19日に決定した2026年度税制改正大綱では、NISAの「つみたて投資枠」を18歳未満も利用できるようにする方針が示され、2027年の開始が予定されています。

物価上昇が続く中、教育費の負担は年々大きくなっており、預貯金だけに頼るのではなく、早い段階から長期・分散で資産形成に取り組む重要性は、これまで以上に高まっています。


そこで今回は、投資情報メディア編集部・金融教育推進室の田嶋恵理子さんに、「こどもNISA(仮称)」の制度概要や注目ポイントについて解説してもらいます。

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インフレ時代に備える資産形成と「こどもNISA」への期待

教育費は、大学までに約1,000万円以上かかると言われています。かつての「超低金利」時代から、最近は「金利ある世界」に移行しつつありますが、このインフレ時代においては、預貯金の利息だけでは十分とは言えない状況です。こうした背景から、「長期・積立・分散」による資産形成の重要性が高まっています。そこで注目されるのが、現在創設が検討されている「こどもNISA(仮称)」です。
こどもNISAとは?ジュニアNISAとの違い

報道によると、こどもNISAは2026年度の税制改正を軸に検討されています。対象は未成年で、年間投資上限は60万円案、非課税期間は無期限とする方向です。過去のジュニアNISA(2023年末廃止)には「18歳まで原則引き出し不可」という厳しい制限があり、十分に普及しませんでした。

こどもNISAはジュニアNISAの復活とも言われていますが、新制度では、教育費の必要なタイミングに応じて柔軟に引き出せるようになる見込みです。投資対象は、つみたてNISA同様、低コストのインデックス型投資信託が中心になると考えられています。金融庁の方針としても「長期・積立・分散」が基本であり、こどもNISAもこの考え方を踏襲することになりそうです。

親の金融リテラシーが子どもの将来を左右する!?

投資は「早く始めるほど有利」と言われています。
複利効果を最大化するには、親がこどもNISAなどの制度を理解し活用するなど、計画的に運用することが不可欠です。

さらに、家庭で「お金の話ができる環境」を整えることも、金融教育の第一歩といえるでしょう。こどもNISAは、子どもが親と一緒に学ぶことができるので、将来の金融リテラシー格差を防ぐ鍵となり、教育資金の準備と金融教育を同時に実現できる可能性を秘めています。
資産運用はどこで始めればよい?

さて、資産運用はどこで始めればいいのでしょうか。証券会社各社のサービスを見てみると、低コストでの運用や商品ラインナップの幅、積立設定のしやすさなどが重視されている傾向が見てとれます。こうした点を踏まえると、人気のあるネット証券で資産運用を始めるメリットは大きいように思われます。

一例として、SBI証券では未成年口座でも積立投資を行える環境が用意されており、ポイントを活用した仕組みなど、日常生活と結びつけてお金の流れを意識しやすい工夫が見られます。また、口座開設や積立設定はオンラインで完結でき、金融教育に関する情報も提供されています。

金融教育についての詳しい情報は、「金トレ部」でも紹介しています(リンクは記事末尾に掲載)。
贈与税の注意点と児童手当の活用

親や祖父母が子どもに資金を贈与する場合、暦年課税制度では子ども一人につき年間110万円まで贈与税は非課税です。ただし、複数の贈与者からの贈与は合計して判断されるため、合計額が110万円を超える場合は贈与税の申告が必要です。
※詳しくは税務署や国税庁の公式サイトでご確認ください。


さらに、児童手当を「使わずに育てる」ことで、効率的に教育資金を準備することができます。毎月の児童手当をこどもNISAの積立に回せば、家計の負担を抑えながら長期投資を続けられ、将来の教育費に備えると同時に、子どもに「お金を育てる」体験を提供することも可能となります。
シミュレーション例

積立の前提
0~2歳は月1万5,000円、3歳から高校卒業までは月1万円を積み立てて年5%で長期運用できた場合(第1子・第2子想定)

積立総額
元本は約234万円(0~2歳:1万5,000円×36か月+3歳~18歳:1万円×180か月)

18歳時点の運用目安
約390万円
※こどもNISAは2026年以降創設が検討されておりますが、詳細は未確定です。
※高校卒業まで途中で使うことは想定しておりません。
※将来の運用成績を保証するものではありません。
まとめ

こどもNISAは、教育資金を長期・非課税で準備すると同時に、家庭の中で金融教育を考えるきっかけにもなり得る制度として注目されています。制度の正式な内容は今後の発表を待つ必要がありますが、今のうちから情報収集や選択肢の整理を進めておくことは、子どもの未来を広げる第一歩になるでしょう。

制度を有意義に活用するうえでは、子ども名義での資産管理やポイントの扱いなどを通じて、日常生活の中でお金の動きを意識する機会を持つことも一つの考え方です。

あわせて、「金トレ部」で紹介しているような金融教育に関するコンテンツを参考にしながら、家庭ごとのペースでお金について考えるきっかけにしてみるのもよさそうです。

※本ページは2025年12月18日時点の情報に基づくもので、今後変更される可能性があります。

「金トレ部」はこちら

『投資情報メディア』より、記事内容を一部変更して転載。

投資情報メディア編集部 とうしじょうほうめでぃあへんしゅうぶ
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