インテージは12月12日、クリスマスに関する調査結果を発表した。調査は2025年11月19日~11月25日、15~79歳の男女5,000人を対象にインターネットで行われた。

○クリスマス予算は平均16,418円

今年のクリスマス予算は平均16,418円で、前年比100.5%とほぼ横ばいだった。一昨年(2023年22,588円)からは水準が低下したまま足踏みしており、物価高騰を踏まえると、実質的な支出は抑制傾向にあると言える。

この背景としては、実質賃金の伸び悩みや生活必需品の価格上昇に加え、エネルギーコスト上昇なども要因となった生活防衛意識の定着が考えられる。生活者は「非必需支出」の見直しを継続しており、季節イベントの中でも従来盛り上がりを見せていたクリスマス関連消費でさえも、その影響から脱しきれていない状況だ。また、前年に続いてイブ・クリスマスとも平日であることも一因と考えられる。

なお、平均予算をもとに15~79歳の推定人口から今年の市場規模を試算したところ、7,274億円(前年比94.2%)となった。この結果は「予定なし」回答者増加の影響も大きく、次から詳細に見ていく。

○「予定なし」は54.1%で過去最高水準

クリスマスのイベント予定を具体的に見ると、「予定はない」と回答した人は54.1%で、前年(51.1%)から3ポイント増加。調査開始以来で最も高い水準だった。さらに、予定あり層の中でも行動は縮小傾向にあり、「プレゼントを購入(自分用含む)」は前年27.4%から26.0%に、「自宅でパーティー」も25.6%から24.2%に減少した。

こうした結果から、"イベント全体の縮小"傾向が示唆されており、節約志向に加え、特別なイベントより日常の安定を重視する動きが強まっているのかもしれない。

○予定がない理由は「興味・習慣がない」がトップ

なぜ予定のない人が増えているのか、その理由(複数選択で聴取)を見ていく。
クリスマスに予定がない理由のトップは「興味がない・習慣がない」(31.1%)、次いで「お金をかけたくない・節約したい」(16.2%)。「一緒に過ごす相手がいない」や「仕事・学業などがある」も上位だった。コロナ禍後の外出回復が一巡し、義務的なイベントより日常の安定を重視する傾向が強まっている可能性もありそうだ。

なお、末子が高校生相当以下の世帯では、予定なし層は1割程度だったが、その理由を見てみると「お金をかけたくない・節約したい」が21.5%とTOTALよりも5ポイント高く、経済的負担回避の意識が強いことがうかがえる。

○ケーキは中価格帯中心で、3,000円台が最多

予定なし層が増え、予定あり層の行動も縮小傾向が見られる中、イベントの象徴ともいえるクリスマスケーキや料理の消費動向はどのような状況なのか。

アンケートでは過ごし方(ケーキ、料理、飾りつけなど)も聴取しており、その中で「ケーキを食べる」と回答した人は全体の40.6%で前年(40.0%)とほぼ変動がない。イベント行動が縮小する中でもケーキの底堅い需要が見られた。ケーキ購入予算としては「3,000~3,999円」が最も多く29.7%、次いで「2,000~2,999円」(20.1%)、「4,000~4,999円」(17.0%)と続き、前年と比べて大きな変化はない。高価格帯(5,000円以上)は12.2%で、前年(12.4%)からほぼ横ばいだった。"平日なので派手なことはできないがせめてケーキを"といった生活者も少なくないのかもしれない。

○食関連消費は平日の12月24日、25日に集中

今年クリスマス料理やケーキを食べる日(予定)として最も多かったのは「12月24日(水)」(57.9%)、次いで「12月25日(木)」(21.3%)だった。週末の20日(土)・21日(日)にも一定の需要(11.5%)は見られるものの、消費は平日である24・25日に集中している。


これは、カレンダー要因による「前倒し消費」が限定的で、外食や旅行などの高額消費が起きにくい構造になっていることを示している。またこの傾向は、クリスマスの過ごし方が「自宅中心・低コスト」へシフトしている背景とも一致している。以上のことから、2025年におけるクリスマスの食関連消費は、一定の需要を維持しつつも、全体的には「短期間集中」「中価格帯中心」という特徴がうかがえる。
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