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「ボーナスは全額オルカン」「S&P500で堅実に」──メディアやSNSでは、そんな“正解”が当たり前のように語られている。けれど本当に、それが誰にとってもベストなのだろうか。
「資産1億円未満で、金融投資を最優先にするのは“弱者の戦略”です」──そう語るのは、資産2.5億円超を持つ投資家・ライオンじゅん氏だ。
なぜ、新NISAに入れるのが正解ではないのか。目先の株高よりも、はるかに大きなリターンを生む“最強の投資先”とは。
今回はライオンじゅん氏に、ボーナスの真の活用法について伺った。
ご褒美のつもりが、自由を買い戻す借金になる
日本の給与所得者のおよそ6割が手にするといわれる、夏と冬の賞与。生活費とは別の数十万、あるいは百万円単位の現金が振り込まれるこの時期は、欲しかったものを手に入れる絶好のチャンスだ。
ハイブランドのバッグ、高級時計、あるいは自分へのご褒美としての豪華な食事。一年間の労をねぎらい、消費を楽しむこと自体は否定しない。だがライオンじゅん氏は、その消費行動の裏に、資産形成を阻む決定的な罠があると指摘する。
「まずは胸に手を当てて、過去の臨時収入を何に使ってきたか思い出してみてください。そして今回のボーナス、何に使う予定ですか? もし答えが『浪費』や『消費』なら、一度立ち止まるべきです。ブランド品や高級車を買った瞬間の高揚感は、脳内物質による一時的な快楽にすぎません。
手元に100万円が入ったからといって、同額を使ってしまえば、資産形成のフェーズにはいつまでたっても移行できない。もちろん、すでに十分な資産を築いた後の「数%の遊び」なら許容範囲だが、これから資産を作ろうとする段階での全額消費はあまりにリスクが高い。
「厳しい言い方になりますが、過去に買ったご褒美の満足感は、今も続いていますか? おそらく、またすぐに別の新しい何かが欲しくなっているはずです。消費と浪費を繰り返すサイクルの中にいる限り、お金持ちには永遠になれません」(ライオンじゅん氏)
お金の賢い育て方、「貯金」も「投資」も正解ではない?
では、堅実に「貯金」をするのはどうだろうか。あるいは、昨今のトレンドに従って「新NISA」の成長投資枠を埋めるのが正解なのだろうか。多くのマネー誌が推奨するこの「王道」に対しても、ライオンじゅん氏の見解はシビアだ。
「銀行預金は、資産が増えないという意味で『停止』状態と同じです。通帳の数字を見て安心する気持ちは理解できますが、インフレリスクを考えれば実質的な価値は目減りしていく一方です。では、金融投資ならよいのか。インデックスファンドやハイテク株にボーナスを投じるのは、一見するとマネーリテラシーが高い行動に思えます。ですが、もしあなたが『最短最速で資産1億円を作りたい』と願うなら、それもまた遠回りになりかねません」(ライオンじゅん氏)
ライオンじゅん氏が強調するのは、資産規模による「戦い方」の違いだ。元本が数千万円、数億円ある状態での数%の運用益は莫大な金額になるが、元本が少ない段階での金融投資は、資産拡大のスピードにおいて限界がある。
「10年、20年かけてゆっくり資産を作りたいなら、金融投資でも構いません。ですが、5年、あるいはもっと早く経済的自由を手にしたい場合、選ぶべきは『自己投資』です。私自身、20代の頃に当時の会社の規定で、あと1カ月在籍すれば100万円のボーナスがもらえる状況だったんです。でも私はその100万円を捨てて、1カ月早く退職しました。目先の現金よりも、新しい環境に身を置くための『時間』と『チャンス』を買ったのです」(ライオンじゅん氏)
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50万円を増やすより、50万円で“増やせる人”になる
ライオンじゅん氏が提唱するのは、金融商品にお金を投じる前に、自分という「人的資本」にお金を投じるという戦略だ。
具体的には、書籍の購入、セミナーへの参加、専門スキルの習得、あるいはレベルの高い環境(コミュニティ)への所属などが挙げられる。これらは、株価の変動や市場の暴落に左右されることなく、一生使い続けられる確実な「資産」となる。
「例えば、ボーナスの50万円を年利5%の金融商品に入れたとしましょう。年間の利益はたった2万5千円程度です。これだけで人生を劇的に変えるのは難しいでしょう。しかし、その50万円を使って金融リテラシーを高める『知識』や『環境』を買ったらどうなるか。それによって得た知見やスキルは、本業での収入アップに直結するだけでなく、将来的な運用利回りを実力値として数%押し上げる力になります」(ライオンじゅん氏)
たった数%の違いと侮ることはできない。
「これが自己投資の持つ破壊力です。金融商品が暴落することがあっても、一度身につけた知識やスキルは、記憶喪失にでもならない限り、誰にも奪われません。資産1億円を超えるまでは、金融投資よりも自己投資のほうが圧倒的にパフォーマンスがよい。これは私自身の経験則であり、多くの成功者が通ってきた道でもあります」(ライオンじゅん氏)
投資は“最後”でいい。まず、稼ぐ力と守る力をつけよう
もちろん、ライオンじゅん氏は金融投資そのものを否定しているわけではない。現在、彼自身も資産の防衛と拡大のために金融投資を行っている。重要なのは、その“順序”だ。
「多くの人が、このステップを逆に捉えています。まず金融投資をして、余ったお金で本を買うのではなく、まずは自己投資をして、稼ぐ力と守る力を極限まで高める。その結果として生まれた余剰資金を、金融市場に投じるのが本来の順序です。この『自己投資ファースト』のマインドセットを持てるかどうかが、5年後、10年後の景色を決定づけます」(ライオンじゅん氏)
資産が数億円を超えてくれば、守りの投資、つまり金融投資の比重が高まってくる。
「ボーナスを思考停止で市場に投げて満足していませんか? 今必要なのは、わずかな配当よりも、桁違いのリターンを生むスキルです。人生で一度でも、50万円以上の自己投資をしたことがあるか。もし答えがNOなら、今こそ未来の自分にベットすべきです。これ以上の近道はありません」(ライオンじゅん氏)
数字として増減する株や投資信託ではなく、一生涯失われない「知恵」と「経験」を手にすること。それこそが、あなたの人生そのものを豊かにする本当の投資になるのかもしれない。
西脇章太 にしわきしょうた 1992年生まれ。三重県出身。県内の大学を卒業後、証券会社に入社し、営業・FPとして従事。現在はフリーライターの傍ら、YouTubeにてゲーム系のチャンネルを複数運営。専門分野は、金融、不動産、ゲームなど。公式noteはこちら この著者の記事一覧はこちら











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