2025年12月下旬に与党から、2026年度の税制改正大綱が公表されました。住宅ローンに関する内容もあり、2026年の住宅戦略を考えるうえで要注目です。
税制改正大綱を基に、住宅ローンや補助金をどう考えるべきかのヒントを解説します。

令和8年度・税制改正大綱とは

2025年12月19日に公表された、税制大綱の概要をわかりやすく解説します。
○注目すべき8つの内容

今回の税制改正大綱にもさまざまな内容がありますが、なかでも多くの方々に関係するのは以下の5つです。

年収の壁を178万へ引き上げ
NISAの年齢制限を廃止(18歳未満も利用可能)
住宅ローン控除を5年延長
住宅リフォームに関する減税措置
暗号資産取引を申告分離課税へ移行

年収の壁が178万円へ引き上がったことは大きく報じられました。所得控除が増えるため、中間層をはじめ、多くの方々の手取りが多少なりとも増えることになります。
○NISAの年齢制限の廃止

少額非課税投資制度であるNISAを利用している方は多いのではないでしょうか。こちらの年齢制限撤廃も注目で、つみたて投資枠に限り、0歳から口座を保有可能です。

親や祖父母が資金を拠出して、教育資金などのために非課税で資産形成ができます。ただし、通常のNISA口座の上限が1,800万円なのに対し、18歳未満の場合は上限600万円までとなっています。
税制改正大綱のうち、住宅関連の注目ポイントは?

ここからは税制改正大綱のうち、住宅関連のものを詳しく解説します。
○住宅ローン控除の5年延長

住宅関連では、まず住宅ローン控除の5年延長が決定されました。本来は2025年が期限でしたが、もうしばらく控除の恩恵を受けられることになります。

○中古物件の優遇を拡充

もう1つのトピックは中古物件への支援拡充です。特に都市部で新築住宅の高騰が続くなか、中古物件の購入者への優遇がより手厚くなります。

これまで「中古物件」の価格的な上限は3,000万円でしたが、一定の環境基準などを満たす住宅については上限3,500万円、子育て世帯などは4,500万円に拡充されます。さらに控除期間も10年から13年になり、これまで最大210万円だったものが、最大409万5,000円の減税効果となります。

対象物件の床面積も、これまで50平方メートル以上であったものが40平方メートル以上となり、小さめの物件でも住宅ローン控除の恩恵を受けられるようになりました。
○貸付用不動産の評価価値の見直し

貸付用不動産に関しては、これまで相続税や贈与税を大幅に圧縮する事例が見られました。市場価格と、通達評価額の乖離を利用するものです。

評価の適正化や課税の公平性を図るため、評価方法が見直されることになりました。課税開始の5年以内に取得、または新築した貸付用不動産に関しては、課税時期における通常の取引価額に相当する金額で評価されることになります。
大型補助金・みらいエコ住宅2026とは?

2026年に住宅を取得をする予定があれば、補助金制度である「みらいエコ住宅2026」の利用も検討してみましょう。
○新築で最大120万円の補助金

環境に配慮した「GX志向型住宅」を新築すると、1戸あたり最大125万円の補助金が受け取れます。この制度はすべての世帯が対象です。


また長期優良住宅の場合は75万~100万円、ZEH水準住宅の場合は35万~60万円(いずれも1戸あたり)となります。
○リフォームで最大100万円の補助金

リフォームに関しては、対象の住宅や改修工事の種類によって補助金額が変動します。40万円~100万円(1戸あたり)の補助金が受け取れます。

補助対象の工事は、開口部・外壁・屋根・天井・床などの断熱改修などが必須となっています。

安藤真一郎 あんどうしんいちろう マーケティング会社に勤務した後、フリーランスのライターに転身。 多種多様なジャンルの記事を執筆するなかで、金融リテラシーを高めることや情報発信の重要性に気づき、現在はマネー系ジャンルを中心に執筆している。 ライターとして、知識のない人でも理解しやすいよう、かみくだいた文章にすることが信条。 ファイナンシャルプランニング技能士2級、日商簿記検定2級取得。 この著者の記事一覧はこちら
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