多様性」などの課題解決に向けた様々なソリューションが展示された。
日本製鉄のブースでは、カーボンニュートラルに向けたGXの取り組みや、環境に配慮した低炭素鋼材の利用、リサイクルなどの取り組みが6つのコーナーに分けて紹介された。各展示は、子どもにも分かりやすいように工夫されており、多くの子どもたちが真剣な眼差しで展示内容に注目した。
「世界は鉄でできている」
「世界は鉄でできている」コーナーでは、「鉄は便利で豊かな暮らしを支えています」というメッセージのもと、大型タッチパネルを用意。最初は江戸時代の暮らしぶりを想定した風景が表示されているが、画面内のアイテムにタッチすると、「鉄によって生まれた現代の便利グッズ」に変化する。すべてのアイテムを変化させると、現代的な暮らしの風景が広がるような仕組みとなっており、現代の豊かな暮らしが、いかに鉄によって支えられているのかを学ぶことができるコーナーとなっていた。
「生物多様性保存への貢献 海の森づくり」
同社は、「生物多様性」保全に向けて、鉄鋼スラグを使った「海の森づくり」に取り組んでいる。海水温の上昇や水質環境の悪化などによる生態系の変化や、海藻の成長に必要な鉄分不足が原因で発生する「磯焼け」。「磯焼け」が発生すると、コンブやワカメなどの海藻が枯れてしまい、海藻を食べる魚や貝もいなくなってしまう。
「磯焼け」の解消のためには鉄分の供給が重要となるが、そのためには、水に溶けても酸化して海に沈まないように、フルボ酸鉄・腐植酸鉄として、イオン化した鉄が必要。そこで同社は、鉄鋼スラグと腐植土を混ぜることで、人工的に供給することを可能とした。
鉄鋼スラグと腐植土を混ぜて海に沈めることで海藻が増え、藻場(海の森)が形成される。これにより、波や潮流が和らぎ、魚の産卵場や隠れ場所となるほか、海水の濁りを抑える効果も期待できる。また、海藻が光合成によって吸収するCO2はブルーカーボンと呼ばれ、CO2の新たな吸収源としても注目されている。
「鉄の魅力」
「無限の可能性を秘めた素材」として、「鉄の魅力」を“強さ”と“軽さ”の2点から紹介。“強さ”においては、普通鋼とハイテン(High Tensile Strength Steel:高張力鋼)の比較として落下実験による結果が示されたほか、リボン状にした普通鋼とハイテンが並べられており、来場者は、実際に手にとって強度を比較することができた。
一方、“軽さ”では、アルミ製と鉄製の、強度が同じ建材フレームを用意。一般的にアルミ製のほうが軽く思われがちだが、強度を同じにすると、圧倒的に鉄製のほうが軽く、手にとって重さを確かめる来場者も驚きの声を上げていた。
「カーボンニュートラルの実現に向けて」
製鉄プロセスのカーボンニュートラル化に向けた、様々な取り組みも紹介。同社は、2050年のカーボンニュートラルに向けて、現在、大型電炉での高級鋼製造、水素による還元鉄製造、そして高炉水素還元といった3つの革新技術に挑戦しており、それぞれの課題や取り組みなどが、アニメーションを使用して、わかりやすく紹介された。
電炉法は、スクラップを溶かして鉄を再生する製法で、CO2削減が期待できる一方、不純物による品質面の課題がある。同社はその解決と電炉の大型化に取り組み、2029年までに国内3カ所で大型電炉の実機化を進める。
水素還元製鉄は新たな還元炉が必要で、吸熱反応による反応不良などの課題がある。
一方、高炉では炭素の一部を水素に置き換える水素還元を推進。同社は、最適な水素の加熱温度や切り替え量を探るために試験を繰り返しており、CO2排出量43%削減を達成し、将来的に50%以上を目指す。
同社は、現段階でひとつの技術に絞ることなく、複線的アプローチで、カーボンニュートラルの実現を目指していることを紹介。また、ブース端には、高炉水素還元の実物サンプルも展示されていた。
「CO2排出量削減に貢献する製品」
同社では、カーボンニュートラルに向けて、製鉄時におけるCO2の削減だけでなく、鉄を使うときの削減貢献にも取り組んでおり、製鉄時の削減実績量と鉄使用時の削減貢献量、両方の取り組みによって環境価値の創出を目指している。
「CO2排出量削減に貢献する製品」コーナーでは、低炭素の鋼材を中心としたラインナップを紹介。「ティンプレート」はいわゆる“ブリキ”だが、通常のブリキで使用される高価なスズの代わりに、極薄のクロムめっきの膜を形成しており、高い塗料密着性と美麗な外観、経済性が高く評価されている。
「高圧水素用ステンレス鋼 HRX19」は、燃料電池車に水素を入れる水素ステーションで使用される材料。従来使用されているステンレス鋼と比較して、約1.5倍の高強度を実現しており、配管の薄肉設計と内径の拡大が可能で、水素の大流量化、高速充填を実現している。また、化学成分の最適化により、低温や高圧などの過酷な水素環境下でも水素脆化が一切生じないのも大きな特長。さらに、高圧水素環境下で溶接できる唯一の材料である点も注目されている。
鉄だけでなく、「チタン」についても紹介。チタンは、「軽い」「強い」「錆びない」のほか、「低熱膨張」「生体適合性」「発色性」「非磁性」などの優れた特長を持ち、航空機や自動車、時計、精密機器、眼鏡、さらには瓦などの建築材など、様々な分野、用途に使用されている。
そのほか「環境負荷低減型 超ハイテン線材」やマックスの「ホッチキス針」を紹介。ホッチキス針については、日本製鉄×マックスのコラボにより、日本製鉄のGXスチール「NSCarbolex Neutral」を使用したマックスの新たなホッチキス針「NO.11-1M ノベルティ」が展示された。
「資源循環への取り組み」
循環型社会の構築を目指し、限りある資源・エネルギーの無駄なく利用するための取り組みにも力を入れているが、今回のブースでは、スクラップとして回収された鉄のリサイクルだけでなく、廃プラスチックを年間20万トン、全国の回収量の約3割を受け入れてリサイクルを実施していることが紹介された。
循環型社会の実現に向け、同社は資源やエネルギーの有効活用を推進している。「資源循環への取り組み」では、鉄スクラップのリサイクルに加え、全国回収量の約3割にあたる年間20万トンの廃プラスチックを受け入れ、再資源化している点が紹介された。
また、製鉄所内では、水や副生ガス、廃熱の多くを再利用・発電などに活用しているほか、ガスや灰、使用済みレンガ、スラグなどの副産物も99%を再資源化。特にスラグは、道路やトンネルといった土木工事のほか、肥料や海域環境改善素材としても利用されている。











![[USBで録画や再生可能]Tinguポータブルテレビ テレビ小型 14.1インチ 高齢者向け 病院使用可能 大画面 大音量 簡単操作 車中泊 車載用バッグ付き 良い画質 HDMI端子搭載 録画機能 YouTube視聴可能 モバイルバッテリーに対応 AC電源・車載電源に対応 スタンド/吊り下げ/車載の3種類設置 リモコン付き 遠距離操作可能 タイムシフト機能付き 底部ボタン 軽量 (14.1インチ)](https://m.media-amazon.com/images/I/51-Yonm5vZL._SL500_.jpg)