エフアンドエムは12月22日、「職場で嬉しかった言葉」についての調査結果を発表した。調査は2025年11月7日~11月11日、正社員・契約社員・公務員(正規職員)として働く一般社員・管理職600名を対象に行われた。

○「承認の言葉」を欲しているのは女性だった?

本調査では「仕事で言われて嬉しい言葉」を回答者に選んでもらったところ、主に「頑張ってるね」といった努力承認や「すごいね」といった成果承認について男女差がみられた。努力承認を選んだ女性が82.3%、男性が71.3%と11ポイント差がつき、成果承認でも6.7ポイント差、共感の言葉でも5ポイント差で女性が上回る。ここから、職場でより強く「言葉による承認」を求めているのは男性より女性であることが読み取れる。

○言葉による感謝や評価により「心が動く」のは女性

さらに女性は、感謝表明・努力承認・工夫評価のいずれの場面でも男性より「とても嬉しい」と感じる割合が一貫して高く、言葉による肯定が強いモチベーション要因になっていることがわかる。
特に感謝の言葉では女性49%・男性38%、努力への承認では女性37%・男性26%、工夫評価では女性40%・男性27%と、10ポイント以上の差が見られる。

女性は成果そのものだけでなく"過程の努力"や"存在の価値"を丁寧に認められることで安心感や自己効力感を得やすい傾向を示していることが想定される。

○男性は「君に任せるよ」など信頼の言葉に心が動く

自律性の尊重や信頼の言葉(「君に任せるよ」「信頼している」など)に対し、「とても嬉しい」「やや嬉しい」と回答した割合は男性73%、女性63%であり、男性の方が高い反応を示した。
男性は「自分の判断が尊重されているか」「期待が正しく向けられているか」を重視する傾向が強いことが示された。

○存在を肯定されたい20代、感謝されたい50代

年代別に見ると、実際にかけられた「最も嬉しかった言葉」として感謝表明を選んだ割合は50代が27%と最も高く、他の年代を大きく上回る。一方20代は感謝表明の言葉を選んだ回答者が他の世代に比べて低めで、若い世代は「存在価値肯定」など、"自分らしさ"に結びつく言葉を比較的重視する傾向がみられる。

○50代の「冗談嫌い」は20代の1.5倍

心が動く言葉全般を年代別に見ると、冗談やツッコミへの受け止め方に大きな差がある。20代では「とても嬉しい」「やや嬉しい」が51%と半数を超える一方、50代では32%にとどまる。
また、「あまり嬉しくない」「全く嬉しくない」と回答した人の数は31%と20代の1.5倍に達する。

冗談やツッコミの言葉は、年代だけでなく性別でも受け止め方に大きな開きが見られる。20代では男女とも比較的ポジティブだが、年代が上がるほど女性の不快感は強まり、50代女性では"不快"が36%に達している。一方男性は、50代でも33%がポジティブで、年代が上がっても比較的フラットに受け止める傾向が見られた。
○「ミスを笑ってくれる」が職場の新常識?

そのほか、言葉の受け止め方や世代間のギャップを見てみると、ミスを許容する言葉は、全体で51%が「嬉しい」と回答しており、安心感を与える"新しい職場の常識"として広く支持されている。

一方で、その受け止め方には年代差が見られる。20~40代では6割前後がポジティブに感じるのに対し、50代では49%とやや低下し、33~45%が「どちらとも言えない」と回答。特に50代女性では45%が判断を保留しており、励ましの言葉であっても「評価」や「指導」として受け取られる可能性がうかがえる。

若年層は前向きなサポートとして素直に受け止める傾向がある一方で、ベテラン層には相手の意図や状況への理解を示す一言を添えるなど、より丁寧な伝え方が効果的と言える。
○若い世代もチャットやDMより「1対1の対面」が嬉しい

言葉が伝えられた場面として最も支持が高かったのは、全世代共通で「1対1の対面」だった。特に20代では、実に5割超が対面シーンを最も嬉しい場面として選択し、個人チャットやDMは2%台にとどまった。30代でもチャットは8%程度と少数派であり、直接向き合う対話が圧倒的に好まれている。
若い世代はデジタルネイティブであるがゆえに、むしろ対面での温度を求める傾向が強い可能性も考えられる。

○男女共通・世代横断で心が動くのは「感謝の言葉」

男女共通・全世代において「嬉しかった言葉」として選ばれたのは、感謝表明の言葉(「ありがとう」「あなたのおかげで助かった」など)となった。感謝の言葉をかけられたときの気持ちとして、「とても嬉しい」「やや嬉しい」と回答した割合が女性91%・男性83%と、性別を問わず圧倒的に高い。

こうした言葉を使うことは、働く人の意欲を高め、日常のコミュニケーションにおいて最も安定的にポジティブな影響をもたらすといえる。
編集部おすすめ