ライオンはこのほど、浴室に生育する複数の黒色好湿性カビ(以下、黒カビ)が、ピンク汚れの原因菌の1つであるRhodotorula rubra(赤色酵母、以下、ロドトルラ)の生育を促進すること、またこれらの黒カビの除菌によりロドトルラの生育促進が抑制されることを確認したと発表した。
○冬場にも浴室の黒カビがピンク汚れの原因菌生育を促進

ピンク汚れの主な原因はロドトルラという菌で、この菌が増殖するとピンク色に見え、ピンク汚れとなる。
浴室に生育する「複数種の黒カビ」とロドトルラを共存させ、冬場の浴室平均気温を想定して15℃で培養した。その結果、すべての黒カビがロドトルラの生菌数の増加を促進することが明らかになった。冬場においても浴室は黒カビが生育する温度・湿度を満たしているため、黒カビは「生きている状態」にあり、ロドトルラを増殖させピンク汚れを促進することがわかった。

○黒カビの除菌によって、ピンク汚れの促進を抑制

黒カビの除菌がピンク汚れの促進の抑制に繋がるかを検討するため、各種黒カビ(クラドスポリウム、エクソフィアラ、オーレオバシジウム、アルタナリア)とロドトルラを共存させて培養し、ロドトルラの生菌数を黒カビの除菌の有無で比較した。その結果、各種黒カビを除菌すると、除菌しない場合と比べロドトルラの生菌数の増加が抑制された。このことから、冬場においても、浴室に生育する「複数種の黒カビ」を除菌することで、ピンク汚れの促進を効果的に抑えられることがわかった。

○冬場にも天井には目に見えない黒カビが生育

浴室に生育するカビの調査を行ったところ、天井は「目で見える黒カビ」の量が、壁や床と比べて少ないことを確認した。しかし「実際に生育している黒カビ」を測定したところ、天井にも壁や床と同程度の黒カビ(クラドスポリウム、エクソフィアラ、オーレオバシジウムなど)が生育していることがわかっている。

そこで、天井には目には見えないものの実は黒カビが生育しており、天井から床に黒カビが落ちて、床に生育するロドトルラに影響してピンク汚れを促進する可能性があると考え、天井の黒カビが床のピンク汚れに作用するかを検証した。評価は、冬場の浴室を再現したモデル浴室で、黒カビ(クラドスポリウム)とロドトルラを共存させて行った。その結果、黒カビを添加した板では、添加していない板よりも赤色が速く広範囲に広がり、黒カビがピンク汚れを促進することを確認した。

以上の結果から、冬場にも天井には目には見えない黒カビが存在しており、放置するとピンク汚れを促進させることわかった。
そのため、ピンク汚れの発生を遅らせるには、浴室の床だけではなく天井も除菌することが有効と考えられる。

本研究内容は、2025年12月2日~12月5日に開催された「2025年室内環境学会学術大会」(福岡県、北九州国際会議場)で発表された。
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