伊藤園お~いお茶杯第67期王位戦(主催:新聞三社連合、日本将棋連盟)は予選が大詰め。1月6日(火)には伊藤匠二冠―増田康宏八段の一戦が東京・将棋会館で行われました。
対局の結果、対矢倉戦で力を発揮した伊藤二冠が116手で勝利。快勝といえる内容で自身2度目となる王位リーグ入りを果たしました。
○勝負の綾は39手目に

勝った方が挑戦者決定リーグ入りとなる大一番、振り駒で先手となった増田八段は矢倉を志向します。右銀を繰り出し速攻を狙う指し方は予選準決勝の広瀬章人九段戦でも用いた定跡で、この日は後手の伊藤二冠が桂跳ねの急戦策で応じます。第二次駒組みに入りますが、伊藤二冠が先に桂を活用できている分だけ増田八段に主張点が求められています。

ジリジリとした間合いの計り合いが続くなか、増田八段に反省の一手が出ます。中央の位を取ったのは自然なように見えて結果的には緩手。感想戦では銀で桂を食いちぎり、強引に攻める手が検討されました。本譜は5筋に空間ができたことが伊藤二冠の鋭い反撃を招くことに。飛車を大きく転換して右辺からの成り込みを見たのが流石の中盤感覚です。

○アクロバティックな飛車角乱舞

伊藤二冠の攻め手は止まりません。攻めの要に思われた角をズバっと切ったのち、返す刀でベタっと金を打ち込んだのが格言「寄せは俗手で」の通りの決め手となりました。
直前に入れた突き捨ての効果もあって先手陣には適当な受けがなく、また後手陣には争点がないため後手優勢は明らかです。終盤には一波乱あったものの、逆転までには至りませんでした。

終局時刻は18時48分、最後は形勢差を認めた増田八段が投了。序盤は後手番らしいもたれ戦術で先攻を許さず、チャンスと見るや鋭い踏み込みでリードを奪った伊藤叡王の強さが光る快勝譜となりました。勝った伊藤叡王は4年ぶり2度目となるリーグ入りを実現。「タイトル挑戦を目指して一局一局を大事に指したい」と新年の抱負を語りました。

伊藤二冠のほかには羽生善治九段や菅井竜也八段、藤本渚七段らもリーグ入りを決めています。

水留啓(将棋情報局)
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