シェアフルは2025年12月26日に、第二回「年収の壁」に対する意識の実態調査の結果を発表した。調査は2025年12月20日、日本全国の10~70代の男女(シェアフルユーザー)15,185人を対象にWEB調査形式で行われた。


給与所得者の年収が一定額を超えると所得税がかかる「年収の壁」。従来の「103万円の壁」は、給与収入のみで他の控除がない場合に、基礎控除と給与所得控除によって所得税がかからなくなる年収の目安として意識されてきた。

令和7年度(2025年度)の税制改正では、所得税の基礎控除額の引き上げと給与所得控除の最低保障額の引き上げが行われ、これらの合計によって課税開始点(年収の壁)が大きく引き上げられることとなった。

さらに、より広い層で所得税の負担を下げることを目的として、2025年12月には政府与党・野党が、2026年度(令和8年度)税制改正大綱で「年収の壁」を約178万円まで引き上げることで基本合意したと報じられている。

同調査では「年収の壁」への意識や経済的なゆとりについて質問した。

年収の壁を意識しているか尋ねると、「意識している」と回答した人は40.0%、「意識していない」と回答した人は60.0%という結果に。2024年の調査(「意識している」が47%、「意識していない」が53.0%)と比べると意識している割合が7ポイント低下した。

「2025年12月は、本来就業できた時間からどれくらい調整をしましたか?」と尋ねたところ、「例月の100%(調整していない)」(38%)と回答した人の割合が最も高かった。一方で、「例月の0%(1時間もはたらいていない)」は31%となった。

また、「例月の60%~99%程度」は11%、「例月の40%~59%程度」は10%、「例月の1%~39%程度」は10%となり、就業時間を何らかの形で調整した層は全体の62%を占めた。

属性別に見ると「例月の100%(調整していない)」と回答した人の割合は、「アルバイト・パート」が48%でもっとも多かった。

経済的なゆとりがあるか問うと、「ゆとりがある」(22.0%)と「ある程度ゆとりがある」(16.5%)と回答した人を合わせると38.5%は経済的なゆとりがあると感じていることが分かった。


一方で、「あまりゆとりがない」(29.9%)と「全くゆとりがない」(31.6%)と回答した人を合わせると61.5%が経済的なゆとりがないと回答していた。

属性別に見ると、「ゆとりがある」と回答した人の割合は、「学生」(28%)が最も多く、次いで「主婦・主夫」(25%)、「正社員・派遣社員・契約社員」(23%)、「アルバイト・パート」(19%)という結果になった。

一方で、「全くゆとりがない」または「あまりゆとりがない」と回答した人を合わせると、「経済的なゆとりがない」と感じている割合は、「アルバイト・パート」が67%と最も高く、「正社員・派遣社員・契約社員」が60%、「主婦・主夫」が54%、「学生」が52%であった。

自由回答で「2026年度より年収の壁が178万円に引き上げられることが決まったことについて、どう感じますか?」と尋ねた。そのうえで、各回答者ごとに回答内容に含まれる代表キーワードと文意を基に、回答の主たる評価の方向性や意見の性質を総合的に判断し、5分類(肯定/否定/関心なし/要望/回答なし)へ分類して集計した。

その結果、肯定的な意見が35.9%、否定的な意見が2.1%、関心なし・中立的な意見が47.4%、要望が11.8%、回答なし・不明が2.8%となった。

「シフト調整をしていたので気にせず働けるのは嬉しい」という肯定的な意見や、「特に関係はないので嬉しさなどはない」という関心なしの意見、「年収が上がる分税金も高くなり今までと変わらないか又は悪くなる。稼ぎたくても稼げない」という否定的な意見、「所得税だけじゃなく社会保険も考えてほしい」という要望などが実際に寄せられた。

これらの結果から、同社は年収の壁の引き上げに対しては「中立的」な立場の意見が多いものの、就業調整を行っている人や、「経済的にゆとりがない」と感じている人は依然として多く、働き方や生活における課題は引き続き存在していることが示唆されるとした。
編集部おすすめ