男たるもの、どれだけ年齢を重ねても、清潔感とはつらつとした魅力は保っておきたいもの。そのために髭剃りは欠かせません。
やはり仕事や、大切な食事会やデートの前には、「無精ひげで行くわけにはいかない」と考える方も少なくないのではないでしょうか?

しかし、カミソリを用いたひげ剃りは「肌に刺激になります」と、ナチュラルスキンクリニック院長の皮膚科医・圓山尚先生。果たしてカミソリは毎日あててもいいのか、数日おきのほうがいいのか。カミソリ負けをしてしまう場合はどうすればいいのか? カミソリ前後のケアは……? それぞれのケースについて圓山医師が教えてくれました。

今回は美容や肌の悩みを抱える、35歳~60歳までの男性マイナビニュース会員400名にアンケート調査を実施。美容のための取り組みやスキンケアに関する悩みと疑問点を募集しました。

ひげ剃りの事前・事後にすべき「基本」といえば?

剃刀を使った髭剃りは毎日行ってもいいのでしょうか? こまめにした方がいいのか、数日おきの方がいいのか、色々な情報があり、ベストな頻度を知りたいです。(37歳・個人事業主)

──ひげが濃いも薄いも体質によります。ならば、カミソリに対しての肌の強い弱いも、これは体質によって違ってくるものでしょうか。

もちろん、剃り方にもよりますが、カミソリに対する肌の強い弱いも、その人の体質に大きく依存します。ゆえにケースによって、毎日剃っても何の問題もなければ、肌の調子次第で、気をつけなければならないこともあったりします。

例えばですが、肌がかぶれている時でもカミソリを当てなければいけない場面があると思います。こうした時には肌トラブルを引き起こす可能性が一気に跳ね上がります。
まず、かぶれているのにカミソリを当てることによって、色素沈着が起こり、その部分がくすんできてしまうことがあります。

次に慢性の刺激によって炎症が続き、ちょっと赤ら顔のような肌になったり、ニキビが発生したりもします。それでも続けていくと、その疾患を中心に、しわができたり、クレーターのようなぶつぶつが出来てしまったり、全体的にくすんだ肌になることもあります。そのため、それぞれの肌質やトラブルのありかなしかによって、それぞれ注意しなければならないことがあると考えています。

──では、その注意点とは?

剃る前に、しっかりと保湿をしておくことが非常に重要です。理髪店でも剃る前に蒸らしタオルで温め、肌にしっかりと水分を与えてやわらかくするという作業をしていますが、保湿をすることで、カミソリ負けは大きく減少します。具体的には、起きたらまず化粧水をつけて肌を保湿して髭を剃ります。

問題は剃った後です。ジェルやシェービングクリームを塗ってから剃るというのは、同時に肌の皮脂も落としてしまいます。そのため剃った後の化粧水、乳液、クリームやオイルなどで再度保湿、皮膚に蓋をして、肌から水分が蒸発しにくいようにするという作業が基本になります。

それから、これは知っておいていただきたいのですが、肌は起床後すぐの方がストレスが少なく、剃るのに適しています。日中は、紫外線や汗、なにかに触れていたり、擦れてしまったりで、コンディション的には疲れた状態になっているからです。
朝型、夜型、その生活を問わず、起きた後が適しています。また寝ている時には成長ホルモンが分泌されますので、髪の毛やひげも伸びやすくなります。その伸びたひげを剃るという意味でも、「起きた後」というタイミングが最適です。

──カミソリ選びについては?

首が回らないタイプのカミソリは、肌を傷つけやすくなります。可動式で、T字のつなぎ目の部分にクッションがあり、顔の輪郭に合わせてやわらかく対応できるものがやはり良いですし、刃の枚数が多いと一回でキレイに剃れやすいので、何回も同じ場所に刃を当てなくてもいいという意味で、肌にはやさしいですね。

またひげが薄く、電動シェーバーを使われている方は、その分肌への刺激が少ないので、剃った後は通常のスキンケアだけで済みます。逆に、剃っても青く残ってしまう方に関しては、深剃りを毎日続けてしまうと、肌にとっては刺激が強いことが継続して行われていることになります。

この場合は、医療機関で相談し、脱毛を含めて検討する方もいます。デザインひげを希望する場合も含め、肌状態に合わせて医師と相談するのが現実的です。深剃りの1ミリを取り続けるよりは、不要なところは、脱毛してしまうという方向へ舵を切ってもいいでしょう。

──朝剃って、夜のデート前で身だしなみを整えたい時もあると思います。そういう時は一日二度、剃っても大丈夫ですか?

不定期でしたら、先ほど申し上げた事前保湿、事後保湿、クリームやオイルで皮膚の蓋をするという手順を踏んでいれば、そう問題はないと思います。
逆にいえばひげ剃りは、一日一回で良い。日課のように朝も夜も……ということは推奨できません。
カミソリ負け対策は、基本は「保湿」。最後の砦は「皮膚科」で安心

顔の皮膚が弱いので、いつも剃刀負けをして傷がついてしまいます。どのようにケアしたらいいのでしょうか? (57歳・個人事業主)

──カミソリ負けも個人差や状況によると思うのですが、「カミソリ負け」というのは、医学的には何が起こっているのでしょうか。

肌は乾燥すると柔軟性を失ってやや固い状態になってしまいます。植物を想像していただくと分かりやすいのですが、荒れた枝などはすぐにパキッと折れてしまいますが、水分の多い若木は、葉や釘を曲げても柔軟性があって、しなるだけだと思います。

肌も同様です。水分が少なく荒れた状態のときに、カミソリを当てると、肌がたるんだりよれたりして、刃が皮膚に引っかかってしまう。こういった時に起こりやすいのが、カミソリ負けです。つまり、カミソリ負けしやすい方は、皮膚が弱い=肌が乾燥しがちな個性を持っているということになります。だから、保湿やスキンケアが重要になるんですね。


もう一つのパターンはニキビ肌の方。ニキビがあると肌に凹凸ができてしまいますので、そこに刃がひっかかって出血しやすくなるという話はよく聞きます。ニキビはなくても、若い頃のニキビ跡で凸凹になっている場合も同様です。クレーターのような部分の肌が固くごわついていることもあり、カミソリ負けを起こしやすくなります。そういった方にカミソリは向かないので、電動シェーバーをおすすめしています。

皮脂の多い肌の方で、インナードライの方も注意は必要です。皮脂に蓋をした状態だからいいだろうと思われがちですが、インナードライは水分が十分にないまま皮膚に皮脂が蓋をしている状況のことを指します。何度も言うようですが、とにかく皮膚の保湿は、どんな状況であれ、忘れてはいけません。この場合は、しっかりと皮脂を洗い流して化粧水を与えることが重要です。

──それでもコンディションによって、カミソリ負けしたり、皮膚が切れてしまうことがあります。こういう時には市販薬でケアしてもいいのですか?

かゆみやかぶれ、炎症に関しては市販薬で様子を見る人もいます。しかし、カミソリ負けで「少し膿んでしまった」「かぶれを越えて血が出てしまった」「切り傷が出来た」など皮膚のバリア機能が傷んだところには、細菌が入るパターンがあります。
この場合、ステロイドを含む市販薬では免疫力が落ちて悪化の原因になりますので、皮膚科へ行くべきでしょう。同じように自分で対処し、保湿もしてみたのに、皮膚の荒れが治らないという場合も、迷わず皮膚科医へご相談ください。

衣輪晋一 きぬわ しんいち メディア研究家。インドネシアでボランティア後に帰国。雑誌「TVガイド」「メンズナックル」など、「マイナビニュース」「ORICON NEWS」「週刊女性PRIME」など、カンテレ公式HP、メルマガ「JEN」、書籍「見てしまった人の怖い話」「さすがといわせる東京選抜グルメ2014」「アジアのいかしたTシャツ」(ネタ提供)、制作会社でのドラマ企画アドバイザーなど幅広く活動中。 この著者の記事一覧はこちら
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