「人生100年時代、一生健康でお酒を飲むためにはどうしたらいいか?」この記事では、酒飲みのための、酒好きの味方の「肝臓」救済本『お酒がいつまでも飲める「100年肝臓」になる秘訣を教えてください!』(著者:葉石かおり 監修:浅部伸一/主婦と生活社)から一部を抜粋して紹介します。

今回のテーマはここまでなったら「飲んじゃダメ」という境界線はありますか?

○ここまでなったら「飲んじゃダメ」という境界線はありますか?

※本文は、酒ジャーナリスト:葉石かおりさん、肝臓専門医:浅部伸一さんの会話形式

葉石さん(以下、敬称略): 先生、酒好きの友人から「お酒を飲んじゃダメという境界線はあるの?」と聞かれたんですが、数値や体の状態などで明確な基準ってあるんですか?

浅部さん(以下、敬称略): 血液検査の数値だけを見て、禁酒を言い渡すことはできません。
数値だけでは、肝臓のダメージの程度を正確に判断できないんです。実際には、肝臓の線維化や脂肪の蓄積、生活習慣全体との関係を含めて、総合的に診る必要があります。

葉石: なるほど。でも何かしらの目安があると注意もできるのですが。

浅部: だとしたら、ALTの数値がいいかもしれません。日本肝臓学会が肝臓病克服に向けて提言した「奈良宣言」では、肝臓の細胞が壊れた目安となるALT(GPT)が3を超えたら、医療機関を受診しましょう、と呼びかけています。

葉石: あれ?ALT(GPT)の基準値って5~40じゃありませんでしたっけ?

浅部: 基準値はあくまでも目安です。多くの研究の結果、30を少し超えた段階から脂肪肝や肝臓の線維化が進んでいる症例があるとわかってきました。日本人をはじめとするアジア人は欧米人に比べ、脂肪肝になりやすい傾向があるため、軽度の上昇でも病気が進みやすいといわれています。だからこそ、ALT(GPT)30を早期受診の目安としたわけです。

葉石: ALT(GPT)30私の周りにもゴロゴロいそう(汗)。ただ「すぐに禁酒」というわけではなく、「そろそろ注意しましょう」「医療機関を受診しましょう」という黄色信号と考えればいいんですね。


浅部: その通りです。さらに忘れてはいけないのが、メタボとの関係です。肥満で脂肪肝がある状態に飲酒が加わると、肝臓は「二重の負担」を受けます。

葉石: メタボで既に肝臓をはじめとする内臓に脂肪が蓄積したところに、さらに脂肪を蓄積しやすくするお酒が投入されるんですもんね。そりゃ肝臓には負担になりますわ。

浅部: 加えてメタボに伴う高血糖や高血圧も、肝臓をはじめとするさまざまな臓器に炎症を起こし、老化を促進させる酸化ストレスなどを発生させて慢性的なダメージを与えます。お酒とメタボが重なった場合、肝臓病の進行が早まることもあります。

葉石: メタボの診断基準は、健診で測ってくれるウエストの周囲径でしたよね。たしか男性で85cm以上、女性で90cm以上だったような。

浅部: それに加えて、生活習慣病に関係する血圧・血糖・脂質の3つの項目のうち、2つ以上が基準値から外れていると「メタボ」と診断されます。つまり禁酒を言い渡される境界線の目安は、ALT(GPT)の数値とメタボの2つとなるわけです。

葉石: ALT(GPT)、メタボともに「自覚症状もないし大丈夫」と、多くの人がスルーしそうですね。


浅部: これらの数値をスルーして飲み続けると、将来的に重篤な疾患を抱え、いずれ禁酒をせざるを得ない状態になってしまいます。健康診断の結果が出たあと、医師や保健師の話を聞かない人も多いのですが、アドバイスを受けたら、そのうちの1つでも2つでも実行してみましょう。数値が改善されるはずです。

葉石: じつは夫も保健師から「もっと運動しましょう」と言われ、ジムに通い始めたところ、メタボが解消し、肝臓と中性脂肪の数値が劇的に下がりました。本人も「これでお酒を飲んでも大丈夫」と意気揚々としています。

浅部: それはよかったです。ただ、本当に大切なのは、「飲める、飲めない」を気にする以前に、飲めない状態にならないよう普段から気をつけることです。

葉石: 数値が改善したからOKではなく、それを維持することが重要ということですね。医師から「飲んじゃダメ」と言われないよう、数値をキープします。
○まとめ

断酒の目安となるのは、ALT(GPT)の数値とメタボ。
日本人は脂肪肝になりやすいので、ALT(GPT)が30を超えたら要注意。一度、受診したほうがよい

○『お酒がいつまでも飲める「100年肝臓」になる秘訣を教えてください!』(著者:葉石かおり 監修:浅部伸一/主婦と生活社)

「人生100年時代、一生健康でお酒を飲むためにはどうしたらいいか?」を逃げることなく、改めて真剣に考えました。
そして思案の末に生まれたキーワードが「100年肝臓」。これはいわば「肝臓のロングライフ計画」。100年現役で働き続けてもらうために、今からできることをやりましょう。酒飲みのための、酒好きの味方の「肝臓」救済本。読んで、今夜も安心してもう一杯!
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