日本製鉄は12月12日、「2030 中長期経営計画」を公表し、説明会を開催した。
説明会冒頭、代表取締役社長兼COOの今井正氏は、「お客さま価値の創造を通じて、持続可能で豊かな社会の実現に貢献する、総合力世界ナンバーワンの鉄鋼メーカーを目指し、成長を続けるため、2030中長期計画を策定しました」と述べ、この計画を“世界No.1の鉄鋼メーカーへの復権"に向けた中期計画として位置付けた。
同計画では、2026年~2030年度の連結実力利益1兆円以上、2030年以降はできるだけ早期にグローバル粗鋼1億トン以上の実現を目標に掲げる。国内事業と海外事業の双方でそれぞれ5000億円以上の利益水準を目指し、収益構造のさらなる強化を図る。
厳しさを増す事業環境と、日本製鉄の立ち位置
今井氏は、事業環境についても率直に説明した。世界経済は相互関税の発動などにより、「政治と経済の相互作用が強まり、不確実性が増している」と指摘。こうした環境下での成長停滞リスクを念頭に置く必要があるとした。
鉄鋼需要については、国内では人口減少や製造業の海外移転を背景に需要減少が続く見通しである一方、インドをはじめとする新興国では経済成長に伴う需要増加が見込まれる。米国では製造業の国産化による、高級鋼需要の拡大が期待されるという。
供給面では、中国国内の高水準な生産と積極的な輸出姿勢が続いており、通商摩擦の拡大や鉄鋼供給過剰構造の長期化が懸念される状況だ。
こうした背景を踏まえ、日本製鉄は国内における生産設備構造対策や、紐付分野を中心とする価格・マージンの改善を通じて、損益分岐点を大幅に改善するとともに、戦略投資を実施してきた。
海外では選択と集中を図りながら、ArcelorMittal Nippon Steel India Private Limited(以下、AM/NS India)の能力拡張や United States Steel Corporation(以下、US スチール)の買収など、有望市場での生産能力確保・拡大を推進し、外部環境によらず6,000億円以上の連結実力利益を確保できる収益構造を確立してきた。
国内事業:収益基盤をさらに強化する
国内事業では、「さらなる収益基盤強化による収益力向上」を掲げる。コスト競争力の徹底追求に加え、総合的ソリューションの展開、グループ総合力の最大化を通じて、各需要分野・品種ごとのニーズに応じた競争力を高めていく方針だ。
具体的には、製鉄事業の主要な事業である薄板事業では、新鋭設備投資の立ち上げと効果の最大化を進めるとともに、製造拠点ごとの役割を明確化し、グループ会社も含めた最適生産・物流体制を追求する。こうした最適生産体制追求の一環で、東日本製鉄所鹿島地区の連続焼鈍1基を2027年度末目途に休止する。
また、自動車分野ではNSafe-AutoConcept、建築・土木分野ではProStruct、エネルギー・造船分野では高機能鋼材とソリューション提案を通じ、「お客さま価値の創造」を進める。
海外事業:重点地域への集中投資で飛躍的成長を狙う
海外事業では、米国・欧州、インド、タイを重点地域と位置付け、同社が国内で培ってきた設備エンジニアリング技術を最大限に生かしつつ、技術力・ノウハウ移転の効果発揮のための人材の集中投入など、グローバル成長戦略を実行する。
世界最大の高級鋼市場である米国では、USスチールの買収を通じて鉄源一貫の製造体制を構築した。USスチールは2028年末までに110億ドルの設備投資を行い、日本製鉄は最先端の操業・設備・商品技術の移転によって投資効果とシナジーの最大化を目指す。
インドではAM/NS Indiaにおいて生産規模の拡大を進めるとともに、南部(アンドラプラデシュ州ラジャヤペタ)での一貫製鉄所建設に着手し、将来的なシェア拡大を図る。タイではG/GJ SteelやNS-SUSを軸に、サプライチェーン一貫での強化を進め、薄板市場でのさらなるポジション拡大を狙う。
投資計画と財務目標、株主還元
こうした国内外の成長戦略を支える投資として、日本製鉄は今後5年間で総額6兆円規模の設備投資・事業投資を計画する。このうち半分以上は海外製鉄事業への重点的な投入を予定しており、この中にはUSスチールへの約110億ドルの投資が含まれる。
財務面では、2030年度をマイルストーンとし、連結実力利益1兆円以上に加え、ROE10%程度、D/E 0.7程度、DEBT/EBITDA 3.5倍以下といった指標を策定した。
株主還元については、「連結配当性向30%程度を目安」とする現行方針を継続する。
GXとカーボンニュートラルへの取り組み
カーボンニュートラルへの対応も、中長期経営計画の重要な柱だ。日本製鉄は2030年に向け、CO2総排出量を2013年比で30%削減する目標を掲げている。
大型電炉の実装を進めるとともに、CO2削減価値をバリューチェーン全体で負担する「GXスチール市場」の形成に取り組む。今井氏は、「政府支援や産官学連携を通じて革新技術の開発を加速し、技術と市場形成の両面から2050年カーボンニュートラルの実現を目指す」と述べた。
最後に今井氏は、「2030中長期経営計画の達成を通じ、世界ナンバーワンの鉄鋼メーカーへの復権を果たし、日本経済の復活に貢献してまいります」と述べ、説明会を締めくった。
国内外での収益基盤強化と成長投資、GXへの対応を同時に進める今回の中長期経営計画は、日本製鉄が2030年を見据えてどのような成長を描いているのかを示すものとなった。











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